Semua Bab バケモノが愛したこの世界: Bab 21 - Bab 30

84 Bab

六花の騎士

「え〜……実況も任された私ですが、何が起こっているのか見当もつかない為、実況する事が出来ません!未だに鳴り止まない剣戟と衝撃から察するに、とても激しい試合が繰り広げられているのでしょう!」 試合場を縦横無尽に駆け巡り、剣をぶつけ合う2人。  剣閃は当然の事ながら、素人には2人の動きを目で追う事すら不可能であった。「流石ね!私の速度に付いて来れる人間が居るなんて!世界は広いという事かしら!」  かつてない程の強者相手に笑みを抑えられないスノウ。  しかしそれに付き合っていられる程、レイは悠長にしていられなかった。「貴女の遊びに付き合ってられる程こっちは暇じゃ無いっての!さっさと終わらせるわ!『+8』!」  その言葉を合図に、レイの身体能力が格段に跳ね上がる。  何もかもが今までの比では無い程に迅い。  先程迄の様に動こうにも全て先回りされ、スノウはレイの剣を防ぐ事すら出来なくなりつつあった。「がはっ……!」  更にレイの剣が少しでも掠ろうものなら、たちまち全身に電撃が走りスノウの体力を削っていく。  対してこちらの攻撃は尽く回避されてしまう。  剣に付与された氷魔法で相手を拘束しようにも、発動までの間に避けられてしまう。  ダリウム戦の時に見せた周囲一帯を凍らせる技は、範囲は広いが隙が多すぎて使えない。  もし避けられたりでもしたら、こちらは砕けた剣が元に戻る間の数秒、剣無しで戦う事を意味する。  この高速戦闘中にそこまでのリスクを負う事は、スノウには出来なかった。 それまで均衡を保っていた戦力差が途端に崩れ去っていくのを感じるスノウ。「使うしか無い、か……」  そう呟き、本当は隠しておきたかった切り札を使う覚悟を決める。「目覚めて!『追霜』!」 スノウの叫びに呼応するかの様に、剣身に蒼白い線が浮かび上がる。  よく見ればそれは細かく描かれた図形や言語の様だが、いずれもレイはそれを見た事が無かった。「あれは……」  1つの心当たりを思い出し、警戒の為少し距離を取ろうとするレイ。  次の瞬間、背中に強烈な寒気を感じ、強化された肉体で無理やり前方に飛び込む。「くっ……!」  直後背中を薄く切られ、思わず呻いてしまうレイ。  振り向いてみれば、背後に氷で出来た剣が浮かび上がり、レイを切
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-04
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雷雪の行方

 過去に類を見ない2人の激闘。  白熱した戦いに、それを見守る観衆達。  しかしながら会場の気温は、それに反比例する様に下がり続けていた。「これはスノウ選手の魔法でしょうか!?相変わらず何が起こっているのか分かりませんが、突如生まれる氷が一瞬にして砕ける光景が続いております!そしてその影響か、会場内が少し肌寒く感じられます!」 司会が実況してる間も多数の氷が生まれ、そして砕かれていく。  2人の戦闘は相変わらず素人目には捉えられず、特に先程以上の速度で動くレイの動きを見切れる者は、ほとんど居なくなっていた。(体温も下がって動き難く、床も凍りついて滑りやすくなってる筈なのに、鈍るどころか速度が上がってさえいる。一体どんな魔法なのよ!)  切り札を使ったにも関わらず捉えられないレイに、内心で歯噛みするスノウ。  実際には『+9』を使って以降は、新たな魔法を使用してはいない。  ただ単純に凍っていない場所を踏み、強化された身体機能で体温を下げない様にしているに過ぎない。  つまりは寒冷地戦闘に適応しつつあるという証左なのだが、驚くべきはその短時間でそれを可能にするレイの戦闘センスであろう。 どちらにせよ、スノウにとってジリ貧な現状に変わりない。  このままでは魔力切れを起こし、敗北するのが目に見えている。(一か八か……!)  内心を悟られない様にしつつ、賭けに出る事を決意するスノウ。 見える者が見たら優勢に見えるレイも、内心では焦りを感じていた。  身体強化の重ね掛けは、当然ながら魔力を多分に消費する。  更に魔法装填も維持し続けているので、その分の魔力も馬鹿にならない。  節約して使いたいが、この高速戦闘下、更に下がり続ける気温の所為で、身体強化を解除する訳にもいかない。(それに彼女には神性付与が……)  一刻も早く決着をつけたいレイ、その無意識の深層心理も相まってか、多少強引にスノウへと攻め込んだ。「掛かった!」 「なっ……!」  強引に切り込まれたが、ギリギリ追霜剣で防ぐスノウ。  直後その剣が粉々に砕け散る。  それは2回戦でダリウム相手に見せた、相手を凍らせる技だった。  咄嗟に避けようとするレイだが、周りの砕けた氷剣の冷気も巻き込み、以前見た時よりも広範囲を凍りつかせ、レイも巻き
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-05
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それぞれの思惑

