บททั้งหมดของ 神殿育ちの嫌われΩは、隣国の伯爵αに蕩ける愛を刻まれる: บทที่ 171 - บทที่ 180

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第170話 もう会えない家族

     エマはナタリナを慰めるように答える。  平民嫌いのレオナールが、平民も出入りする店に足を運ぶなんて、誰が予想できただろう。エマも実際にこの目で見なければ、今でも信じられずにいたはずだ。 「あっちも、お忍びなんだよね?」  レオナールは、令嬢達に「レオン様」と呼ばれていた。エマ達と同じように身分を隠して行動しているはずだ。  ナタリナは苦々しい顔で答える。 「謹慎中にもかかわらず、脱走してここへ来たのでしょう。担当している直轄領ですから、融通が利くでしょうし」 「それに、ワイール伯爵夫人は、側妃の妹だもんね」 「侯爵の後ろ盾と身分を笠に着て、やりたい放題しているようです。罰から逃れ、平然と遊び回るなど、何の反省もしていない証拠ですわ」  ナタリナは憤慨しながら、さらに言い募ろうとする。  しかし、ルシアンが口を挟んで止めた。 「その件は、ひとまずおいておこう。今日はもう宿に戻りましょうか?」  ルシアンが穏やかな笑顔で、エマを覗きこんだ。  背中を撫でる手が優しくて、強ばっていた体から力が抜けていく。  ひどく緊張していたことに気付き、また息を吐き出した。顔を上げると、ナタリナや双子、護衛たちが心配そうな顔でエマを見ている。  せっかく街に出て、今から観光しようと思っていたけど、続きを楽しむ気分にはなれなかった。 (みんなには申し訳ないけど……安心できるところに行きたい)  レオナールと遭遇した衝撃はあまりに大きく、エマは無意識にルシアンの外套を掴んだ。  ルシアンは優しく微笑み、エマの頭を撫でる。 「では、今日は戻りましょう。温泉に浸かれば、気持ちも落ち着きますよ」 「温泉?」 「ええ。後で一緒に入りましょう」  そっと囁かれ、ドキッとした。 (ルシアン様と、湯浴み……?)  浴槽が広いとナタリナが話していたことを思い出し、エマは頬を染めた。  ルシアンはニコリと笑みを浮かべ、それからナタリナたちに指示を出す。
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第171話 湯浴み着

     穏やかな声音に、エマは唇を引き結ぶ。  そうしないと、泣いてしまいそうだった。  ルシアンの柔らかな声が、エマを包んでくれる。 「ご家族のこと、思い出せて良かったですね」 「っ……はい」  背中に添えられた手が、温かい。  ルシアンは甘い声で、エマにささやいた。 「またご家族のことを思い出したら、私にも教えてくれますか?」 「え?」 「私も、貴方のご家族のことを、覚えていたいですから」 「っ、ルシアンさまぁ」  あまりにも優しい言葉に、エマはぎゅっと手を握り返す。  ルシアンが微笑みながら、またエマの頭を撫でてくれた。 「ありがとうございます。ルシアン様」 「礼などいりませんよ。私が、貴方に触れたいのですから」 「っ!」 「宿に戻ったら、嫌なことを全て忘れるくらい、愛して差し上げます」 「……はい」  囁かれる言葉は温かくて、甘くて。  エマは顔を赤くしたまま、コクッと頷いた。 + + +  エマがルシアンと共に宿へ戻ると、すでに準備は整えられていた。  ルシアンはノエルから報告を受けるとのことで、エマは先にナタリナに促され、浴室へ向かうことになる。 「エマ様。お二人が入浴されましたら、少し外出してもよろしいでしょうか?」 「え? いいけど……どこに行くの?」  つい先ほど、レオナールに遭遇したばかりだ。  エマは心配になって、ナタリナを見上げる。 「どうしても必要な物があるので、購入しておきたいのです。お忍びの格好で出ますから、大丈夫ですよ」  ナタリナは優しく微笑んだ。 「パトリックとニコラは残しておきますので、警護は問題ありません」 「うん……気をつけてね?」 「はい。ありがとうございます」  ナタリナの行き先は気になったけど、エマに必要な食料や薬だろうと見当を付け
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第172話 温泉の入り方

