江里子は目を見開き、苛立ちを隠さずに言い放った。「ちょっと、ちゃんと確認してよ。私、先週から予約してたのよ?しかも今日の午後も、何の連絡もなかったじゃない!」「今友達を連れて来たのに、ダメだって?ふざけてんの?」これは遥香が離婚して初めての誕生日。そんな大事な日に水を差されるんだって?こんな悔しい思いをさせられるなんて、江里子が絶対に許せない!マネージャーは江里子の剣幕にうんざりしつつも、大口客の到着を控え、苛立ち混じりに言い返す。彼はスマホを取り出した。「支払いコードを出せばいいんだ。お食事代、こちらで払う。2万円で足りるか?」今日の貸切りの儲けは数十万円なんだから、こんな小銭なんてどうでもいい。江里子は呆れて笑った。「その程度の金欲しがってるとでも?ネットで評判が良かったから予約しただけなのに。連絡もなしでキャンセル?このクソ店、潰れる気?」マネージャーはためらいもなく警備員を呼んだ。「彼らを追い出して。すぐに貸切りの主が到着するから」江里子はすかさず前に出て、鼻先を指して怒鳴る。「今日は絶対帰らない!指一本でも触れてみろ!」遥香は江里子を引き止めた。「もういいよ、怒っても仕方ないわ。こんな連中に関わるだけムダよ。別の店に行こう」「あら、誰かと思えば曽根さんじゃない。入れてもらえなかったの?」艶やかなドレスをまとった女性が現れた。高森家のお嬢様、高森ゆえ(たかもり ゆえ)だ。幼い頃から江里子と折り合いが悪かった。江里子は白い目を向けた。「あら、クジャクみたいな格好でここで食事するの?高級パーティーだと思ってるの?笑えるわ」「あなた……」ゆえは一度つかえたが、にやりと笑って言い返す。「ええ、これは川崎家のお嬢様の誕生日パーティーよ。どうしたの?招待されてないの?」得意げな顔で続ける。「ま、あなたみたいな身分の人間には、尾田家の嫁の誕生会なんて一生無縁よね」川崎家のお嬢様?江里子は思わず遥香を見た。彼女ではない。ならば柚香だ。柚香が、こんな映え狙いのレストランで誕生日?この両親、本当に最低。養女の誕生日は祝うくせに、実の娘は放置なんて。なるほど、川崎家が貸し切ったのか。遥香は江里子の袖を引いた。「行こう。私も彼らには会いたくない」ゆえはせせら笑いながら言った。「後ろの田舎者連れて
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