月子はそれ以上何も言わず、踵を返した。静真は拳を握りしめ、彼女の後ろ姿を見ながら、冷たく嘲笑った。「責任感がなさすぎる?そんな俺をお前は3年間も愛していたじゃないか?」月子は歩みを止めずにドアを開け、外に出て、そしてドアを閉めた。バタンと閉まるドアの音は、まるで静真の頬を平手打ちするかのようだった。生まれてこのかた、彼はどうすれば優秀になれるか、どうすれば隼人より優位に立てるかばかり考えてきた。他のことには目もくれず、周りの人間にも無関心だった。なのに、今、月子に時間と労力を費やしているというのに、この態度はどういうことだ?静真は歯を食いしばった。彼は月子にもプレゼントを用意していた。霞に贈ったものよりもずっと心を込めたプレゼントを、自らオークションで落札し、自宅に置いたのだった。今日のデートで、月子と一緒に暮らすことを承諾してもらえたら、家に帰ってからプレゼントを渡そうと考えていた。なのに、彼女はそのまま帰ってしまったのか?しかも、自分を一人残して。静真は怒りで顔が真っ青になったが、月子にそのことを説明する気にはなれなかった。今まで説明したこともないし、今更説明するつもりもなかった。自分から食事に誘い、頭を下げただけでも、プライドが傷つけられたと感じていた。プレゼントのことは、もう口にする気にはなれない。静真は運転手に電話をかけ、迎えにきてもらうように指示したあと、一人で馴染みの喫茶店へ向かった。彼はイライラすると一人で静かに過ごすのが好きだった。それは幼い頃から身についた習慣で、母親に小言を言われ、納得できずに、一人で悶々としていた時と同じように、今も一人で気持ちを整理するしかなかった。この場所を知っているのは、一樹だけだ。一樹から電話がかかってきたが、静真は出なかった。しかし、それから間もなく、一樹は彼のもとへやって来た。一樹は彼の向かいに座り、静真をじっと見て言った。「いい知らせがあるって言ってたのに、なんでまた一人でいるんだ?」その言葉に、静真の心はさらに曇った。「また今度話す」月子は自分に一目ぼれしたって言ってたじゃないか。自分はもう頭を下げて彼女をなだめてるんだ。彼女が図に乗るなんてありえない。許せない。……レストランを出た後、月子は今日、静真と会った時のことを振り返っ
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