家に着いて、まず智華ちゃんを、白を基調に淡い紫を取り入れた部屋に案内した。次に、文都君には、白に深い緑をプラスした部屋に入ってもらった。どちらも、自分の新しい部屋を気に入ってくれたようだった。いよいよ最後、私は4度目のお迎えに向かった。望月颯(もちづき はやて)君、21歳。有名美大に通う画家志望の男の子。履歴書の写真では、どちらかといえば可愛くて中性的な感じがした。茶髪でゆるめのパーマをかけていて、個性的でとても似合っていた。偏見かも知れないけれど「The 美大生」というイメージだ。そんなことを考えているうちにバスが来た。最後の男子はどんな子なのかとドキドキする。ゆっくりとバス降りてきた颯君は……履歴書の写真より圧倒的にオシャレで、少しだけ髪も短く切ったのか、外国のオシャレな雑誌から飛び出してきたモデルみたいだった。あまりに魅力的で呆然とする。「こんにちは。お世話になります。大家さんですか?望月颯です」「あっ、ええ。み、三井結菜です。よろしくね、颯君」なぜか颯君のことはすぐに名前で呼べた。「良かった。大家さんが凄く素敵な人で。結菜さんか……。だったら結姉(ゆいねえ)だね」「ゆ、結姉?そんな風に呼ばれたことないけど」私は、苦笑いした。「だったら俺が初めてだね」「えっ、あっ、うん、そうだね」別荘まで5分の距離を歩く間、いろいろとニコニコ笑いながら話してくれる颯君。すごくフレンドリーに接してくれて好感が持てた。会ってすぐにいきなり敬語は消滅しているけれど、それも全く嫌味がなくて特に気にはならなかった。若い人とのコミュニケーションの取り方が、さっきの祥太君で少しは慣れたのかも知れない。颯君は、コーディネートした部屋の色が黄色で良かったと思えるほど、とてもキラキラした太陽みたいに明るい男の子だ。
Terakhir Diperbarui : 2025-06-23 Baca selengkapnya