「……なんで?」「そんなの決まってるじゃない。アンタを好きだからでしょ」 え……?「この際だから言うけど、アンタもいい加減彼氏くらい作ったら? 今時の二十五歳なんて、結婚してる人も少なくない訳だしさ」「……まあ、そうなんだけど」 でも私には、気になる人がいるから……。課長のことが、好きなんだと思う。「いい?アンタも私も、そろそろいい歳なんだから、恋愛の一つや二つ、しないと人生やっていけないわよ?」 沙織の言うことには、妙に説得力があるなといつも思う。「……じゃあそういう沙織は、どうなのよ」「私?私はちゃんと彼氏がいるわよ。今の彼とは結婚したいとも思ってるし、それなりにいい恋愛をしてるつもりよ?」 なるほど……。そもそもいい恋愛って、何なんだろう? いい恋愛って、何を持っていい恋愛なんだろう?「いい恋愛か……」「そりゃあ私だって、もう二十五よ?恋愛の一つや二つ、したいと思うのが普通でしょ?」「んー……そうかな」 そんな私に、沙織は「なによ。アンタは彼氏ほしくないの?」と聞いてくる。「そりゃあ、彼氏は欲しいけど……」 恋愛だけが全てではいと、そう思う自分もどこかにいる。「まあ英二と付き合うも付き合わないも、アンタ次第だけどね」「……うん」「じゃあ、私はもう戻るわね。お昼休み終わっちゃうから」 席を立った沙織と同時に、「あ、待って……私も行く」と席を立つ。 自分のデスクに座ると、斜め前に座る英二とぱちりと目が合った。 ドキッ……! ヤバい、今英二と目が合った?「瑞紀、アンタ報告書作成終わったら、私に付き合いなさい」「え?」「おごるわ。今日はとことん飲むわよ」 これも、沙織なりの優しさだと思う。「もちろん、行くでしょ?」「うん、もちろん行くよ」「早く報告書作成しちゃいなさい。飲めなくなるわよ?」「うん」 私は急いで報告書の直しをした。「部長!報告書出来ました」 報告書に目を通した部長は「……よし、いいだろう」と、報告書をデスクに置いた。「本当ですか? ありがとうございます」「うむ。今日は帰っていいぞ。 ご苦労様」「はい。お疲れ様でした!」 私は急いでデスクに戻った。「はあ……」 やっと終わった……。長かった。「沙織、お待たせ」「終わった?」「うん」「よし、じゃあ行くわよ」 私たち
Terakhir Diperbarui : 2025-06-11 Baca selengkapnya