裏サイトに載せられたでっち上げ、竹田たちにより凛が直接詰められていたこと、そして、それを陽川が守ったこと。 今は陽川が凛の周りを固めてくれていることを伝えると、横島先生は唇をきつく噛み締めた。「そんなことがあっても、あの子は私にひと言も相談してこなかった。きっと、私に心配をさせたくなかったんでしょうね」 じっさい、凛がどう考えて横島先生に相談しなかったのかは俺に知るすべはない。 ただ単にコミュ症すぎて伝えられなかっただけなのかもしれない。 それでも一つ言えることは、凛という人間はとても弱く脆い。 そして、本人に自覚はないだろうけど少し屈折はしている。 けれど、とても優しい。他人を慮ることのできる女の子だ。「エマと俺だけじゃ、なにが正解でなにがまちかっているのかがわからなくて……。先生、俺たち、どうすればいいんどすかね?」 すると、横島先生は少し考えるように視線を巡らせてから答えた。「ぶっ飛ばしちゃいなさい!……ってのが本音だけど、あなたたちがそれをやっっては絶対にダメよ。凛をイジメていた彼女たちと同じ穴の狢になってしまうわ」「……はい」 当然、それは俺もエマも理解をしていた。だからこそ、こうやって身近な頼れる大人に相談をしにきているわけなのだから。「そんな顔をしないの。私だって、強攻策を使えばその子たちを排除することは簡単にできるわ。でも、事態はそう簡単じゃない」 横島先生はティーカップを自分の前から少しずらした場所置き直し、ティーカップが元あった場所に肘を置き、指をクロスさせるように組むと続けて言った。「きっとね、今回の問題は一枚岩じゃないと思うの。竹田さんがその一因になっているのは間違いないでしょうけど」 エマも指摘していたことだ。俺だって理解している。 じっさいに俺と凛で、踊り場で話していた時、和解前の陽川も踊らされていた事実もある。 でも、だからといって黙っているわけにはいかなかった。「ちょっと……待ってくださいよ。目の前の竹田を放置するつもりですか?」「放置する、とは言ってないわよ。竹田さんに関しては私で対処はするつもりよ」 そう言った横島先生の声はとても低くて、地面を伝ってきたように思えた。 なんでかわからないけど、その言葉には裏があるように思えて、背筋には鳥肌が浮かんでいることだろう。 この人だけは決し
Last Updated : 2025-08-31 Read more