บททั้งหมดของ 神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる: บทที่ 151 - บทที่ 160

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第150話 疫病神

    双子たちのおしゃべりを聞きながら、エマはナタリナに手伝ってもらい、貴族令息の服装に着替えた。  姿見をみて、服を確かめる。  明るいベージュの外套に、銀糸の縁取りが、上質で品の良い貴族らしさを表している。エマの金髪は横髪が長いので、編み込んで後ろにまとめた。ふだんは法衣を着ているので、自分の姿なのに見慣れない。  胸元には小さな家紋風ブローチを留め、動きやすい乗馬用のブーツを履いた。 「ナタリナ、どうかな?」  エマは恥ずかしそうにナタリナを見あげた。  エマの、輝くような金の瞳と、穏やかに微笑む唇。凜とした佇まいは、王族と名乗ってもおかしくないほどの気品がある。  それでいて、親しみを感じるのは、エマの柔らかい雰囲気のおかげだ。 「まあ! とてもよくお似合いですわ、エマ様」 「そう? 良かった」  エマが衝立の外に出ると、みんなすでに着替え終わっていた。  ナタリナは、紺色の落ち着いた侍女服に、今までと同じ濃い栗色の外套を羽織っている。 「エマ様! 素敵です~!」 「なんと品のある御姿でしょう!」  双子が歓声を上げてエマを褒める。  その背後にいるニコラとパトリックも、驚いたように目を丸くしていた。 「すげー! お坊ちゃまだ!」 「ニコラ! 無礼ですよ!」  はしゃぐニコラに、ナタリナのゲンコツが落ちる。 「いってー!」 「お前は思ったことを口にしすぎだ」 「兄上だって、そう思いましたよね!?」  涙目のニコラがパトリックを睨む。仲の良い兄弟のやりとりが微笑ましい。 「エマ様、あたし達の服どうですか?」 「二人とも、とっても可愛いよ」 「きゃあ!」 「嬉しいですわ~!」  嬉しそうに笑うシーシとスースは、ラベンダー色のお揃いのメイド服で、やはり、生成りのショートマントを羽織っていた。髪型もいつも通りで、シーシはポニーテール、スースはツインテールに結っており、髪のリボンは、シーシが赤色、スースが青色だった。
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第151話 アズレーヌの街

    あの夜会での騒ぎは、レオナールがデイモンド伯のブローチを盗んだのが事の発端だ。万が一、屋敷内で二人が顔を合わせるようなことになれば、ワイール伯爵は板挟みどころか、双方からとんでもない被害を受ける。 (皇太子からの依頼は、千載一遇の機会なのだ! この疫病神に邪魔されては困る!)  ワイール伯爵は素早く計算し、愛想笑いのまま提案した。 「そうしましたら、殿下が不自由なくお過ごし頂けるよう、貴族街で最も格式のある最高級の宿へご案内いたしましょう! 内湯と露天風呂がそれぞれ三つありまして、かつて陛下が滞在なさった際に、贔屓にしてくださった宿でございます」 「おお! 父上も泊まった宿か。では、そこを案内しろ」 「ははっ」  ワイール伯爵は、喜色満面の笑みで頭を下げた。  国王が滞在したのは二十年も前の話だが、勉強嫌いで頭の悪いレオナールが、それに気付くことはなかった。側に控える従者も「これ以上レオナール様に相応しい宿は他にないでしょう」などとおだてている。 (ふん! このうつけ共め! ここは私の領地だぞ!)  ワイール伯爵は腹の内でレオナールに罵詈雑言を浴びせ、仕方なく最高級の宿へ案内した。 + + +  エマたちを乗せた馬車は、数時間走ったのち、アズレーヌの街へ到着した。  この街の東門は貴族専用で、平民は西門か、宝飾品街に近い南門から入るようになっている。  エマたちは、ワイール伯爵と鉢合わせしないように、南門を選んだ。貴族の馬車なので通行証は不要で、仮の身分を名乗れば簡単に入ることができる。  南門から北へまっすぐのびる大きい通りが、中央通りだ。中央街とも呼ばれ、平民や貴族が交わる場所でもあった。  到着したのは夕方だったので、太陽が西へと傾き始めている。  馬車の窓から見える景色も、一気に変わった。  整えられた石畳の大通りには、ランダリエ国の内外から訪れた人々が絶え間なく行き交っている。 (あれは、ザルバードの人かな?)  ランダリエの国民と
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第152話 屋台で夕食

