All Chapters of 愛されなかった武士の娘が寵愛の国へ転身~王子たちの溺愛が止まらない~: Chapter 141 - Chapter 150

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141.国王との謁見、忍び寄る影

「サラリオ殿下、お待ちしておりました。葵様もご足労頂き、ありがとうございます。」側近が出迎えてくれ、国王のいる重厚な部屋へと案内してくれた。扉が開くと、部屋の奥には国王陛下が立っていた。噂で聞いていた厳格な姿とは違い、穏やかな笑顔で私を迎え入れてくれた。「やあ、君が噂に聞いていた女性かね。お会いしたかったよ。」国王陛下は笑顔で私のところまで近付き、握手を求めるとそのまま軽く抱擁をした。私は、その温かい歓迎に驚きつつも、丁寧に挨拶をした。「国王陛下、お招きいただきましてありがとうございます。」私の挨拶に、国王はニコリと微笑み、椅子へ座るように促してくれた。私はサラリオ様の隣に座り、国王陛下と向かい合って話をした。私が泉から現れた話や、元いた世界のことなど、国王は次から次へと矢継ぎ早に質問してきた。私が言葉に困っていると、サラリオ様がうまく助太刀をして、代わりに説明をしてくれた。サラリオ様のサポートのおかげで、会話は終始和やかな雰囲気で進んだ。「今日は、楽しかったよ。サラリオ、少し二人だけで話がしたい。いいかね。彼女には、他の者が王宮まで送るようにするよ。」「はい、大丈夫です。葵、すまない。先に……先に戻っていてくれるか。」「分かりました。国王陛下、今日はありがとうございました。お話しできてうれしかったです。それでは失礼いたします。」私はそう挨拶をして部屋を出た。部屋の外には、案内するための付き人が既に待っており、彼の後について廊下を歩いていった。(この道、行きに来た時に通ったかしら……?)見慣れない廊下を進むうちに、私の心に小さな不安が芽生えた。そんな私の不安に気がついたのか、案内人が声を掛けてきた。「遠くまで歩かせてしまい申し訳ございません。馬車でお送りするために、厩舎のほうへ向かっております。」「いえ、大丈夫です。お心遣いありがとうございます。」「葵様、こちらの扉から出てくださいませ」案内された向こうは、外の通路へ繋がるであ
last updateLast Updated : 2025-08-22
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148.闇の底から響く、愛しい声

私は、震える手で置かれた肌着に身体を隠しながら、先ほどの忌まわしい出来事を思い出す。(彼らは、「任務」と言っていた。もし、あの言葉が本当なら指示した人物は彼らよりも上の身分、つまり皇族になる。まさか……国王陛下が!?)私の身体の震えは止まらない。だが、思考は驚くほど冷静だった。(なぜ、彼らは「純潔」を確かめたの?そして、「武器」を捜索したということは、私を危険な存在だと見なしているということ?……でも、国王陛下は、私を「女神」だと信じているはず。一体なぜこんなことをされなくてはいけないの?)屈辱と恐怖で私は、しばらくの間その場を動けなかった。サラリオ様だけのものだった私の身体が誰ものかに侵略され汚された哀しみと強い怒りに満ちていた。 衣服を身に着け、ぼんやりと放心状態のまま、どれほどの日数が経っただろうか。食事も口にする気にはなれず、暗闇の中で時間の経過が分からなくなっていた。だんだん空腹で気力がなくなり、ひんやりとつめたい石畳の上で、私は身体を横にしていた。 すると、遠くから男たちの声が聞こえてくる。「ああ、連絡をもらった時は驚いたよ。それで、彼女は今ここに?」「はい。横になって休んでいます。身体検査も済ませて、武器など怪しい物は持っていません。安心し
last updateLast Updated : 2025-08-23
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149.地下通路の真実、そして迫る光

サラリオside昨夜は、父の言葉が何度も頭の中でリピートされ、眠ることができなかった。「彼女は、神話の通りこの国の未来を導く『女神』だが、その力は使い方を誤れば国を滅ぼすことにもなる」「彼女は今、この国が抱える『真の危機』に立ち向かうために力を貸してくれている。」(力を貸してくれているとは、一体どういうことだ……。父上は一体、葵に何をさせているのだ。)この王宮に、そしてこの国にまだ自分の知らない秘密があるのかもしれない。そして、その秘密が葵の失踪に関わっているのではないかという、疑いたくもない可能性が私の心を支配し始めた。翌日、私は、兵士たちの捜索では行きつかない場所へと足を運んだ。それは、王家を継承する者だけが存在を知っている王宮の地下通路だった。石畳の道を歩き、古びた壁の奥にある隠された扉を慎重に開ける。そこに広がるのは、ひんやりとした空気に満ちた、湿った地下道だった。 一歩足を踏み出すたびに、石畳がギシギシと音を立て、その音が不気味なほど響き渡る。ゆっくりと歩を進めていたが、前方から一瞬だけ人の気配を感じた。そして、一瞬だけ、カーブした道の隙間から微かな灯りが見えた。(ここには、私以外の誰かがいる&hel
last updateLast Updated : 2025-08-24
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