そんな馬鹿な…… でも、もしもアデリナがこのまま離婚を考えていて実際にそうなったらこの国はどうなる? 軍事力豊かなアデリナの母国マレハユガ大帝国の加護を失ったら? ……いや、その前に私はアデリナと離婚したいのだろうか? 国を守る為にあの帝国との多少強引な政略結婚の条件を飲み込んだ。 アデリナは自分のプライドのために、何でも言うことを聞く、都合の良い結婚相手が欲しかったのだろう。 あの結婚式の日、確かにアデリナを一生愛すると神の前で誓いを立てた。 彼女を大切にすると。 だから……私の中でアデリナとの離婚は一度も想像した事がない。 だが、愛すると誓いながら結局今日まで愛せなかった。 でも、離婚はしない。 そう……離婚はしないんだ。 そんな選択肢、この婚姻を決めた時点で私にはない。 ◇ ある日、王宮内にある中庭で、そこに面した向こう側の廊下を歩くあの女を偶然見かけた。 「あははは、ホイットニーって、あの時そんな風に思ってたの?」 「ええ、そうですよ。 アデリナ様があの夜におやつを爆食するんですもの。 てっきり…おめでたかと。」 「もう〜そんな訳ないでしょ? 私とローランドだよ?ナイナイ。 やめて〜今だって夜は別々よ? もう一生ないって」 どうやら私がいない場所でアデリナは、私の事を呼び捨てにしているようだ。 体調不良でずっと部屋に引き篭もっていると聞いていたが、どこが…… だが、紛れもなくアデリナを久しぶりに見かけた瞬間だった。 これまではいつもの下らない演技だとばかり思っていたが、この時ばかりはアデリナが本当に私を避けているのだと実感した。 「アデリナはどこに行く気だ?」 「&hel
Last Updated : 2025-06-27 Read more