    しばらくして戻ってきたナタリナの案内で、宿へ向かった。  今回泊まるのは貴族街の高級宿で、庭付きの別荘だ。建物は二階建てで、白い漆喰の壁に深緑の窓枠が映える落ち着いた造りだった。玄関先には整えられた花壇があり、湯の香りを含んだ風がそよぐ。敷地を囲むように、高い壁で区切られていて、よそ者が勝手に入れないようになっていた。五メートルほどのシダーの木が並んで植えられているので、隣の建物からの目隠しにもなる。  北側には、浴場が室内に、露天風呂が外に設置されていて、人目を気にせず温泉を楽しめるのが売りだと言う。 (温泉は初めてだから、楽しみだなぁ)  すぐにでも入ってみたいけど、まずは部屋を整えたあと、夕食が先だ。エマの部屋は二階で、日当たりの良い南側だった。  エマが長椅子に腰掛けて待っている間に、ニコラとパトリックが大きな荷物を運び、シーシとスースがエマの荷物を二階の部屋に運び入れる。  ナタリナが紅茶を淹れてくれたので、その時に「夕食を屋台で食べたい」とお願いした。 「まあ、屋台でですか?」 「うん」  案の定、渋い顔をされる。  ナタリナはエマの前に跪いて、宥めるように言った。 「エマのご身分で、下町の人間が集まる屋台へ赴くのは危険ですわ」 「でも、彼らの生活を直に見る良い機会だし……民のことを知るのは、社会勉強だよね?」  エマは、双子から入れ知恵された台詞を言ってみる。  ナタリナの後方で、シーシとスースが拳を握って「頑張ってください!」と仕草だけで応援してくれた。 「ですが、いつも召し上がっているお食事と、屋台で出てくる食べ物はまったく別物ですよ。ナイフとフォークを使うようなお食事ではないので、少々品がありません」 「でも、それが民の普通の食事なんだよね? 僕も、みんなと同じものを食べてみたいよ」  エマが頑張ってねだると、ナタリナがため息をついた。そのまま視線を後ろに向けて、双子をじろっと睨む。 「貴女達、エマ様に余計なこと言ったわね?」 「そんな~言いがかりです~」 「そうですよ~! 
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第153話 記憶の欠片

   「余計なことは言わなくてよろしい。パトリックを見習いなさい!」 「はい……」  涙目になってるニコラは少し可哀想だが、騎士としての姿勢はパトリックの方が正しい。  エマの後ろでは、シーシとスースがクスクスと笑って小声で囁く。 「ニコラ様は、うっかり者ですね」 「それが良いところでもありますわ」  双子の囁きには気付かなかったのか、ナタリナは笑顔でエマを促す。 「さあ、行きましょうか。若様」 「うん」  ようやく出発することになり、エマはワクワクしながら屋台のある平民街へ向かった。   西側の平民街は、東側とはまるで活気が違った。  日が傾き始めた平民街に足を踏み入れると、石畳の通りに色とりどりの屋台が連なり、香辛料や焼ける肉の匂いが混ざり合って漂ってきた。周囲には家族連れや労働帰りの人々で賑わい、あちこちで笑い声や歓声が上がっている。  エマは外套のフードを被って、連なる屋台を眺める。  軒先では、鉄板の上で肉がじゅうじゅうと音を立て、串に刺された野菜が炭火で焦げ目をつけられている。湯気の立つ大鍋には、根菜と豆を煮込んだスープがたっぷり入っているようだ。香草や肉の脂の匂いが合わさった、神殿や王宮では嗅いだことのない、刺激的な匂いも漂ってきた。  おそらく、普通の貴族なら、顔をしかめるような匂いだ。  だけどエマは、不思議と嫌悪感はなかった。 (この匂い……懐かしい?)  初めて嗅ぐ匂いではなかった。  食事をしながら大声で話す、平民たちの騒がしい声。  商人や旅人たちが、思い思いに屋台で食べ物を購入して、飲食用のテーブルで食事をしていた。みな一日の疲れを癒やすように、楽しそうな笑顔で盛り上がっている。  その様子を眺めながら、エマは既視感を覚えた。 (僕、見たことがあるかも……)  どうして、と思ったとたん、記憶の欠片が浮かび上がった。 『エマ、おいしい?』 『うん! おかあさんもたべる?』
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第154話 初めての食事

