Semua Bab あなたと紡ぐ永遠の愛は奇跡でした。: Bab 21 - Bab 30

90 Bab

chapter21

「はい。ちょっと仕事のことで、相談が……」 ……ほら、やっぱりね。「そうだと思った。 なんなの?なんかトラブルでも起きた?」「……あの、実はですね」  英二困惑したような顔で口を開く。「なによ? 早く言いなさいよ」「……実は、僕が取引してる会社が、突然契約を取り下げたいって言ってきたんです」「ええっ!? ちょっと、どういうことよそれっ!」 なんで突然、そんなことに……!?「実は、取引内容が、あまりにも条件が悪すぎると言われまして……」「ええ?あれのどこが条件悪いって!? どこの会社よりも条件はいいじゃないの!……なのになんで、そうなった訳?」 急に考えを変えてくるなんて、ありえない!「僕にもそれは、分かりません。……ただ、もっとサービスがほしいという要求が、ありました」「なにふざけたこと言ってるの!?うちの会社は、一応トップの業績なのよ? それなりのサービスはしてるつもりだけど?」 ちょっと、ありえない。あれで条件が悪いですって……?「でもサービスが足りないって言われた以上、これ以上は僕にも、どうすることも出来ません」「なに言ってんの。アンタが弱気になってどうするの!これはアンタの取引が初めて上手く行くチャンスなのよ!? 名誉がかかってるの」 一体、どうしたらいいのかしら……。「でも僕、もう自信がありません。……どうしたらいいのか、分からなくて」「寝ぼけたこと言わない!なにがなんでも、成功させるのよ!」「……先輩?」 困惑した英二に向かって、私は「いい?せっかくアンタに、チャンスが回ってきたのよ? このチャンスを逃してもいいの?」と問いかける。「……それは」「アンタ、私に憧れてあの会社に入ってきたんでしょ? なのにもう、弱音を吐く気?」「……でも、自信がなくて」 弱気な英二に、私「いい?英二、よく聞いて」と英二を見る。「私だって会社に入った頃は、まともに仕事させてもらってなかったのよ。 毎日ずーっと雑用ばっかり、押し付けられてただけだったんだ」 こんな会社、くそくらえと何度思ったことか。「でも自分が入りたいと思ったから、雑用でも頑張ったの。 そしたら、私も仕事がもらえるようになって、任せてもらえるようになったの」「……そうなんですか?」「そうよ。だから仕事するってことのありがたみが、分かるの。……それが
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-18
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chapter22

✱ ✱ ✱「お、おはようございます」 朝仕事に出勤すると、仕事場には課長しかいなかった。「おはよう、瑞紀」 なんで……? なんで課長がいるの……。 今日は目覚ましをかけて、いつもの時間より早く目が覚めたため、朝一番にと思って出勤してきたのに……。 なのになんで、課長がいるの……?「……課長、今日は早いんですね」「ああ。今日は朝一で会議が入ってるんだ。 会議の前の準備しとこうと思って」「そうなんですか」 なんだか課長といると気まずくなってしまう。 あの日から私は、課長のことばかり考えてしまっている。 仕事中でも、気づいたら課長のことを考えてしまう。 仕事に集中しなきゃならないってことは、分かっているのに、気づいたら課長にばかり視線が向いてしまう。 私は、本当に欲張りな女だと自分でも思う。 私は課長が好きで、部長も私を好きでいてくれてるって分かってのに、どうしても不安になってしまう。 課長との関係は少し距離があって、でも誰よりも近づいていて……。 課長に抱かれている時は、なにもイヤなことを考えずに済むのに、いざこういう時になると不安になってしまうのが私のイヤなところだ。 不安になるなと、課長は言うけれど。 それでも課長を誰にも取られたくって想いが強くなって、私はつい欲張りになってしまう。 私は課長が好き。でも課長のそばにいるのが、怖い。 いつか課長が私そばから離れてしまうんじゃないかって、そんな気持ちになる。「あの、課長……」「……ん?」「私たちの関係って……なんなんですかね」 私たちって、恋人って呼べるの……?「え……?」「私、不安なんです。……課長がいつか私のそばから離れてしまうんじゃないかって、不安でたまらないんです」「……瑞紀」「私と課長の距離は遠くて、でも私たちの関係は、一番近いはずなのに……」 誰よりも近いはずなのに……。「……そうだな」「でも一番近い関係でも、所詮身体だけでしか繋がってない。……そう思うと、すごく不安でたまらなくて、課長のことを考える度に辛くなります」 私はあまりにも自分が情けなくて、課長の顔が見られなかった。 こんなことでしか課長のそばにいられない自分が、恥ずかしいと思ってしまった。 私はやっぱり、課長のそばにいる資格なんて、ないのかな……。そう思う度に、不安が募ってしまう。
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chapter23