「突然試合場内に吹き荒れ出した吹雪によって客席は騒然となっております!さ、寒い!何が起こっているのかも全く分からな……あ、吹雪が!止んできております!中央に見えるのは……人影でしょうか!?一体何がどうなって……レイ選手です!足元ではスノウ選手が倒れています!決着がついたのでしょうか!?」 司会の声を聞きながら、安堵のため息を漏らすニイル。  負けるとは思っていなかったが本来の目的、そしてこの大会に出場している目的すらも忘れてしまっているのでは無いかと、途中から少し不安を感じながら観戦していたのだ。  どうやら自分が想像する以上にレイは戦闘狂だったらしい。  強者を前にして楽しむ心が彼女に有った事に、ニイルは驚いていた。  しかし、それも仕方の無い事なのかもしれない。  彼女はまだまだ子供で、そしてそんな子供が経験するにはあまりにも過酷な人生を歩んできたのだから。 (これ以外の楽しみを、まだ知らないんだろうな……) この大会が終われば彼女は生きる意味を失うだろう。  自分達の関係がその後も続くかは分からないが、せめて独り立ち出来る位には面倒を見てあげたいと思う様になっていた。(随分絆されてしまったらしい)  つい笑みを浮かべながらそんな事を考えてしまっていたニイルに、後ろから声を掛けられる。 「何ニヤついてるのお兄ちゃん?」 ニイルが振り返ると、調査をお願いしていたフィオと、その後ろにはランシュが立っていた。「試合終わったみたいだけど、何か良い事でも有った?」  少し訝しげな眼差しを向けつつ聞いてくるフィオに、立ち上がりながらニイルは逆に問うた。 「2人共、レイは好きですか?」 それに2人が疑問を浮かべながら顔を見合せ、その後フィオが口を開く。 「もちろん好きだよ?今じゃ新しい妹みたいに思ってるし。ね?お姉ちゃん?」  それにランシュが首肯する。 その答えに満足気に頷きながら歩き出し、2人も付いてくる。「どこ行くの?お兄ちゃん?」  その問いに振り返らず答えるニイル。 「レイの元に、と言いたい所ですが、少し用事が出来ましてね。2人は先にレイの元に行ってあげてください。私も後から合流します」 「それは良いけどこれから試合なんでしょ?すぐ戻って来れる?」 「大丈夫ですよ、少し話をしに行くだけですから。用が終わっ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-06
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意外な因縁