    「外の露天風呂は、解放感があって気持ちいいですよ。気分が晴れると思います」 「外で入るのって、変な感じだけど……周りから見えたりしない?」 「囲いがありますから、覗き見される心配はありませんよ」  ナタリナの言葉に安心した。 (外で湯浴みって、どんな感じなんだろう?)  湯浴み着一枚で外に出るのは、少し恥ずかしいけど、ナタリナの言葉で楽しみになった。 「それから、私は中には入りませんので、お体を清めるのは、デイモンド伯にお任せしてください」 「えっ? ルシアン様に!?」  エマは驚いて声を上げた。  体を洗うのは侍女やメイドの仕事だ。ルシアンに召使いのような真似をさせるなんて、信じられなかった。  けれど、ナタリナは楽しげに答える。 「私がお供をする方が、デイモンド伯にとっては不敬ですわ」 「え? そうなの?」  侍女に体を洗ってもらうのが不敬だなんて、エマにはどういうことなのかさっぱり分からない。  首をかしげていると、ナタリナがこっそり囁いた。 「私が一緒では、お二人の邪魔をしてしまいますでしょう?」 「っ! な、ナタリナ!」 「デイモンド伯は、エマ様を独り占めしたいと思っていらっしゃるのですわ」 「そっ……そんなこと、ないと思うけど……!」  そう答えたものの、頬が熱いし、小声になってしまう。  ナタリナは櫛を置いて、エマの湯浴み着をもう一度整える。 (ルシアン様と、一緒にお風呂……)  ナタリナの言葉のせいで、そわそわしてしまい、落ち着かない。 「エマ様。温泉に長く浸かると、体にも良いのですが、熱いと思ったら、すぐに浴槽を出て水浴びをしてください。休憩するための椅子もありますから、そこで休んで、落ちついてから、また温泉に浸かるのです」 「何度も入るってこと?」 「はい。そうやって、出たり入ったりを繰り返して、長い時間を掛けて浸かるのが、温泉の楽しみ方です」 「でも、その間にお湯が冷めるん
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第173話 洗ってもらう

    (ナタリナっ! これ、女性用なの!?) 問い詰めたかったけど、もう遅い。 エマはルシアンに手を引かれて、洗い場へと移動した。 小さな浴槽があり、その横に背もたれのない、木の椅子があった。エマはそこに腰掛ける。「まずは、髪から洗いましょうか」「えっ? 本当に、ルシアン様が僕を洗うのですか?」「もちろんです。ほら、前を向いて」 ルシアンに促され、エマは恐れ多い気持ちで前を向く。 ナタリナに洗ってもらうのは慣れているけど、こういうときにどうすればいいか分からない。「あの……僕、慣れてなくて」「大丈夫ですよ。髪を濡らすので、目を瞑って」「はい」 ぬるいくらいのお湯が、頭のてっぺんからゆっくり流れ落ちる。 髪が濡れると、ルシアンは整髪剤の瓶を取りだして、それをエマの髪に塗った。(あっ……薔薇の香り?) エマの好きな花の香りに、思わず笑みを浮かべる。「いい香りでしょう?」「薔薇ですよね?」「貴方には、この香りが似合いますから」 ルシアンはそう言いながら、エマの頭を洗い始めた。指先で頭皮を軽く揉みながら、髪も丁寧に洗っていく。「エマ、痛くないですか?」「大丈夫です」 エマは下を向いたまま答えた。 どんなふうに洗われるのだろうと緊張していたが、温かな湯とほどよい指圧が気持ちよくて、ほっと息を吐いた。(ルシアンの手、気持ちいい) 体のこわばりがほぐれると、不安や心配事も軽くなるようだった。「エマ、流しますよ」「……はい」 気を抜くとウトウトしてしまい、声を掛けられてハッとする。 頭からお湯をかけられるのは初めてだけど、すごく気持ちよかった。 洗い終えた髪からも、薔薇の香りがして、気分が良い。「では、体の方も洗いますね」
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第174話 堪能させて