    長方形のテーブルは、外に置きっぱなしのせいか、あまり綺麗ではない。それに、細長い木の椅子が置かれているだけで、背もたれもなく、ただ座るだけという簡易な椅子だ。テーブルも、決まった席というのがないので、空いてる場所にどんどん人が座っていく。  エマはフードを被ったまま、辺りをきょろきょろと見回した。  外にいる間は、絶対にフードを取ってはいけないと言われているので、いつもより視界が狭いのだ。 (僕の他にも、フードを被ってる人がいる)  それらはエマと一緒で、お忍びでやってくる、貴族や裕福な家の者のようだ。旅人と思われる人たちも、外套のフードを被ったまま食事をしている。  おかげで、エマが注目されることはないが、顔を見せないまま出歩けるというのは、悪事を働く者も、動きやすいということだ。  治安の面で心配になったけど、すぐに通りの衛兵に気付いた。 (あ、でも、見回りの衛兵がいるんだね)  屋台が連なる通りを、二人組の衛兵が見て回っている。揉め事が起こっても、すぐに対処できるようだ。  報告書で読んだ、治安維持のための予算を思い出し、ここにも繋がるのだと気付く。 (実際の見回りってこういう感じなんだ。見回りの人数とか時間とか、予算で変わってくるのかも)  エマは真面目にそんなことを考えながら、辺りの様子を眺めた。 「屋台で買った物は、みんな、こういうテーブルで食べるの?」  疑問に思ったことを、隣のパトリックに尋ねる。 「そうですね。屋台で買った物は、ここで食べるか、家に持ち帰ります。酒場や飲食店もあるので、そこで食事をする者もいますよ」 「お店には、持ち込みできないの?」 「はい。飲食店は、その店で売っているものしか注文できませんし、持ち込みはできない決まりです。屋台より値が張りますが、屋内なので風に当たることもないですし、雨の日も営業できますし、何より衛生的ですね」 「そうなんだ」 「今日のように天気がよくて風もない日は、外でも食事がしやすいですし、屋台で買った物の方が安いですから、ここで食事をする者
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第155話 知っている香り

    エマはシーシの真似をして、パクッとかぶりつく。  少し力を入れると、簡単にかみ切れる。  口の中で咀嚼すると、肉汁があふれてきておいしかった。 「んっ、おいしい! お肉も柔らかいね」 「若様。こちらのパンに肉を挟んで食べても、おいしいですわ!」  シーシとスースが、一緒に買ってきたらしいパンを見せた。 「これに肉をはさむと最高らしいですよ~!」 「若様、ぜひどうぞ~!」  スースがパンに串焼きの肉を挟んで、渡してくる。  勧められるままに食べると、たしかにおいしい。 「僕、串のまま食べるより、好きかも」 「あら、飲み物が足りませんね。ニコラ、買ってきて下さい」 「分かりました」  ナタリナに促され、串焼きを食べ終えたニコラが席を離れる。  エマはナタリナとパトリックに挟まれた形で、テーブルに並べられた屋台の食べ物を、少しずつ食べていく。 「おいしいね」 「はい! 屋台での食事もいいですね~」 「外で食べるの、新鮮だわ~」  シーシとスースの笑顔を見ながら、エマも食事を進める。  周りのテーブルがどんどん埋まって、彼らの話し声がエマたちのところまで聞こえてきた。 「おい、聞いたか? 厄介な貴族が来てるらしいぞ」 「ああ、二日前に来たっていう、あのお坊ちゃんだろ?」 「横暴で、気に入らないもんは怒鳴りつけるらしいな。宝飾品街の東側で店構えてる連中なんて、青ざめてビクビクしてるって話だ」 「ああいう手合いは、気に食わなきゃ商品を叩き壊すって噂もあるぞ」 「領主様も、サッサと追い出してくれりゃいいのにな」 「いや~、なんでも領主様でも手が出せないほどの、大物らしいぜ」 「げっ、最悪じゃねえか!」 「平民街までは来ねぇだろうけど、宝飾品街には近づかねぇほうがいいな。いちゃもんつけられたら面倒だ」 「だな。後で仲間にも知らせとくか」  男達がげんなりした声でぼやくのを聞きながら、エマはナタリナに視線を移
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第156話 奇跡のような再会

