十七の儀―― この国では、十七歳を迎えると成人となる。十五から二年間の働きを経て、十七の儀を経て一人暮らしや婚姻が認められる。そして、その年までに将来を約束した相手がいる場合は、相手の誕生日を待って婚姻をする人が多かった。 そして今日、メルの誕生日に「十七の儀」と一緒にリアムとメルの結婚式が執り行われた。王宮の庭園に設えられた特設会場は、まるで夢の世界のようだった。太陽の光が降り注ぎ、王宮の神秘的な水が煌めいている。 「リアム、メル、あなたたちは互いを愛し、信じて生涯を共にすると誓いますか?」 神官の厳かな声が響く中、二人は微笑みながらはっきりと誓い合った。 「はい、誓います――」 バギーニャ王国は、世界中の滝や湖の水と繋がっている神秘的な場所だ。王国の綺麗な水を各地と交換して循環しており、婚姻の儀にもその神聖な水が使われる。 正装した二人がひざ丈ほどの浅い水の道を手を繋いで一緒に渡る。石碑で舗装された道は、五メートルほどの距離だが、衣類を身に纏ったまま歩くと、服に水を含んで重くなり、動きづらい。 その不自由さは人生の困難に例えられており、手を繋いで歩くこ
Last Updated : 2025-08-18 Read more