 ニイルが去って少し後、ニイルの試合が始まろうかという時。  半泣きになりながら薬を飲み終えたレイと、それを笑いながら囃し立てるフィオ達3人の元に、1人の来客が姿を現す。 「失礼するわ」 「スノウ!?」 部屋に入ってきたのは、先程迄レイと戦っていたスノウであった。  試合直後に気を失っていたはずだが、今は元気そうにこちらへ歩いてくる。「良い試合だったわ。まさかこんなに強い女の子が居るなんて思わなかった」  そう言いながら手を差し出すスノウ。「その言葉、そっくりそのまま返すわ。どうやってそこまで強くなったのかしら?」  レイもその手を握り返しながら答えるが、その時フィオとランシュが異常な程警戒しているのに気付く。「2人共、彼女はさっきまで私と戦っていたスノウよ。試合後に闇討ちしに来た訳じゃ無さそうだしそんなに警戒しなくても……」 「そういう訳じゃ無いんだけどね……」 先程の戦いを経て、試合の恨みで襲って来るような人間では無いと感じていたレイは、2人を安心させる様に言う。  しかしフィオもランシュも警戒を解こうとしない。 それに2人の顔を見ながら当然よね、と呟くスノウ。 「でも安心して。ニイルにはちゃんと話をして来た。私にはよく分からなかったけど、彼はちゃんと納得して帰って行ったわ」  その言葉に驚愕する3人。  代表してレイが質問をぶつける。 「ま、待って!いつの間にニイルと出会ったの!?」 「ついさっきよ。私の所に来て1つだけ質問してきたの」  その時の事を思い出すスノウ。  救護室に運び込まれ、目を覚ました直後彼が部屋に入ってきたのだ。  3人の死体を持って。「な、なん……!?」 「失礼、部屋の前で出くわしましてね。私を見るなり襲い掛かって来たので返り討ちにしましたが、貴女のお知り合いでしたか?」  ニイルのその問いに死体を見るレイだったが、いずれも見た事の無い人物であった。「いえ……違うわ……」 「そうですか、なら良かった。では今すぐにこれを飲んでここを立ち去る事です。どうやら貴女は命を狙われている様だ」 そう言いながらスノウに怪しげな液体を渡す。  それはレイにも渡していた回復薬だった。「あ、貴方は……?」 「私はニイル。レイの師匠をしています」  スノウの質問にフードを脱ぎながら答える
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-07
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動き出す悪意

「なんだと!?それは本当か!?」  部下からの報告に口調も、崩れ思わず大声を出してしまうルエル。  何事かと振り返るデューレル王に大丈夫ですと取り繕い、少し離れて報告の続きを聞く。「確かに目標の部屋で、ダル様含む3名が死亡しているのを確認したと」 「クソっ!見通しが甘かったか……!」 先程ルエルが部下に指示を出したのは2つ。  まず1つ目が、この大会に参加している裏社会の人間や傭兵、冒険者等金で動く人間に金を握らせ、この大会参加中は自分の指示に従う様に仕向けた事。  こちらの方はかなりの金額を提示しただけに、一も二もなく承諾を得られていた。  もう1つは先程の試合で、神性付与保持者だと判明したスノウと名乗る女の暗殺である。 あの神性付与は見た事が無いが、彼女の持っていた剣なら見た事が有る。  以前はあの派閥の頭首が持っていた筈なので、それを持っているという事は彼女もかなり上の地位の人間である筈だ。  そもそも神性付与保持者はどこの派閥でも貴重な戦力である。  それを削り、また過去の遺物を奪取出来るまたと無い機会だと思ったのだが、どうやら逸り過ぎた様だ。  試合に敗れた今なら大会進行に影響も無く、また魔力も尽きていた事から、これ好機と焦ってしまったのだろう。 しかし手負いとはいえ相手は神性付与保持者、故に1人はこの大会の参加者として紛れ込ませていた部下、もう1人は妨害魔法に秀でた者、そして2年前、ベルリの部下で唯一の生き残りであるダルと、自分の手駒の中でもかなりの実力者を送り込んだのだが、それを全て返り討ちにするなど出来るのだろうか。  そこまで考え、一旦落ち着くべく深く呼吸しながら部下へと問う。「それで?目標の女はどこに?」  それに困惑した顔で、言い辛そうに答える。 「それが……この会場内では見つからず……現在は街の捜索にあたっております。街の外まで範囲を広げますか?」 その返答に内心歯噛みするルエル。  1度暗殺されかけたのであれば逃亡するのは当然。  それなりの時間が経ってしまった今では、街の外まで逃げられているだろう。「いえ、惜しいですがあの女は諦めましょう」  今はそれよりもこの大会の方が重要だとルエルは言う。  それなりに
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-08
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風雲急を告げる