    エマを優しく抱きしめる腕は、記憶のままだった。  甘やかな声が、エマの鼓膜を震わせる。 「……エマ?」 「ッ、……、ルシアンさまぁっ」  名前を呼んだとたん、涙があふれた。  喜びと愛しさで、胸がいっぱいで、言葉にならない。 「っ……エマ」  ルシアンが、声を震わせる。  エマを抱く腕に力がこもり、頭を優しく撫でてくれた。 「本当に、貴方なのですね?」 「……はい」  顔を上げると、ルシアンと目が合った。  赤い瞳が潤み、エマをじっと見つめている。 「ルシアン様……お会いしたかったですっ」 「私もですよ」  優しい眼差しで、エマの頬を撫でた。  フードのせいで、ルシアンの銀の髪が隠れている。 (ルシアン様……本物の、ルシアン様だっ)  会いたくてたまらなかった、恋しい人。  別れの挨拶も、できなかった。  もう二度と、会えないことも覚悟していた。  愛する人に再び会えた奇跡に、胸がいっぱいで、また涙があふれる。 「ルシアン様」 「エマ」  見つめ合って、名前を呼ぶだけで、幸福だ。  ずっとそうしていたかったけど、ナタリナの声が現実に引き戻した。 「若様、久しぶりにお会いしたからといって、はしゃぐものではありません。お話なら、滞在先にお誘いしてはいかがですか?」 「ぁっ」  エマがおそるおそる振り向くと、微笑みを浮かべたナタリナがいた。  でも、目が笑ってない。 (あっ……僕が勝手に飛び出したからっ)  失敗した、と後悔していると、ルシアンがフッと笑う。 「では、お邪魔させて頂こう。いいかな?」  ルシアンがエマの顔を覗き込む。  エマはコクコクと大きく頷いて、またルシアンにぎゅっと抱きついた。   ルシアンと奇跡のような再会を果たしたあとも、エマはまだ夢見心地だった。  胸が熱くて
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第157話 お泊まり

    ルシアンを想う日々のことも、こうして再会できた喜びも、伝えたい言葉はいくらでもあるけれど。 (今は、ルシアン様に触れたい……ルシアン様が、欲しいっ)  手を繋いだまま、エマはまたルシアンを見上げる。  すると、ルシアンもエマを見下ろして、静かに微笑んだ。 (ルシアン様も、同じだ)  同じ想いでいるのだと分かって、エマは唇を緩ませる。  早く宿に着いてほしいと願いながら、ルシアンの手をぎゅっと握りしめた。   エマが泊まる高級宿の前に着くと、ルシアンは足を止めて、建物を眺める。 「ここに泊まっていたのですね。下級貴族向けの区域ではありませんか?」 「はい。今回はお忍びなので。今日、ちょうどアズレーヌに着いたところなんです。数日、観光する予定で」 「それなら、明日にでも、私が街を案内しましょうか?」 「えっ、よろしいのですか?」  エマは弾んだ声で、ルシアンを見上げた。 「ええ。この街には、仕事でしばらく滞在していましたから」 「ぜひ、お願いしたいです!」  エマが期待に目を輝かせると、ルシアンも嬉しそうに頷いた。 (ルシアン様と、お出かけできるんだ!)  視察の予定もあるけど、急ぎではないから、後回しにしても良い。  王都でのデートを思い出して、エマの頬がだらしなく緩む。 「それでは、明日出かけるとしましょう」 「はいっ」  庭を通って玄関の中に入ると、ようやく一息つける。  エマがフードを外すと、ルシアンもフードを外し、外套を脱いだ。  玄関ホールにはルシアンの従者が水の入った杯をトレイに乗せて控えており、小声で何か伝えている。ルシアンは杯を取って、中身を飲み干した。  従者と話しているので、どうやら何か報告を受けているようだ。  エマの視線は、ルシアンに注がれる。エマと同じくお忍びだったようで、飾りの少ないシャツに、濃い茶色の革ベストを重ねていた。服装だけみれば、裕福な商
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第158話 唇のキス

