鞠野フスキと連絡先を交わしてミワさんは実家に帰っていった。土間まで見送った冬凪とあたしに、胸を両手で支えながら、「おっぱいの時間だから」 と言ったのが印象に残った。「同じ人なんだろうか?」 ミワさんと黒髪の女性がだ。「多分」 冬凪も自信なさげだった。「双子とかじゃなく?」「どうなんだろう」 と話しながら居間に向う廊下を歩いていると、「双子なんだよ。二人は」 と後ろから声がした。振り向くと作左衛門さんだった。逆光で表情が見えない中、瞳だけ金色に光っていた。あたしはそれを見てビビったが何でもない体で、「作左衛門さんもあれを見たんですか?」「あれとは? 辻川ひまわりと千福ミワのことでないのかい?」 逆にその情報にびっくりだった。二人はあまり似ているように見えなかったから。でも、細身の辻川ひまわりを少しふっくらさせたら同じ顔と言えなくもなかった。「二人は双子なんですか?」「そうだよ。別々の家に養女に入って苗字は違うがね。だからミワには分かるんだろうね。ひまわりが生きてるって」 で、辻川ひまわりがヴァンパイアで千福ミワが普通の人? それって言い伝えどおりじゃん。「まあ、二人とも苦労が多いよ。辻川はDV野郎でひまわりの体は痣だらけだったって聞いたし、千福はエロじじーで毎晩風呂場を覗きにくるっていうしね。こう言っちゃあ何だが、まゆまゆたちだって誰の子かわかたもんじゃない。鶴亀鶴亀」 なんか濃ゆい情報すぎてついて行けなかった。てか、作左衛門さんの話しっぷりが見た目に合わない感すごい。本当は何歳なの?居間に戻って、作左衛門さんと雑談した。すると冬凪があたしの腿をぺしぺしとたたいてくる。何かと思って見てみると、冬凪は木襖に立てかけてある鏡を指していた。それを見ると囲炉裏端が写っているだけのただの鏡だった。「どうしたの?」「写ってない」(小声)「何が?」「作左衛門さんが」(小声) 冬凪が指さした鏡には主人の座にいる作左衛門さんの姿が映っていなかった。これってヴァンパイアは鏡に映らな
Last Updated : 2025-08-27 Read more