 試合場に集められた選手達を見て、レイは違和感に気付く。 (1人足りない?) そう、本来であれば8人が勝ち残っている筈が、ここには7人しか集まっていない。 (このタイミングで棄権?それとも別の……) 何か嫌な予感がする。  直感ではあるがそう感じた時、それが正しかったと知る事になる。「この大会をご覧の皆様、お待たせしました」 「っ!?」 選手達7人は、デューレル王からの言葉を賜わる為に呼ばれた筈。  それが本当とは考えていなかったが、それでも何故……「お前が……ここに居る……?」  囁く様にレイが呟く視線の先。  来賓席より姿を現したのは、因縁の相手ルエル・レオ・ナヴィスタスであった。 開会式の時、彼は姿を表さなかった。  その為レイはこの場には居ないのだと判断、その後は大会に集中していたのだが、どうやらそれは早計だったらしい。 あまりにも突然の邂逅に、様々な感情が溢れ出るレイ。  目の前が赤く染まり、今にも飛び掛ろうとした瞬間、横から肩を捕まれハッとする。  見ればニイルが首を横に振っていた。  フードを被って表情は見えないが、どうやら落ち着けと伝えたいらしい。 それにようやく落ち着きを取り戻し、深呼吸するレイ。  今はまだ戦うべき時では無い、そう自分に言い聞かせる。 落ち着いた所で改めてルエルを見ると、しかし彼はこちらを見つめ、そしてニヤリと笑みを零す。「突然の事で皆様困惑されている事でしょう。私もこの様な事態に陥るとは思ってもみませんでした。しかし、事が事なだけに大会運営に変わり、この私が事態の説明をさせていただきたいと思います」 宰相の突然の登場に、会場のざわめきが増す。  どうやら観客にも、この状況の説明はされていない様だった。「さて、では結論から話しますと。今、この場にテロリストが混ざっている事が判明しました」 ルエルの言葉に会場が騒然とする。  それを気にせずルエルは続けた。「それにいち早く気付いたゴルディ選手が果敢にもテロリストに挑むも、勇戦虚しく返り討ちにされ、帰らぬ人となったのです」 そんな話は寝耳に水のレイ。  道理で参加者が1人足りない訳だ。  尚もルエルの言葉は続く。「私はとても悲しい。ここまで勝ち進んだゴルディ選手が、この様な結末を迎える事になるとは。しかし彼の勇敢さに報いる
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-09
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因縁の対決