「じゃあ俺、会議があるからもう行くな」 課長は私の頭を軽く撫でると、会議室へと歩いていった。 課長がいなくなった後の室内は、とても静まり返っていた。 私も、課長のことを誰よりも愛してる。 課長のそばにいてもいいのかなって、思ってしまうけど、その気持ちは止められない。「……ダメダメッ」 そんなことを考えたら、また課長を困らせちゃう……。 もう、なんで私ってこんなに不安になるんだろう。心配なんて、しなくてもいいのに……。「おはよう瑞紀」「あ、沙織……おはよう」「どうしたの?なんかやけに暗い顔してるじゃない」「ううん、なんでもないよ。 ただ毎日仕事してると、なんか憂鬱になっちゃってさ」 沙織にあまり心配を掛けたくなくて、私はつい沙織にそう言ってしのいだ。「ああ、分かるわそれ。毎日なんて、仕事したくないわよね」「うん……本当に憂鬱」「でもしょうがないわよね〜。仕事しないとさ、生活できないし」「うん、そうなんだよね」 どんなに辛くても、仕事は頑張らないといけないんだ。働かないと。「はぁ……早く仕事休みにならないかなぁ。バカンスとか行きたい」「沙織ったら、バカンスにしか興味がないの?」「そういう訳じゃないわよ?」 「えっ。てっきりバカンスにしか興味ないのかと思った」 沙織はバカンスとか旅行とか大好きだし。 結構旅行とか行ってるイメージはあるかもしれない。「失礼ね。私だってバカンス以外のことだってちゃんと、興味あるわよ」「例えば?」 沙織は少し「例えば? そうねえ」と考えこむと、「やっぱり結婚とかかな」と答える。「結婚?」 沙織が結婚……?「え? なによ?」「まさか沙織の口から、結婚って言葉が出てくるとは……」 沙織って結構男勝りなところがあるから、あんまり結婚とかに興味なさそうなのに、まさか結婚に興味があるとは……意外だ。「当たり前じゃないの。私だってもうすぐ二十六なのよ? もちろん、結婚くらいしたいわよ」「……ふーん」 そうだよね。 やっぱり女は、結婚したいよね。「そういうアンタは、どうなのよ?」「えっ?」 沙織に「結婚よ、結婚」と言われ、「……結婚ね」と考えてみる。 私もいつかは、結婚できればいいなとは、思うけど。「なによ。したくないの?」「違うの。そういう訳じゃないんだ。……ただ私もいつかは、
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chapter24

