All Chapters of 夫も息子もあの女を選ぶんだから、離婚する!: Chapter 1681 - Chapter 1682

1682 Chapters

第1681話

仁志は、ただ星を助けていただけではない。彼は彼女のためにいくつもの道を切り開き、さまざまなことを教えてくれた。いちばん危うく、いちばん脆かったあの頃。彼は自分の翼の下で彼女を守り、慈しみ、育ててくれたのだ。もしそうでなければ、彼女は芽を出す前に摘み取られていただろう。そして今、自分がその場所に立つようになったからこそ、星には昔は見えなかったものまで見えるようになっていた。仁志の名前が出ると、彩香は意味ありげに笑った。「ほらね、やっぱり仁志を落として正解だったでしょ?明日香の取り巻きは多いけど、ほんとに使えるのなんて一人もいないし。でも仁志なら、一人で全員まとめて片づけられるもん」そこまで言ってから、彩香は何かを思い出したように目を輝かせた。「ねえ星、あんたと仁志って……もしかして、もうすぐって感じ?」星は首をかしげた。「もうすぐって、何が?」彩香はにやっと笑う。「仁志、最近ずっと家見てるのよ。しかも、あんたの好きそうなインテリアの雰囲気まで私に聞いてきたし……どう見ても内装のこと考えてる感じだった。あれって新居の準備じゃないの?星たち、もう結婚の話まで進んでるの?」星は数秒黙ってから、ようやく口を開いた。「そういうんじゃないわ。私と仁志は、まだ付き合ってないし……」だが、言い終える前に彩香が遮る。「星、最近SNS見てないでしょ?」「うん。忙しくて、ずっと見てなかった。どうしたの?」彩香は何とも言えない顔で彼女を見た。「あんたの仁志、とっくにSNSで公表してるのに、それでまだ付き合ってないはさすがに無理あるでしょ」その言葉に、星はようやく携帯を取り出し、仁志の投稿を開いた。そして見た瞬間、危うく携帯を落としかけた。そこにあったのは、二人が手をつないでいる写真だった。星をよく知る人間なら、一目でそれが彼女の手だとわかる。仁志は、以前星のボディガードをしていたことがある。連絡の都合もあって、彼女の周囲の友人とはほとんどつながっていた。奏、彩香、凛は言うまでもない。雅臣や影斗、航平とまでつながっている。もちろん、翔太と怜もいた。その投稿に添えられていた文章は何もない。ただ、たった一枚の写真だけ。それなのに、見る者の想像をかき立てるには十分す
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第1682話

今回、星と契約を結んだのは海外の名家だった。だが、その会社の社長は東洋系の顔立ちをした男だった。しかも、かなり若い。見たところ、まだ三十にも届いていない。すっきりとした短髪。耳にはダイヤのピアス。整った顔立ちは精悍だが、どこか不良じみた危うさも漂っている。星は目の前の男を見つめた。「あなた、仁志の友人なんですか?」男は答えた。「友人と言えなくもないが、相棒って言い方のほうがしっくりくるな」――相棒。星は心の中で、その二文字をそっと反芻した。彼女にとって相棒という言葉は、友人よりずっと重い。生死をともにし、いちばん危険な瞬間にも背中を預けられる相手。それが、相棒だ。星は、仁志の友人について多くを聞いたことはない。だが、彼に友人がいないはずもなかった。男は星を見ながら、さらに言う。「一応、自己紹介しておく。俺の日本名は西野寧輝(にしの ねいき)今はロイ家の当主をやってる」またしても、一族の当主。やはり、仁志の周囲にいる人物は、どれも普通ではない。星は手を差し出した。「西野さん、はじめまして」だが、寧輝にその手を取る気はなかった。彼は淡々と言う。「悪いが、俺は同格の実力があって、同じ階層にいる相手としか付き合わない。今回、お前と契約したのも、美咲の顔を立てたからだ。美咲は仁志に借りが多すぎると思ってる。けど、あいつに返せるものが何もない。だからせめて、お前に少し埋め合わせしたってわけだ」その言葉を聞いても、星は屈辱も怒りも顔に出さなかった。ただ、どこか見覚えのある光景だと感じただけだった。なぜ既視感があるのか思い出すより先に、寧輝の次の一言が彼女の意識を引いた。星は眉を上げる。「美咲?それって……あの美咲さんのことですか?」寧輝の深い眼差しが星に落ちる。そこには探るような色と、値踏みするような視線が混じっていた。そして何を思ったのか、彼は意味深に笑った。「なるほど。まだ聞かされてないんだな。あいつらの本当の関係を」星は直感した。彼の言う関係は、ただの友人関係じゃない。「本当の関係?」そう問い返すと、寧輝は椅子の背にもたれた。口元にはうっすら笑みが浮かんでいる。だがその奥には――やっぱり、お前もこの程度か
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