Semua Bab 愛されなかった武士の娘が寵愛の国へ転身~王子たちの溺愛が止まらない~: Bab 121 - Bab 130

213 Bab

122.愛の記憶と、新しい生命の希望

扉を閉めて、部屋に一人きりになると、昨夜の甘い出来事が鮮明に思い出された。サラリオ様の大きな胸に抱き寄せられて、彼の温かい息が耳元にあたるだけで、熱くジンジンと火照る。唇が触れ合うたびに小さく吐息が漏れ、ねっとりと舌を絡ませるたびにもっと触れて絡ませたくなる。彼の肌の感触、匂い、そして鼓動。そのすべてが私の身体を反応させて虜にしていた。触れて身体が熱く反応するたびに、サラリオ様の少し荒くなった息遣いを感じるたびにもっと奥深くまで繋がりたくなる。鼓動や視線、指、身体の全てが、私自身も知らないうちに、サラリオ様を求めていた。昨晩は夢中でサラリオ様のことしか見えていなかったが、こんなにも愛おしく、こんなにも相手のすべてを欲しくなるような気持ちになることに、少しの恥ずかしさとそれ以上の幸福を感じていた。そして、この行為が子どもを授かることに繋がるのならば、こんなにも神秘的で幸福なことはないと思った。愛する人と一つになれた喜びだけでも胸が焦がれて満たされるのに、愛する人の子どもを身籠ることは、二人の繋がりが愛のカタチとなってこの世に存在することのように思えたのだ。そして、子どもを授かることが神秘的だと思えたのはこの国に来たからだ。子どもを産むことは痛みと苦痛を伴うものだと、子どもを授かることは覚悟と責任を持つことだと思っていた私が、この国でサラリオ様と出逢い、深く献身的な愛を受けたことによって、子どもを授かることも、その行為自体に対する思いも大きく変わった。この
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-15
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123.アゼルとの恋路、

サラリオ様と結ばれた喜びに浸っていたが、目の前の問題は何も片付いていなかった。ゼフィリア王国が私のことを魔術を操る女として警戒していることも、ルーウェン王国が第一王女をサラリオ王子と結ばれ王女になるべく求婚してきていることも、先の長くなりそうな問題ばかりだった。そんなある日の午後、私はアゼルと二人きりになった。少ししてからアゼルは気まずそうに口を開いた。瞳には、期待と深い不安が入り混じっている。「葵、この前の件だけど……。俺が葵の一番になりたいと言ったことに対して、『ごめんなさい』、と言ったよな。あれは、他に思いを寄せる人がいるということか?それとも俺に何らかの落ち度があるのか?」アゼルの問いかけに、心が締め付けられた。彼に嘘をつきたくない。しかし、正直に答えることは彼を傷つけることになる。「そ、それは……アゼルの気持ちは嬉しいけれど、他に好きな人がいるの。願わくば、その人と一緒になりたいと思っている。」私の言葉にアゼルは顔を俯かせた。その表情から、私が誰を想っているのかアゼルはすでに分かっているようだった。「それは、サラリオ兄さんか?」「はい……」私の答えを聞くと、アゼルは深く大きなため息をついた。
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124.アゼル、最後の愛の告白

「葵、好きだ。愛していた。……いや、愛している。届かないと分かっているけど、愛している」そう言って愛の言葉を囁いた。熱い真っ直ぐな愛のセリフが今は切ない。アゼルの言葉に応えられないことに、私の胸は押しつぶされそうだった。この手を動かしたら、アゼルに期待をさせてしまうかもしれない。そう思って、私はただ、その場で静かに立ち尽くしていた。「今はまだ無理だけれど、『愛していた』の過去形になるようにするよ。悔しいし、どうしようもない気持ちでいっぱいだけれど、葵の幸せを願うから、困らせるようなことはしない」何も言わず、動かない私を見て、アゼルは諦めをつけたように静かに身を離した。彼の瞳は、うっすらと涙で滲んでいる。そのことに気がついて、私の目も潤み大粒の涙がこぼれた。彼の愛を受け止められなかったこと、彼を傷つけてしまったことへの悲しみ、そして、彼の優しさへの感謝が涙となって溢れ出したのだ。「でも、あの時熱を出してよかった。葵がずっと寄り添って看病してくれて、口移しで薬も飲ませてくれた。……葵のファーストキスは、俺が奪ったと思ってもいいんだよな?」「うん……うん。初めてのキスは、アゼルだよ」アゼルは、少しだけ、本当に少しだけ、嬉しそうに微笑んだ。「よかった」アゼルは大きな手を私の頭に置き、軽
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125.伝わることの喜び