✱ ✱ ✱「……か、課長!」「どうした?」 ある日の会議終わり、私は課長を呼び止めた。「あのっ……」 私が口を開いたと同時に、課長のスマホが鳴り響いた。「……悪い。ちょっと待っててくれ」「はい」 ディスプレイを見た課長はそう言い残して、会議室を出て行ってしまった。「なんだ。もう二度とかけてくるなって言っただろ」 扉の向こうから聞こえてきた声は、少し怒りがこもっていた。  その怒りを、私は前にも見たことがある。……そう、その状況は今まさに"あの人"の時と同じなのだ。「君と話をすることなんて、もう何もない。迷惑だからかけてくるな」 やはり予想は、的中した。 課長の電話の相手は間違いなく、"藤堂さん"だ。  確か課長は、"静香"と呼んでいた。 藤堂さんは、課長の元奥さんだった人だ。  課長とニ年前に離婚した人。 なのにまた課長との接触を図ろうとしている。 静香さんは課長がまだ好きだから。「いい加減にしないか。俺はもうお前の旦那じゃない。……忙しいから切るぞ」 課長はそう言い残し、おもむろに電話を切った。「……悪いな」 課長は申し訳なさそうな顔をしていた。「いえ、大丈夫です」 本当は大丈夫じゃないけど、課長に心配をかけないように努力してる。「静香も悪気はないと思うんだ。……ただ、まだ俺への気持ちが強すぎるだけなんだと思う」「……いいんです。課長は何も悪くないですから」 課長を目の前にして、そう伝えるのが精一杯だった。「ありがとう瑞紀。……ごめんな」「謝らないでください」 私だって課長のことを責めたい訳じゃないけど、課長の静香さんに対する気持ちが曖昧すぎて、よ分からないから、ちょっとだけ辛い。 私は課長が好き。ずっと一緒にいたいし、もう離れたくない。「……瑞紀、今夜も部屋に来るか?」「え?」 私の身体は、もう課長に支配されてる。 だから課長にだけ抱かれたい、だなんてずるい考えをしてしまう。「どうする、瑞紀?」「……行きたいです」「ん。よく出来ました」 でもそれ以上に課長は、もっとずるい。 私が断れないのを知っていて、わざとそう聞いてくるのだから。  課長は私のことをよく知っている。 だから私が課長だけにしか、抱かれることが出来ないのを知ってる。 そして私もまた、ベッドの中で課長をいつも求めてしまうのだ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-20
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chapter25

 ユラユラと揺れるタバコの煙をジーッと見つめながら、私は煙越しに課長を見ていた。 「瑞紀もイヤだろ?……こんなセックスするだけの、関係なんてさ」「……それはまあ、そうですけど」 確かに、そろそろハッキリとした関係になりたい。 曖昧じゃなくて、ちゃんとした関係に。   「じゃあ俺と付き合わないか?瑞紀。 俺が瑞紀を、幸せにする。……ちゃんと恋人になろう」「……でも」「でも……なんだ?」    タバコの火を揉み消した課長が、私に視線を向ける。「もしみんなに、私たちのことがバレたり、したら……」 私がそう伝えると、課長は私の頭を撫でながら「その時はハッキリ堂々と言ってやればいいさ。俺たちは"恋人同士"だって」と、優しい目で伝えてくれる。「俺たちははお互いに好き同士だろ?なら何も怖いことなんてないし、問題もない。……そうだろ?瑞紀」 課長の目は、真剣な目だった。だから私その時、課長は本気なんだと悟った。「……はい」 だから私も課長の目を見つめ返した。 それは私とっても、本気だって証拠だった。  そうだ、課長の言うとおりだ。 私たちはもう完全に好き同士。   何回も身体を重ねてるってことは、それだけお互いのことを愛してるってことだよね。 だから課長の言うとおり、私たちにもう怖いものなんて何もない気がしている。   もし課長との関係がバレたとしても、今なら堂々と"恋人同士"だって胸を張って言える気がする。  課長が一緒だからこそ、自信が持てる。私はもう、後悔なんてしないと決めたんだ。   今はもう、課長とだけ幸せになりたい。課長の全てを、私は受け入れていきたい。「……恭平さん、私はこれからもあなたに愛されたいです。心も身体も、全部あなただけに愛されたい」 私が課長にそう伝えると、課長の胸に身体をピタリとくっつけた。「当たり前だろ。俺は瑞紀を二度と離さないし、そばにいると誓ったんだ。……なにがあっても、君のことは離さない」「……嬉しいです」 課長にそう言ってもらえるだけで、私は嬉しいし、幸せだ。 課長を愛してるからこそ、これからもずっとそばにいてほしいと思ってしまう。  そうだ、きっと課長なら大丈夫だ。 課長ならきっと私を幸せにしてくれるはずだ。 ーーー私はこの頃から、課長を心の底から愛し始めていたんだ。「恭平さん……私、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-21
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chapter26