     両脚を入れて、浴槽に立った。  深いのかと思ったけど、膝くらいの高さしかない。 (バスタブと同じで、座って浸かれるんだ) 「エマ」 「はい」  ルシアンに促されて、エマは浴槽の中に腰を下ろした。  お湯の中では湯浴み着がふわりと揺れて、股間が見えてしまいそうになる。 (うわっ、気をつけなきゃ)  裾を手で押さえて、ちらっとルシアンを窺った。ルシアンの腰布も裾がめくり上がっていたけど、肝心のところは隠れている。  あの布を外すのは、いつだろうか。  そんなことを考えてしまい、ぎゅっと目を瞑る。 (もうっ、そんな淫らなこと考えるなんて!)  己を叱咤していると、ルシアンが優しく声を掛けた。 「エマ、まだ熱いですか?」 「ぁ、大丈夫ですっ」  慌てて首を振り、ルシアンを見上げる。  湯けむりの中で、たくましい体が妙に艶めかしく濡れていた。ほどいた銀髪が濡れたまま肌に張りつき、あまりの色気に頬が熱くなった。  昨夜、初めて裸体を目にしたときもドキドキしたけど、今だって鍛えられた肉体美に見惚れてしまう。 (二の腕も、がっちりしてる。汗の匂いも惹きつけられるし……欲情した顔で、僕のことを……っ)  昨夜は最後まではしなかったけど、滾るような熱を思い出すだけで、エマの腰が疼いた。 「はぁ……っ」  淫らな記憶を追い払おうと、息を吐き出す。  すると、ルシアンに肩を抱き寄せられた。 「んっ、ルシアン様?」 「温泉は、初めてなのでしょう?」 「はい。こんなに広いとは思いませんでした」 「こういう様式の浴室は、貴族の館にもありますよ」 「そうなのですか?」 「ええ。温泉は、この泉質が重要なんです。普通の水とは違って特別ですから」 「せんしつ?」 「ここの温泉は、肌が綺麗になるようで、女性には特に人気の温泉地です」 「お湯に浸かっただけで、肌が綺麗に?」
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第175話 湯殿

     発情期が近いわけでもなく、ベッドの上でもないのに、ルシアンがエマを求めているのだ。  信じられない気持ちで、ルシアンを見つめる。 「エマっ」  ルシアンは熱い吐息を漏らして、エマの体を愛撫した。  胸を撫でていた手が、布越しに乳首を擦り上げ、こねまわしてくる。  弱いところを指先で擦られて、エマは体をのけぞらせた。 「ひゃぁっ……ぁぁっ、んぁぁっ」 「貴方のここは敏感ですね。もう勃っています」 「やぁっ……そんな、ァァッ」  クリクリと弄られると、腰の疼きが強くなった。  エマの雄は固さを増して、ゆるゆると勃ち上がる。蕾からも、愛液がこぼれているだろう。 「ぁぁっ、んっ、あぁぁっ」 「見てください、エマ。貴方の艶めかしい姿を」  ルシアンの声に誘われるまま、エマは視線を下げる。  肌に張り付く湯浴み着に、ぷくりと勃った赤い乳首が卑猥だった。両脚を開いているせいで、勃起した雄が布を押し上げようとしている様も、はっきりと目に映る。 「ぁぁっ……ゃぁぁッ」  恥ずかしさに、涙がにじんだ。  ちゃぷちゃぷ、とあふれるお湯が股間を濡らして、その刺激にさえ感じてしまう。 (あぁっ……乳首、いじって……僕のを、触ってぇ……っ)  ルシアンに煽られた躰は、快楽を求めて腰を揺らした。  口を開けば、みっともなくねだってしまいそうで、エマは奥歯をかみしめる。 「ここも、気持ちよくしましょうか」  そんな言葉と共に、乳首から手がはなれた。  切なく思った瞬間、太ももを撫でられてビクッと震える。 「ひゃっ……ぁぁんっ」 「可愛がってあげます」  ルシアンの甘い声が響き、股間に熱い衝撃が走った。 「ッ……ひゃぁぁっ!」  ビクリと体が跳ね、両手で上体を支えきれず、肘が折れる。ずりずりと仰向けに倒れるが、エマはなおも体を反らせた。  浴槽の縁に腰を預けたまま、ルシアンに股間を愛撫される。
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第176話 露天風呂

