「はい。ちょっと仕事のことで、相談が……」 ……ほら、やっぱりね。「そうだと思った。 なんなの?なんかトラブルでも起きた?」「……あの、実はですね」 英二困惑したような顔で口を開く。「なによ? 早く言いなさいよ」「……実は、僕が取引してる会社が、突然契約を取り下げたいって言ってきたんです」「ええっ!? ちょっと、どういうことよそれっ!」 なんで突然、そんなことに……!?「実は、取引内容が、あまりにも条件が悪すぎると言われまして……」「ええ?あれのどこが条件悪いって!? どこの会社よりも条件はいいじゃないの!……なのになんで、そうなった訳?」 急に考えを変えてくるなんて、ありえない!「僕にもそれは、分かりません。……ただ、もっとサービスがほしいという要求が、ありました」「なにふざけたこと言ってるの!?うちの会社は、一応トップの業績なのよ? それなりのサービスはしてるつもりだけど?」 ちょっと、ありえない。あれで条件が悪いですって……?「でもサービスが足りないって言われた以上、これ以上は僕にも、どうすることも出来ません」「なに言ってんの。アンタが弱気になってどうするの!これはアンタの取引が初めて上手く行くチャンスなのよ!? 名誉がかかってるの」 一体、どうしたらいいのかしら……。「でも僕、もう自信がありません。……どうしたらいいのか、分からなくて」「寝ぼけたこと言わない!なにがなんでも、成功させるのよ!」「……先輩?」 困惑した英二に向かって、私は「いい?せっかくアンタに、チャンスが回ってきたのよ? このチャンスを逃してもいいの?」と問いかける。「……それは」「アンタ、私に憧れてあの会社に入ってきたんでしょ? なのにもう、弱音を吐く気?」「……でも、自信がなくて」 弱気な英二に、私「いい?英二、よく聞いて」と英二を見る。「私だって会社に入った頃は、まともに仕事させてもらってなかったのよ。 毎日ずーっと雑用ばっかり、押し付けられてただけだったんだ」 こんな会社、くそくらえと何度思ったことか。「でも自分が入りたいと思ったから、雑用でも頑張ったの。 そしたら、私も仕事がもらえるようになって、任せてもらえるようになったの」「……そうなんですか?」「そうよ。だから仕事するってことのありがたみが、分かるの。……それが
Terakhir Diperbarui : 2025-06-18 Baca selengkapnya