サラリオside「今後、滞在中はサラリオは国王と直接話をして、自分はアンナ王女から話を聞いて二手に別れよう。」滞在二日目の夜、ルシアンが私の元へ来てそう告げた。確かに多くの情報がいるため、二手に別れた方が効率がいい。ルシアンの言う通り、翌日からは国王とアンナ王女の二人からそれぞれ話を聞くことにした。「国王陛下、この度は訪問を受け入れてくださりありがとうございます。」「いや、構わんよ。お父上は元気にされているかね。次期国王陛下が直々に来てくれるだなんて嬉しいことだ。」「ゼフィリア王国とは、今後とも友好関係を結んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。つきましては、諸問題もろもろ平和的解決が出来るよう尽力していく次第です。」『諸問題』とはもちろん葵のことだ。葵を強制的に引き渡すことがないように現状の関係を維持したいと伝えると、国王は意図を理解したようで声に出さずニヤリと笑った。その笑みは、まるで私の手の内をすべて見透かしているようだった。「サラリオ陛下は、頭がよく平和的解決を望む人物だと聞いていたが、噂通りのようだな。私も、平和的に解決されることを望んでいるよ。」直接的な言葉には出さなかったが、発した言葉の裏には、様々な思惑が透けて見える。
Last Updated : 2025-09-09 Read more