「神性付与?」 聞いた事のない単語に訝しむレイ。 だがハッタリで無い事だけは確かだ。 何せ先程までと明らかに重圧が違う。「裏の界隈じゃ有名だぜ?神に選ばれた方々から賜る特別な加護、それが神性付与だ。俺は偉大なるルエル様より賜ったのさ!」 確かにレイは裏社会に精通している訳では無い。 しかし、仮にも今まで生き抜く為に裏も利用してきた。 いわゆる善良な一般市民とは違うという自覚はある。 その自分すらも知らないという事は、余程重要な意味合いを持つのであろうという事は容易に想像が出来た。「これを使うのも随分と久しぶりだ!それこそ人間相手に使わねぇからな!以前使ったのは同じ神性付与保持者と小競り合いした時以来か!」 こんな力を振るう人間が、他にも居るというのか。 目の前に居るだけでも鳥肌が止まらない。 しかしこちらも時間が無い。 相手の能力が分からない以上危険ではあるが、対応するよりも速く決着をつける。 そう結論付け、一気に間合いを詰めたレイだが……「ぐっ……!」 ベルリに近付いた途端、体が一気に何倍も重くなった。 気のせいでは無い、確実に重くなっている。 事実、持ち上げられなくなった剣先は地面に沈み、足の接地面は徐々にひび割れて来ている。「これは、重力魔法!?」 超高度な重力魔法を、略式で展開した事実に驚きを隠せないレイ。 今までの戦闘の様子を見るに、彼にそんな高等技術も、魔力量も備わっていないと思っていた。 しかし今それが可能という事は、先程の神性付与とやらの恩恵だろう。 恐らくこの能力は、特定の魔法の略式発動を可能とし、更に魔力消費量も少なく出来る能力なのではないか、と考察するレイ。(不味いわね……) レイの中で焦りが積もる。 何とか全身に力を込め、全力で後退する。 するとある程度離れた所で、全身の重さは嘘のように無くなった。 ベルリの重力魔法は彼を中心に、数メートル範囲内の敵の重力を増す様だ。 更に遠距離攻撃も重力の影響を受ける。 何とか打開策を、と考えたレイの目の前に映った光景に思わず絶句した。 恐らく幻影であろう分身し3人に増えたベルリが、更に全員略式で様々な魔法を展開していたのだ。 パッ
Last Updated : 2025-06-24 Read more