数日後、皆が寝静まった夜にサラリオ様がこっそり部屋を訪ねてきた。もう、部屋を訪ねてくることに驚きはない。あるのは、幸福と、待ち遠しい気持ちが通じた喜びだけだった。「葵、来ても良かったか?」「はい―――。心待ちにしておりました。」私の言葉に、サラリオ様は優しく微笑み抱き寄せて額にキスを落とす。一日の終わりにサラリオ様の温もりを感じながら眠りにつく。私のことを愛おしそうに大切に触れてくれる唇も指も、私の背中や身体中に落とすキスも、全てが私の心と体を満たしていく。彼の優しい愛に包まれるたびに、私は、この世界で生きていくことへの希望を強く感じていた。「サラリオ様、好きです。」消え入りそうな声で囁いた私の言葉に、サラリオ様も反応し、身体をピクンとさせて一瞬硬直させた。そしてすぐに微笑み、私の頬や首に何度も何度もキスを落とす。サラリオ様のキスは、私の言葉に喜び、行動で示してくれているかのようだった。私は、アゼルの告白を受けて、ある大切なことに気がついた。サラリオ様に好きだと言えば、受け止めて好きと返してくれる。けれども、アゼルは報われない愛だった。あんなに、まっすぐで情熱的に私のことを思ってくれていたアゼル。そんなアゼルの告白を受けて、好きな人が好きでいてくれることがどれほど奇跡
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126.愛と国政、そして新しい未来への一歩

リリアーナ王女には、咄嗟に葵は医療を課題の解決するための有識者だと説明した。あの時は、ただその場を凌ぐためだけの嘘だった。しかし、その嘘が、この先の未来を切り開くための道筋になると私は考えるようになった。(葵のことが認められれば、葵を王妃として迎え入れることも可能だ。婚約まで結びつければ縁談の話もなくなる。)私は、今の国の状況や課題について葵に包み隠さず説明した。我が国は医療の知識を持った者、すなわち医者が極端に少ない。そして、けがの程度にかかわらず医者がすべてを見て対応するため、医者の生活は裕福だが、非常に過酷で医者を志す者が減っていた。このままでは医療崩壊は時間の問題だ。葵も真剣に私の話に耳を傾け、しばらく考えこんだあとに元居た世界の医療について話をしてくれた。彼女の瞳は、未来を見据えるかのように輝いていた。「サラリオ様、私の国では医者の他に、医者を補助する看護師や、薬を専門に扱う薬剤師がいました。この国でも補助をする人を増やしたり育成するのはいかがでしょか?」葵は、そう提案した。彼女の言葉は、まるで暗闇に差し込む一筋の光のようだった。「補助をする者を増やすことで医者はより専門的な治療に専念できるし、一人一人の患者にもっと時間をかけられるようになります。また、薬の知識を持った専門家が薬の調合や管理をすれば、薬の誤用も減らすことができます。」彼女の言葉は、説
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-16
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127.愛する人の知恵、国の未来を照らす光

「看護師は、医者を補助して簡単な医療行為をしたり、患者の身の回りの世話をしたりします。そして、薬を専門に調合するのが薬剤師。医者と看護師、薬剤師が協力し、主に大きなけがや重病を扱います。」葵は、身振り手振りを交えながら、看護師と薬剤師の役割を丁寧に教えてくれた。その説明は、私の知るこの国の医療のあり方とは全く異なる革新的なものだった。これまでにない新しい医療体系のビジョンを鮮明に映し出していた。彼女の言葉の一つ一つが、私の心を揺さぶる。「私は、医療行為ができる立場ではありません。しかし、包帯を巻いたり、少し調子が悪い時や、軽度の怪我を悪化させないように早く治すための薬草を作ることはできます。これは『未病』と言って、軽度の症状を鎮めるための知識や方法です。」この国の医者は、重病や大怪我を治すことばかりに忙殺され、軽度の症状にまで手が回らないのが現状だ。しかし、その軽度の症状こそがやがて重病へと発展する原因になることが少なくない。葵の提案は、まさにこの国の医療が抱える根本的な問題を解決する鍵だった。 「もし、この国でどの家庭も症状が悪化する前に対処することができれば、重病になる可能性が減り、皆が幸せに暮らせるのではないでしょうか。この国の医療を変えるなら、大きく二つ。医者の補助をする医療行為もできる看護師を増やすこと、そして事前に予防をして病気を重症化させない『未病』の考え方を広めることです。」彼女の瞳は、この国の人々の幸せを願う、温かい光に満ちていた。私は、彼女の知恵と優しさに、改めて心を奪われた。そして、意を決したよう
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128.国の真価、女性の輝き

