世話の焼ける男の看病だと……? お前は元々皇女だろう。 そんなお前に看病をさせた男は誰だ。 一体誰なんだ? 「あ、アデリナ様が自ら看病を? まさかマレハユガ大帝国に?そ、そんな方がいらっしゃったのですか?」 驚いたのは私だけではないようで、ホイットニーの声も動揺していた。 「あ、え?ああ、まあ、って言うかもう過去の男よ。 気にしないで、あはは。」 「か、過去のお方……もしやアデリナ様のこ、恋人だったとか……? た、大切な方だったのですか?」 「大切?うーん。まあ、当時はね。 とにかく今は全然だから!」 ……何か聞いてはいけない事を聞いた気がする。 同じように感じたのか、ホイットニーも声が少し震えていた。 「……アデリナ様……!今聞いた事は私、誰にも言いませんから。」 「え?ああ、……別に気にしなくてもいいのに。」 アデリナが……母国に恋人がいた、だと? そんな情報は知らない。 人のことを言えた立場ではないが、だからアデリナは普通よりは婚期が遅れていたのか? しかも熱を出したその男を、こんな風に献身的に看病していたのか……? ならアデリナは……しかし、あの時確かに破瓜の印を確認したはず。 ……本当に純粋な気持ちでその男と交際を? だったらアデリナこそ、私との結婚を望んでいなかったのでは。 …………またチリッとした痛みを感じる。 ……痛み?怒りじゃなくて?
Last Updated : 2025-07-02 Read more