All Chapters of バケモノが愛したこの世界: Chapter 31 - Chapter 34

34 Chapters

ギフト

自分の体からミシミシと音を立て、骨が軋んでいくのを感じるレイ。何とか現状から逃れようとするが、上からの重力が動く事を許さない。「ぐう…ううううううう!」降り注ぐ重力に抗い、空いている左手をルエルへと伸ばす。しかし重力に逆らえず、すぐ地面を掴むことになってしまった。そんな様子を見下ろすルエル。先程までの慇懃無礼な所作とは打って変わって、粗野な態度で口を開く。「これ程の傷を負うのは久しぶりだ。てめぇみてぇな小娘がよくもやってくれたな?」その瞳は怒りの炎を湛え、ギラギラとした雰囲気を醸し出している。口調すらも先程とは全くの別物であり、まるで別人の様だとレイは感じた。「…それが…本性って訳?…随分猫を被って…いるのね?」レイが挑発する様に口を開くも、それには答えず代わりに重力が増し、更に地面へと押し潰されていく。「あう!」「口の利き方には気ぃつけろガキ。今がどんな状況かよく考えてから喋るんだな。てめぇの命は俺が握ってんだからよ?」もはや怒りの感情を隠しもしないルエルに内心焦りと、そして未だに計画通りに事が進んでいる事に、笑みを浮かべそうになるレイ。何故ならまだ自分は生きているから。
last updateLast Updated : 2025-07-15
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決着

「ハーッハッハッハッハ!見ろ!てめぇのよく分からん魔法も俺の魔法の前には無力!このまま無限の闇に引きずり込んでやるよぉ!」レイの魔法、『電磁加速魔弾レールガン』がブラックホールに飲み込まれたのを見た時、ルエルは自身の傷の痛みも忘れて笑いが込み上げ、勝利を確信するに至った。それはそうだろう、今も重力に引き摺られ、レイが暗黒に飲まれそうになるのを、剣を地面に突き立て必死に堪えている。しかしブラックホールに飲み込まれるのも時間の問題だろう。この魔法は維持させるのに常に魔力を消費する。魔力を注ぐのを止めればこの魔法は解除されるが、逆に言えば注ぐ魔力を増やせばその分引き寄せる重力が増すのだ。(このまま限界まで魔力を注いで、アイツがどれだけ耐えられるのか見届けてやるぜ)実際のところ、ルエルの方も魔力はほとんど残っておらず、この魔法を維持するだけで精一杯だった。しかし最早レイに打つ手は無し、そう判断し残りの魔力のほとんどをこの魔法に充てる事を決める。しかしルエルは知らなかったのだ。最後まで油断や慢心を捨て切る事が出来なかったその傲慢さ、ソレこそがこの戦いの命運を分けたのだと。(来た!)周囲を視ながら好機だと悟るレイ。ルエルは完全に油断し、障壁以外の魔法を用意していない。残りの魔力量を視るに、どうやら完
last updateLast Updated : 2025-07-17
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