 観戦場から試合場へ飛び降りるルエル。  結構な高さが有るにも関わらず、重力を感じさせない様子で降り立った。  それに沸き立ち、大歓声が巻き起こる。 「ルエル様ー!」 「国を守ってくれー!」 「悪魔達に正義の鉄槌を!」  その声に手を振りながら応え、更に声援が増す。 そのルエルの一挙手一投足をレイは見逃さまいと注視し、周りの声も全く耳に入っていない様子だった。(良い集中状態です)  怒りで我を忘れ、冷静さを欠いていないか少し心配だったニイルは、その様子を見て安心する。  どうやらこの2年で、精神的にも少し成長したらしい。  多少の忍耐強さは獲得した様だ。「では貴方達の相手は私が引き受けましょう。どうぞ好きな様に掛かって来なさい。あぁ、ご安心を。ちゃんと手加減してあげますからね?」  復讐相手を弟子に任せ、ニイルは残りの5人に向き直る。 「あ゛あ゛?」 「舐めてんのか!?」  慇懃無礼な物言いに、5人が一斉にニイルを睨む。(あっさり挑発に乗って来たな……コイツら本当にルエルの部下か?)  レイの方へ意識を向けさせない為に敢えて挑発したのだが、あまりにも上手く行き過ぎた結果に苦笑しそうになるニイル。  この状況でルエルの味方をする彼等をルエルの部下と思っていたのだが、どうやら違うのかもしれない。「なら、殺さないでおいてあげますか」  その言葉に堪忍袋の緒が切れたのだろう。  罵声を発しながら、5人が一斉にニイルに襲いかかった。 「二流共が」  まんまと挑発に乗った5人が飛び掛るのを見て、吐き捨てるように呟くルエル。  利用価値が有ると思い大金を積んだが、どうやらあまり使えそうにない様だ。  それでもあれだけの人数差だ。  いくらニヒルと名乗るあの男が強くとも、流石に負けはしないだろう。  そう考え、ルエルはレイへと問い掛ける。 「良いのですか?彼1人で5人を任せてしまっても?流石にあの人数差では厳しいのでは?」 揺さぶりのつもりで発した挑発だったが、それに全く動じず剣を抜くレイ。 「あの程度、何人来ようが彼の敵じゃないわ。」 それどころか向こうを一瞥もせず、ルエルに全神経を集中させている。(こっちの小娘の方が余程優秀だな)  その様子に今までの試合を思い出す。  レイと
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-10
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立ちはだかる絶望

 様々な色の魔法の弾幕の中を、一条の閃光が進む。  しかしまるで未来が見えているかの様に、雷の行く先々に魔法を撃ち込まれる。  見える者が見れば、レイが自ら魔法に突っ込んで行く様にも見えるだろう。  そもそも雷速を見切れる者等そうそう居ないので、その心配は皆無だが。「くそっ!」  雷速による反射の、その常軌を逸した速度で無理やり回避するレイ。  今は何とかそれで致命傷は避けているが、その重なったダメージ、更に常に『雷装』状態による肉体的疲労、魔力消費、そして全く太刀打ち出来ない事による精神的焦りが動きを鈍らせつつあった。 (まるで奴の掌の上ね!) 新たなルートを見出そうと弾幕が薄い箇所を狙い魔法を切り払い進むが、それすらも読んでいるかの様に防がれるのだった。 この世界ではほとんど使い手の居ない、魔法を切る技術。  剣聖が得意とし、それを受け継いだレイ。  魔法が主流のこの世界において万能の様にも思える技術だが、使い手が少ない理由、デメリットもちゃんと存在する。 まず魔法の知識をしっかりと持ちながら、剣の腕も一流である事が前提の時点で、扱える者が少ないのは当然の話である。  魔法への知識が有るなら魔法師に、腕に覚えが有るならば剣士に。  どちらかに偏るのが普通で、その両方を極めようとするのは途方も無い努力と、類まれな才能が無ければ出来る事では無い。  幸いレイはその両方を兼ね備えた、いわゆる天才と呼ばれる人間であり、『雷装』状態での使用等戦闘スタイルに合致したのでこの技術を多用しているが、本来ならば効率の悪い技術なのである。 そもそも魔法とは魔法陣にて魔力を制御し、事象を改変する物である。  魔力の塊を火、水、風、土、雷の5属性のいずれかに変換、あるいは光、闇の原初属性を付与させ制御する、それが魔法である。  例えるなら魔力の塊を火属性に変換すれば炎魔法に、光属性を付与させて魔力を流せば回復魔法になる、という感じである。  つまり元をたどせば、魔法とは魔力の塊なのである。  そして魔法を切る技術とは、魔力を纏わせた剣でその魔力の塊を霧散させ、無力化させるという物なのだ。 なので当然、この技術にも魔力を使う。  相手の魔法を打ち消すだけの魔力を、魔法装填というマイナーな技術を使い、剣に込めて切る。  故にこの技術を
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-11
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化生達の蹂躙