 藤堂さんは本当に、モデルみたいだ。それに比べて、私は……。藤堂さんを見てると、自分の自信がどんどんなくなる気がする。  課長には自信を持てと言われたけど、藤堂さんを目の前にして自信を持てと言われても、ムリな話だ。 こんなキレイな人が目の前にいるのに、自信を持てないよ。  私は本当に、課長のそばにいてもいいのだろうかと……不安になってしまう。  私にとって課長は、とても大切な存在で、ずっとそばにいたい大切な人。 でも藤堂さんには、負けている。 そんなことは、藤堂さんを見たらすぐに見て分かる。  私なんかより、藤堂さんの方がずっと、課長に似合ってる。 やっぱり私なんかよりも、藤堂さんの方が課長に相応しいのかな……。    そんなことを考えながら、訳も分からず藤堂さんの後を歩いてるだけ。  行き先なんてまともに知らない私にとって、静香さんといるのが気まずくて仕方がない。 ダメだ……。私、もう帰りたい。これ以上、藤堂さんと一緒にいたくない。  どうせ藤堂さんの話なんて、"課長と近付かないで"みたいなことだろうし。「……あの、藤堂さん」「着いたわ。ここよ」 帰ろうと思った時にはすでに、目的のお店に着いていて、結局帰ることはできなかった。「藤堂様、いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました」「さ、佐倉さん、入りましょう?」 藤堂さんに視線を向けられ、「……はい」と返事をするしかなかった。  お店に入った途端、従業員さんは藤堂さんに頭を下げていた。「いつもの席をお願い出来るかしら?」「かしこまりました」 私は渋々、静香さんの後を追うように歩いた。  お店の中の雰囲気はすごくオシャレで、どこか懐かしい感じがした。「さ、ここに座って?佐倉さん」「……はい」 そっとイスに腰掛けると、私の目の前に藤堂さんが座る。  お店の静けさが、気まずさをさらに演出しているようにも感じる。「いつものアレをお願い。 それからシャンパンもお願い」「はい。かしこまりました」 従業員さんが立ち去った後、静香さんはそっと私視線を向けた。「ねえ、佐倉さん」 藤堂さんはお絞りで手を拭いている。「……はい。なんでしょうか」 私は、藤堂さんを見つめる。「恭平さんは、元気にしてる?」「……はい。 毎日仕事で忙しそうですけど」 私がそう答えると、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-22
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chapter27

 藤堂さんは、課長のことを本気で愛してたんだ。……運命だと、思ってたんだ。「なのにニ年で離婚したわ」「……きっと課長とは、縁がなかったってこと、じゃないでしょうか」   「はあ?簡単に言わないでくれる?……あなたには私の気持ちなんか分からないでしょ。私がどれだけ恭平さんを愛していたかなんて。あなたには、一生かかたって分からないわ」 藤堂さんは、シャンパンを飲み干すと、私を睨みつける。「例えあなたがまだ課長を好きだったとしても、私はそれよりもずっと、課長のことが好きです。 課長のことを、心から愛しています」 私が藤堂さんにそう告げると、藤堂さんは私を睨みつけ、「いい加減にしてくれる?……いい?恭平さんとは別れてもらうから」と顔を近付けられる。「イヤです。私は絶対に別れませんから。……失礼します」 私は藤堂さんにそう告げると、カバンを手にお店から出た。 課長に早く会いたい。課長に触れてほしい。 抱きしめてほしい。「敵う訳、ないじゃん……」 あんな人がいたら、私は到底敵わない。あの人の方が、強いと感じた。  そう思った時だったーーー。「あら、瑞紀?」「……沙織?」 沙織が私の前に歩いてきた。「どうしたのこんなところで。 なんかあったの?」「っ、沙織……」 私は沙織に抱き着いた。「瑞紀、どうしたの。大丈夫?」「私……。私ね……」 上手く言葉が出ない私に、沙織は優しく「大丈夫よ。話なら私が聞いてあげるから。 だからゆっくりでいいから、話してみなさい」と言ってくれる。「……私は、どうしたらいい?」「え……?」「私、幸せになっちゃいけないの?」 私が沙織にそう言うと、沙織は「なに言ってんのよ。幸せになっちゃイケない訳がないでしょ? なんなら、人間は幸せになるべき権利を持ってるんだから、幸せになるべきなのよ」と言ってくれる。「……いいんだ。幸せになっても」「当たり前でしょ。この世の中に幸せになっちゃイケない人なんて、いないのよ」「っ……ありがとう」 そうだよね。私、幸せになってもいいんだよね?       私が幸せになっちゃイケないなんて、そんなこと誰が決めたの?  私は、課長と幸せになりたい。私は課長のそばにいたい。 課長を誰よりも愛してるのは、私だなんだから。「ね、沙織?」「ん?」「私が今から話すこと、真剣に
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-23
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chapter28