「サラリオ様、今いるお医者様の中から教える専門の人を作り尽力してもらうのはどうでしょうか。そして、医療行為ができる人、薬の専門家を育てる教育の仕組みを作るのです。私の国では、そのような学ぶ場所を学校と言いました。国で学校を運営して、未来の医療行為を担う人を増やすのです。」彼女の言葉は、単なる医療改革にとどまらない、この国の社会構造そのものを変える可能性を秘めていた。「学校を運営していくためにも、私に医療補助も行えるように学ばせていただけませんか。学びを得た後は、国の女性たちに教える立場になりたいのです。この国の女性たちに未病の対処法や医療行為の出来る人を増やしたいのです。」その言葉は、私に大きな衝撃と深い喜びをもたらした。彼女は、ただ私の愛しい女性であるだけでなく、この国の未来を担うかけがえのない存在なのだ。「葵……ありがとう。」私は、感謝の気持ちを伝えるように彼女の手を優しく握り抱きしめた。リリアーナ王女に話したあの嘘は、もう嘘ではない。葵は、この国の医療を救う『女神』として国民に迎え入れられるだろう。私は、彼女の強い決意を全力で支え実現させると心に誓った。「葵に話をしてよかった。これからも一緒に国のために歩んでくれないか」
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129.王子たちの集結、そして未来への誓い

この日、サラリオは三人の王子を自分の執務室へ来るようにと呼び出した。張りつめた空気の中、サラリオは静かに口を開いた。「集まってもらってすまない。今日は大事な話があって来てもらった。」そう言うと、先日私が話した医療改革と学校の創設の件について、彼は真剣な眼差しで説明し始めた。三人は聞き馴染みのない言葉に最初は戸惑いながらも、その目的や、実現した先の未来像が分かると瞳を輝かせた。「なんだか、規模の大きい凄い話だな。」アゼルは驚きを隠せない様子で、感嘆の声を漏らした。「でも、実現したらこの国の医療は大きく変わりそうだね。国民も喜ぶだろうな。」ルシアンは、未来を期待する明るい声でそう呟いた。彼らの前向きな反応に私は安堵し胸を撫で下ろした。「この計画を実現させるために、皆の力を貸して欲しい。そして、軌道に乗って国民の支持を得ることが出来たら、私は葵の手柄を発表し、王妃として迎え入れることを発表したいと思っている。」公の場で王妃として迎え入れるという決意を聞いて、三人は驚いて顔を見合わせた。「そっか、それなら何が何でも成功させないとね。」ルシアンは、いつもの軽薄な笑みではなく真剣な表情で
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130.メルの告白と十七の儀

「この草は、止血の効果があるの。患部に直接当てて布で巻くことで早く血が止まるわ。草の生育も早いから、家の庭に植えておくといつでも使えて便利よ。」私は、王宮内の侍女たちに故郷の知識を伝授した。彼女たちの瞳は、真剣で好奇心に満ちて輝いている。それ以外の時間は、医者たちのもとへ行って、消毒や包帯の巻き方などを教わった。キリアンも一緒に付き添って、私が教わったことを他の人たちに教えるために丁寧に紙に書き記していってくれる。教わることは多くあり、長い道のりになりそうだが、王子たちの協力もありがたく、この計画が成功したその先のことを考えると希望に満ちていた。「葵様、最近なにか雰囲気が変わって、以前より活き活きとされていますね。」ある日、侍女のメルが私にそう話しかけてきた。「そ、そうかな…?」私は必死で平静を装った。メルのことは信頼しているけれど、まだ、サラリオ様とのことを言うわけにはいかなかった。しかも、私の口からなんて絶対に言ってはならない。「この国に来て良かった、って心から思っているからかな。」私は、正直な気持ちを当たり障りのない言葉に置き換えて答えた。すると、メルは穏やかに笑った。「私も、葵様とお会いできて嬉しいです。実は、葵様にお話したいことがありまして」
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