    エマはあっけにとられて、ルシアンを見上げた。彼には分かっているようだから、疑問を口にする。 「ナタリナは、どうしてすぐ出て行ったのでしょう?」  困惑するエマに、ルシアンは優しく教えてくれる。 「気を利かせて、二人きりにしてくれたんですよ」 「え?」 「ほら。もう我慢できないでしょう?」  ルシアンは瞳を細めて、甘い眼差しを向けた。  急に刺激的な香りがして、鼓動が跳ねる。 「ぁっ……んッ」  ルシアンのフェロモンは、深い森に潜む獣のような猛々しい強さがあり、息をするたびに全身を包みこんでいく。  じわじわと欲を煽られ、少しずつ息が乱れる。  ルシアンがそっと腕を回し、エマを引き寄せた。  額に落ちた小さなキスは、くすぐったいほど優しい。それから、唇がゆっくり降りてくる。瞼や頬にもチュッチュッとキスをして、そのまま唇の端にもチュッと軽く触れた。 「んっ、ルシアン様」  エマは驚いて、目を見開く。  ルシアンの指先が、エマの唇をそっとなぞった。 「ここに触れても、いいですか?」  請うような眼差しに、エマの胸はドキドキした。  唇へのキスは、婚約者か夫婦にしか許されていない。ランダリエの貴族社会では、それが常識だ。  おそらく、帝国も同じはずだ。  けど、ルシアンはそれを望んでいる。 (僕はまだ、ルシアン様と正式な関係じゃないのに)  エマは、王族の婚約者という立場に縛られたままだ。  それでも。  エマの心は、もうルシアンのものだ。  この体も、すべてルシアンに捧げたいと願っている。 (僕は、ルシアン様の恋人だって、信じてもいいんだよね?)  エマを見つめる赤い瞳は、情欲に潤んでいる。  焦がれる眼差しを、拒むなんてできなかった。 「……はい、ルシアン様」  エマは震える声で、頷いた。  その返事を待っていたかのように、ルシアンの指がそっと唇をなぞる。  ビクッと震え、甘い声が
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第159話 召使い

    ルシアンの答えに、カァッと頬が熱くなる。  自分がルシアンを誘っているのだと、本人から優しく告げられて、顔から火が噴き出しそうだ。 「うぅっ」  思わず両手で顔を覆うと、ルシアンがフフッと笑う。  エマを抱きしめながら、頭を撫でてくれた。 「貴方は、本当に可愛らしい」 「っ、ルシアン様」  甘い声でそんなことを言われては、また胸がドキドキしてしまう。  エマがちらりと顔を上げれば、ルシアンがエマの手を取って、隠していた顔を覗き込む。 「ん……ルシアン様」 「エマ」  ルビーの瞳が、驚くほど鮮やかに輝いている。  いつもより色気の増したルシアンに、エマはうっとりと唇を緩めた。 「エマ。貴方に触れてもいいですか?」 「はいッ……僕も、ルシアン様に触れたいですっ」  エマはコクリと頷き、想いを告げた。 「屋台でお見かけしたときから、ずっと、ルシアン様が欲しかったから」 「エマ」  ルシアンが目を細めて、エマの頬を撫でる。  その仕草一つ、エマを見つめる眼差し一つで、どれほど愛されているか伝わってくる。 (このまま、抱いてもらえる?)  そんな淡い期待を胸に抱くが、ルシアンはそれを見透かしたように、ゆっくりと口を開いた。 「私は貴方を愛しています。ですが、貴方が自由になり、私の手を取ってくれる日までは……本当の意味で、貴方を抱くことはできません」 「はい……」  ルシアンの切ない表情に、エマも胸が締めつけられる。  本当は、今すぐ抱いてほしい。  けれど、王族の婚約者であるエマに、不義は許されない。 (僕のために言ってくれてるんだ)  ルシアンの優しさに感謝するべきだと分かってるのに、オメガの本能が抵抗する。 (ルシアン様が欲しい……この体で、すべてを受け止めたいのにっ)  ワガママを言いそうになって、ぐっと堪えた。  ルシアンだって、理性で堪えているのだ。 「ルシアン
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