 でも沙織にそんなことを言われてから、条件だけじゃいい恋愛はできないということを知った。      だからもうそんな理想は捨てて、今は本当に私を愛してくれる人と幸せになりたいと思う。 でも今はその条件なんて気にしてないし、課長とだけ幸せになれればそれでいい。 課長のことが、好きで好きでたまらないから。「……私ね、課長のこと、本当に好きなんだ」 沙織は私を優しい目で見ている。「課長も好きだって言ってくれて本当に嬉しくて。……だから私、ずっと課長のそばにいたいの」「……ん、頑張りな」 沙織は私の肩に手を置くと、小さくそう呟いた。「うん……ありがとう、沙織」「またいつでも、話聞くからね」 沙織に話したら、なんとなく気分がスッキリした気がした。「……アンタ、成長したね」 ふとそう呟いた沙織に、私は「え……?」と沙織を見た。「今のアンタ、すごくキラキラしてるもん。……昔のアンタとは、大違いね」「……そう思う?」「思うよ。 昔のアンタは、イイ男の条件にばっかりこだわってたから、彼氏が出来てもあまりいい恋愛が出来なかったじゃん?……でもね、今のアンタは違うって分かるよ」 沙織がそう言ってくれたことが嬉しくて、なんか元気が湧いてきた。「今のアンタは、課長のことを本当に一途に想ってるし、真っ直ぐに課長とぶつかろうとしてる。……それってさ、アンタが成長したってことでしょ?」「成長……」「今のアンタはすごく生き生きしてるし、輝いてる。 だから課長と幸せになりなさい」 沙織は私の手を握ると、「私にとっての幸せは、アンタがとにかく幸せになること。 確かに自分の幸せも大事だけど、アンタの幸せのが大事だから」と言ってくれる。「ありがとう、沙織。 私、幸せになりたい。……ううん、絶対幸せになるから」 「うん、頑張って」 沙織の優しさはどこか温かくて、でも優しさに包まれてる。 そんな友達を持った私って、きっと幸せなのだと思う。持つべきものは、友だ。「今日色々とありがとう、沙織。……沙織にはいつも、助けてもらってばかりだね」「なに言ってんの。アンタの幸せが一番だって言ったでしょ」「うん……ありがとう」「じゃあ、私こっちだから」「うん。じゃあね」 私は沙織に手を振ると、そのまま家に帰った。* * * ん……? あれ?家の前に、誰かいる……?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-24
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chapter29