     ルシアンは甘い瞳で見つめてくる。  けど、エマは念のために釘を刺した。 「ルシアン様。僕、また同じことされたら……倒れちゃいます」 「……分かりました」  ルシアンは残念そうに肩を落とす。 (もうっ。ルシアン様は、元気すぎるよね)  求めてくれるのは嬉しいけど、エマの体力が追いつかない。  もっと鍛えないとなぁと思っていると、ルシアンが甘えるような声で尋ねる。 「エマ。キスだけなら、いいですか?」  どうしても、エマに触れたいらしい。  ルシアンの気持ちが嬉しくて、エマは微笑む。 「はい。僕も、キスは好きです」 「っ……貴方は、本当に可愛いですね」  赤い瞳が細められ、唇にキスが降りてきた。 「ンッ……ルシアン様っ」 「キスだけです」  顔を上げたルシアンが、ニコリと笑う。 (うっ……いっぱい、キスされちゃうかも)  エマは頬を赤くしながらも、ルシアンと一緒に露天風呂へ向かった。  外のお風呂は初めてで、内湯との気温差に体が震える。 「ちょっと寒いですね」 「すぐに慣れますよ」  ルシアンにエスコートされて、露天風呂へ入った。  内湯より湯温が低いので、しっかり肩まで浸かる。  ナタリナの言ったとおり、ここは高い囲いに守られ、外からは見えない造りになっていた。  まだ昼間の時間なので、頭上には青空が晴れ渡っている。鳥のさえずりも聞こえ、手入れの行き届いた中庭の緑が揺れている。 「外で湯浴みなんて、初めてです。気持ちいいですね」  柔らかな風が頬を撫でて、湯気が控えめに立ち上るのも、風情がある。  外だからか、開放感があって気持ちいい。 (今だけは、何もかも忘れてゆっくりできそう)  ほぅっと息を吐くと、隣で湯に浸かっていたルシアンが、エマの腕をつかんだ。 「エマ、見てごらん。肌に泡がついてるだろう?」 「あっ、本当ですね。足にも」
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第177話 今後の予定

     着替えと身支度を済ませて、エマは二階の自室に戻った。  ルシアンは先に部屋に戻っていて、応接用の長椅子に座っている。長い銀髪はまだ少し湿り気を帯びているが、それがさらにルシアンの美しさを際立てていた。  宝石のような赤い瞳と銀の髪は、神秘的な魅力に輝いて、エマはうっとり見惚れる。 (ルシアン様……カッコイイ)  一枚の絵画にして残しておきたい。  そう思うくらい、絵になる姿なのだ。 「エマ」  顔を上げたルシアンが、エマに微笑みかける。  エマは緩みそうになる頬を押さえて、ルシアンの横に腰掛けた。 「ルシアン様。ナタリナの護衛に、ジュリアンを付けてくださったと聞きました。ありがとうございます」 「いえ。ジュリアンも良い経験になるでしょうから」  ルシアンはニコリと笑う。 (護衛の経験が少ないのかな? まだ若そうだし)  ニコラよりも年下のようだから、経験を積ませる意味もあるのかもしれない。  そう考えていると、ルシアンが柔らかな笑みを浮かべた。 「湯上がりの貴方も、綺麗ですね」 「えっ? そんな……ルシアン様の方が素敵ですっ」  エマは頬を染めて、言い返す。  ルシアンは嬉しそうに笑って、エマの腰を抱いた。先ほど、湯殿でそうしていたように、自然とルシアンに寄りかかる。  ただこうして、体をくっつけているだけで、幸せだ。  ルシアンと寛いでいると、シーシとスースが軽食を運んできた。  サンドイッチと小さなキッシュ、それにメルベランが器に盛ってある。どれもつまんで食べられるものばかりで、給仕の必要はない。 「エマ様。伯爵様。ご用の際は、お申し付けください」  双子は心得たように笑顔を浮かべ、すぐに下がった。  エマは少し面はゆい気持ちになったけど、気を利かせてくれた二人に感謝する。 「ルシアン様、メルベランがありますね!」 「貴方が気に入っていると聞いたので、用意しました」 「そうなんで
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第178話 報告書

