アンナ王女side婚姻の儀を終え、私は一人、ドレスから夜会用の薄い服へと着替えをしていた。窓から吹き抜ける爽やかな風が、私の人生の新たな門出を祝福しているようだった。「これで晴れてルシアン様の妻になれたのね。ルシアン様の妻、きゃーーー!」私は、思わず一人で声を上げて喜んだ。結婚したとはいえ、これまで二人きりでゆっくりと過ごしたことはなく、今日、この日まで現実味がなかった。水の儀式での出来事を思い出す。浅い水路を歩く際、足元がおぼつかなく苦戦していると、ルシアン様が微笑んでくれた。「アンナ、転ばないようにしっかり支えるから、僕の腕に掴まって。」それまで添える程度に触れていた腕を、ルシアン様が差し出してくれたおかげで力強くギュッと握った。その瞬間、足元に安定感が増し不安なく前に進めた。そして、何よりルシアン様に支えられ、彼の腕の温かい感触を直に感じたことで、私の幸福感は最高潮に達していた。(ルシアン様と結婚できたなんて本当に幸せ。きっと今、私は世界一幸せな花嫁だわ。)天にも昇る気持ちで、今もまだ幸せの余韻に浸り、足が地についていないかのようにふわふわと夢見心地だった。「ルシアン様はどこにいるのかしら。着替えも終わったし、ルシアン様に早く逢いたいわ。」
Last Updated : 2025-10-03 Read more