「不味いですね」 爆発音を横目に見ながら、襲い来る男達を躱すニイル。  先程から目の前の5人を相手にし、凡その実力を計れた。  彼らの実力は人間にしてはそこそこ、しかし裏社会では二流もいい所であろう。  つまりニイルにとっては意識すらしないレベルの相手だった。  故に適当に時間を稼ぎ、弟子であるレイの邪魔をさせない様にしていたのだが、どうやら向こうはかなりの苦戦を強いられている様だ。(俺とした事が、奴の力量を読み違えたな……)  剣による攻撃を避けながら思案するニイル。  ルエルの実力が想定以上であり、レイの勝算がかなり怪しくなって来ている現状に、計画変更を視野に入れた次の行動を模索していた。(これは奥の手を使っても勝てないかもな……ならば一旦撤退するしかなさそうだが……せめて2人が戻って来るまでレイが持てば良いいんだが……) 現在、ランシュとフィオはニイルに頼まれた任務の為動いている。  ルエルが姿を見せた時点で、通話魔法にて指示を出していたのだ。  今回ニイル達3人の計画の最大のネックであったルエルがここに居るとなれば、あの2人の事だ、必ず成功させるであろう。  そのルエルの相手もレイに担当させる事で、今回の計画を進めていたのだが流石に相手が悪過ぎた。(まさか今の状態の俺で視えないとは……成程、『神性付与』とは良く言った物だ) そしてニイルはかつて出逢った天才達を思い出す。  彼等と協力してこの世界の仕組みを少し書き換えたのも、今では遠い過去になりつつ有る。  多少の懐かしさを感じつつも、回想を止め現実に向き直った。(天才達のお陰であの力の事は知っていたが、まさか今では神性付与と呼ばれているとは思いもよらなかった。そのせいで読み違えてしまったな) 飛来してくる魔法をかき消しながらニイルはルエルを見る。  あれだけの魔法を行使したにも関わらず、魔力がほとんど減っていないどころか、微笑すら浮かべている。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-12
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反撃開始

「なんだと!?」 聞き慣れた、しかし有り得ざる言葉を聞き動揺を隠せないルエル。  彼の聞き間違いで無ければ、目の前のレイはこう言ったのだ。『神性付与発動』と。 それは裏社会ですら、まことしやかに囁かれる都市伝説。  しかしその中でも上位の権力者や実力者は存在を知り、その存在になるべく関与しないという暗黙の了解が出来ている程の禁忌である。  そしてルエルもその存在を知る人物の1人であり、その部下であるベルリが実際に使っていた事から、普通の人間より身近な存在だった。  しかし先に述べた通り『神性付与』、及び『神性付与保持者』にはなるべく関与しない、というか各組織がその存在を徹底的に隠蔽している為、誰が『神性付与保持者』でどんな能力を持っているか、詳細を知り得てはいなかった。(先程のスノウという女、奴も私の情報網には引っ掛かっていなかったが故に、その存在に気付かなかった。しかしあの能力からどこの所属かは大体検討がついてはいた。だがこの女は……)  自分の記憶をよく思い返しても、かつて自分が滅ぼしたあの国の人間に『神性付与保持者』が居たという報告は受けてはいないし、そもそも『神性付与保持者』の存在自体を知らない人間しか居なかった。(という事はあの出来事以降、更にギリギリ迄発動しなかった事を考えるに、最近獲得したに違いない) かつてベルリが、『神性付与』を授かって間も無い頃に言っていた言葉を思い出す。  曰く、『神性付与』は慣れるまでかなり扱いが難しい、と。  それはそうだろうとルエルも思う。  あれ程強大な力だ、それを制御出来る様にするにはかなりの労力を要するだろう。  実際、ベルリも使いこなせる迄にかなりの年月を費やしていた。(あれは発動しなかったのでは無く、出来なかったと考えるのが妥当) ならば多少の驚きはあれど、脅威に感じる事は無い。  確かにあの力の出処は気になるが、ニイルが神性付与保持者で有る以上、奴が授けた線は無い。  つまりこの場に自分を脅かす脅威は
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-13
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