    「それから……ひとつ、貴方にお願いがあるのですが」 「お願いですか? 僕にできることなら、何でもしますっ」  ルシアンから頼み事をされるとは思わず、エマは目を輝かせた。 「実は、貴方から頂いたお守りが、もう破れてしまいそうなのです。新しいものを頂けると嬉しいのですが」 「お守り? あ、あの祝福の詩ですか?」 「ええ。大切に扱ったつもりなのですが、貴方が恋しくて何度も眺めているうちに、しわになってしまって」  そう言って、ルシアンはお守り袋を取り出した。  たしかに、中のカードが今にも破れそうである。 「こんなになるまで、何度も?」  ルシアンがエマを恋しがったというのは、本当のようだ。  薬のお礼にと渡したものだけど、ずっと大事にしてくれたのだと知って嬉しくなった。 「また、新しいものをご用意しますっ! あ、でも、王宮でないと準備できないので……」 「それなら、ジュリアンに持たせてください。間に合えば、私が直接受け取りに伺います」  ルシアンは笑顔で答える。  新しいお守りを用意することで、ルシアンと繋がっていられるのだ。 (ジュリアンに渡すときに、ルシアン様へのお手紙を託せるかもしれない)  いろんな可能性が広がって、ドキドキした。 「分かりました。王宮に戻ったあとに、用意しますね」 「お願いします」  エマは顔がにやけそうになるのをこらえながら、ルシアンに頷いた。  + + +  ルシアンはエマと別れた後、再びワイール伯爵の館に戻った。  本当なら、これほど早く戻るつもりはなかった。しかし、従者のノエルから報告を受けて、エマの安全のために離れることにしたのだ。  滞在している客間で、ノエルから渡された報告書を読む。 「ルシアン様。ワイール伯爵が、ルシアン様が立ち寄った先を探っているようです。また、例の男からワイール伯爵へ接触がありました」
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第179話 悪巧み

     だが、ランダリエはオメガを聖樹と尊ぶ国だ。それに、「帝国のオメガを嫌悪している」という一文が気になる。確かにランダリエと帝国のオメガは国での扱いが違うが、レオナールのような俗物な男が帝国のオメガを嫌うのは不自然に感じる。 (何故だ?)  何かを見落としている気がして、ルシアンは報告書から顔を上げた。  以前に、エマから聞いた話を思い出す。 (たしか、エマに抑制剤を渡さず……発情期に苦しんでいるのを見て、笑っていたと言っていたな)  あの時は、傷ついたエマを慰めることで頭がいっぱいだった。  しかし、思い返してみれば、違和感がある。  ルシアンは、エマから聞いた話をもう一度頭の中で整理した。 (何か、見逃していることはないか?)  しばらく考えたすえに、ハッと気付いた。 「まさかッ!?」  辿り着いた答えが信じられず、思わずかぶりを振った。  そんなはずはない……だが、そう考えると、すべて繋がるのだ。 (本当に、そんなことが可能なのか?)  ルシアンの推測が当たっていれば、とんでもない事態になる。  今は憶測に過ぎないが、この件についても証拠を集めるべきだ。  ルシアンは急いで、ティエリーへ手紙を書いた。  + + +  ワイール伯爵がレオナールに用意した最高級の宿は、貴族の別荘地と似た造りで、快適に過ごすことができる。  レオナールは、アズレーヌの街に来てから、王都にいたときと同じように我が物顔で歩き回った。本人はお忍びで楽しんでいるつもりだが、偽名だけ名乗り、顔も隠さず遊び歩いているのだから、王太子の耳に入るのも時間の問題だ。  一緒に付いてきた従者やわずかな側近は、レオナールの機嫌を取ることが第一で、咎めることはしなかった。たとえ謹慎を破ったことが知られようと、ジゼル側妃とノワジエール侯爵の後ろ盾があれば、それほど厳しい処分にはならないはずだ。  レオナールもそれを分かってい
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