門番が答えるとほぼ同時にそう門番に頼み、ミオは門外へと出る。久しぶりの地上は初めて見た時と同様に重苦しく今にも嵐が起きそうな鉛色の空であった。コートも何も着てこなかったせいで寒い。北の果ての海風が容赦なくミオに吹き付けてくる。 寒さを堪えながらとりあえずそのまま船着場の方まで歩いていく。何もない地上の地面は一面の岩場でやはり歩きにくい。こんなところに本当にピラートはいるのだろうか。 ごつごつとした岩場では渡り鳥が群れをなして止まっていた。 天の助けだ。 そう思い、渡り鳥たちに向かって唯一の特技をミオは使うことにした。『誰か女の子を知らない?緑髪の女の子で精霊と人間の子なの』 渡り鳥たちに向けてミオが口にしたのは鳥言葉である。ロクな魔法も謎の植物しか召喚出来ないが、唯一まともに使えたのがこの鳥と話す魔法であった。何を隠そうレイたち勇者一行の活躍もこうして鳥たちから聞いたのである。鳥たちはミオの数少ない友人であった。 渡り鳥たちはミオの言葉にけたたましい驚きの声を上げた。突然人間から自分たちと同じ言葉が聞こえたのだから驚くのも無理はない。しかし、しばらくすると彼らも落ち着いたのかやがて口々に言葉を返し始めた。『人間、探してる』『困ってる?』『精霊の子だって』『風の精霊の子、我らの同胞だ』『人間きらい』『風の精霊の子は好き』『風の精霊の子なら北で見たぞ』『北の向こう』『北ってどっち?冬の方?』『高い山に登っていた』 北の高い山と言われミオは北の方角を向く。視線の先にはまるで針のようにとんがった大きな岩山があった。 恐らくあの岩山にピラートはいる。『ありがとう!助かったわ!』 渡り鳥たちに礼を告げてミオはまた走り出した。 だが近付くにつれ岩山は遠目で見たよりずっと険しいことに気付く。ミオの体力も限界に近い。その険しい岩山の急斜面を登るのに躊躇してしまうがピラートを探すためである。 なんとか這うようにして一歩一歩とミオは登っていく。スカートが汚れることなんて気にしてられない。それより気を抜いたら自分の身体が転がり落ちそうなのだ。ドレスが汚れたり破れるくらい気にしていられない。 そうやって登った途中の崖の下、足場とも呼べぬ僅かな窪みにピラートはしゃがみ込んでいた。「ピラート!どうしてこんなところに!」「ミオ!」 ミオが呼
Terakhir Diperbarui : 2025-06-10 Baca selengkapnya