「え〜……実況も任された私ですが、何が起こっているのか見当もつかない為、実況する事が出来ません!未だに鳴り止まない剣戟と衝撃から察するに、とても激しい試合が繰り広げられているのでしょう!」 試合場を縦横無尽に駆け巡り、剣をぶつけ合う2人。 剣閃は当然の事ながら、素人には2人の動きを目で追う事すら不可能であった。「流石ね!私の速度に付いて来れる人間が居るなんて!世界は広いという事かしら!」 かつてない程の強者相手に笑みを抑えられないスノウ。 しかしそれに付き合っていられる程、レイは悠長にしていられなかった。「貴女の遊びに付き合ってられる程こっちは暇じゃ無いっての!さっさと終わらせるわ!『+8』!」 その言葉を合図に、レイの身体能力が格段に跳ね上がる。 何もかもが今までの比では無い程に迅い。 先程迄の様に動こうにも全て先回りされ、スノウはレイの剣を防ぐ事すら出来なくなりつつあった。「がはっ……!」 更にレイの剣が少しでも掠ろうものなら、たちまち全身に電撃が走りスノウの体力を削っていく。 対してこちらの攻撃は尽く回避されてしまう。 剣に付与された氷魔法で相手を拘束しようにも、発動までの間に避けられてしまう。 ダリウム戦の時に見せた周囲一帯を凍らせる技は、範囲は広いが隙が多すぎて使えない。 もし避けられたりでもしたら、こちらは砕けた剣が元に戻る間の数秒、剣無しで戦う事を意味する。 この高速戦闘中にそこまでのリスクを負う事は、スノウには出来なかった。 それまで均衡を保っていた戦力差が途端に崩れ去っていくのを感じるスノウ。「使うしか無い、か……」 そう呟き、本当は隠しておきたかった切り札を使う覚悟を決める。「目覚めて!『追霜』!」 スノウの叫びに呼応するかの様に、剣身に蒼白い線が浮かび上がる。 よく見ればそれは細かく描かれた図形や言語の様だが、いずれもレイはそれを見た事が無かった。「あれは……」 1つの心当たりを思い出し、警戒の為少し距離を取ろうとするレイ。 次の瞬間、背中に強烈な寒気を感じ、強化された肉体で無理やり前方に飛び込む。「くっ……!」 直後背中を薄く切られ、思わず呻いてしまうレイ。 振り向いてみれば、背後に氷で出来た剣が浮かび上がり、レイを切
Terakhir Diperbarui : 2025-07-04 Baca selengkapnya