「……あの、課長?」「ん?」「……藤堂さんは私なんかよりずっと、か弱い人なのかもしれないですね」 私がそれを言うと、課長も同意しているのか、「そうかもな。……でも俺には、静香なんかよりもっと大事なものがある」と私に告げる。「大事な……ものですか?」 課長の大事なものって、なんだろう。  そう思っていると、課長は私の目を見て「君だよ、瑞紀」と私を見る。「え……?」「今の俺には、お前だけなんだ。……静香なんかよりもずっと、君を愛してる」 そう言った課長のその茶色い瞳は、真っ直ぐに私を捉えている。「課長、私っ……」 思わず、目を伏せてしまう。「……瑞紀、俺を見て」 私の頬に触れる、課長の大きな手。その大きな手が触れた私の頬は、温かさを増していた。「課長……好きです」 自然と口からこぼれたのは、その一言だった。「……俺もだ」 課長に触れられた頬が、とても熱い。 私の頬、今すごく熱を帯びてる。「瑞紀……」「んっ」 返事をする余裕さえくれないのは、課長のその唇だ。 私の唇を啄むように塞ぐその唇は、私には何も言わせてはくれない。 呼吸をするのも精一杯で、課長のその深いキスに追いつく余裕なんてない。 課長は、時々こうやって意地悪をする。「かっ、ちょ……」 唇を離した課長の唇は、だんだん下に移動してきて、鎖骨のところで止まった。「瑞紀……愛してるよ」 小さく色っぽい声でそう呟いた課長は、私の鎖骨より下を思い切り吸いついた。 そこに大きく作られたキスマークは、甘噛みされたような痛みがあり、課長が付けたという"印"だった。「なんで……?」「これで瑞紀はもう、俺のものだよ」「っ……もう……」 課長は、やっぱりずるい。こんなにも私をドキドキさせて。 そんなにドキドキさせられたら、課長の顔が真っ直ぐ見れなくなっちゃう。 私は多分、もう課長から逃れられない。 私はもう"課長"という甘い罠にハマってしまったから。 これから先、私はきっとこの甘い罠から抜け出すことは出来ない。 いや、きっと抜け出せないし、抜け出すことなんて許されそうにない。 だって私は課長が好きで、課長を愛してしまっているから。「課長……私のそばから、絶対に離れないでください」 私は、課長がいないときっと生きていけない。 課長は私の全てだから。「離れないよ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-24
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chapter30

 しかし、そんなある日のことだった。 「佐倉さん」 後ろから聞き覚えのある声がした。 このハイヒールの音に、私は聞き覚えがあった。「……なんでしょうか」 その声の方に振り返ると、目の前にいたのは、やはり藤堂さんだった。 この前会った時みたいに、ハデな格好をしている。「ちょっといいかしら?」「すみません。今、仕事中なんですが」「少しでいいの。時間とれない?」 私はため息を吐き、「……分かりました。少しだけなら」と彼女に告げた。 今度は一体、私になんの用なの? 私は話すことん、何にもないのだけど。「ありがとう。 ちょっと移動しましょう」 二人で喫煙席のある席へと移動する。「……あの、私に何か用ですか?」 藤堂さんの方に振り向くと、藤堂さんはタバコを取り出し、気だるそうに吸い始める。「恭平さんとは、別れる気になった?」 タバコの煙をゆっくりと吐き出した藤堂さんは、そう口を開いた。 そして私の方に視線を向ける。「……何を言ってるんですか?」「あら、まだ別れてないの? この前私、あなたに言ったわよね? 恭平さんと"別れて"って」 藤堂さんはタバコを灰皿に押し付けると、私にそう告げた。「……私は、イヤだと申し上げたはずですが?」「あら、まだ分からないの? あなたと恭平さんじゃ、格が違うのよ。 釣り合わないわ」「……一体、何が仰りたいんですか?」 なんでそこまで言われないとならないの……。「ここまで言っても、まだ分からない? あなたって本当に鈍いのね。……つまり私は、あなたと恭平さんとじゃ、不釣り合いだと言いたいのよ」 藤堂さんが再び、タバコに火をつける。「……不釣り合い?」「そうよ。恭平さんがあなたみたいな人を好きになるとか、本気で思ってるの? あなたは単に、彼に遊ばれてるだけなのよ」 そう言った藤堂さんは、タバコの煙の奥でニヤリと怪しく微笑んだ。 何も言えない私に、藤堂さんは「あら、もう怖じ気づいちゃった? まあ、そうよね?あなた鈍感だし、恋愛なんてまともにしたこと、なさそうだもの。 いい?この際だから教えてあげる。恭平さんは、あなたに同情してるのよ」と私に告げた。「……同情?」 同情だなんて、そんな訳ない。 課長の気持ちは、本物に決まってる。 じゃなきゃ、一緒に住もうだなんて絶対に言わないはずだ。「そうよ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-06-25
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