黒髪ロングストレートのごくごく平凡な顔立ちの子、佐藤さん。 彼女は入ってきたときから様子がおかしかった。 というか、持ち物が多かった。 何が入っているのか、大きな紙袋を二つほど持っていて大変そう。 ってか、メイクしに来るだけなのに何でそんな大荷物を……? それは他の皆も思った様で……。「えっと……佐藤さん? その荷物は……?」 彼女の一番近くにいたさくらちゃんが戸惑いながら聞いていた。「あっ、あの……これはそのっ!」 問われて佐藤さんは慌てながらもチラチラ陸斗の方を見ていた。 まさか陸斗にプレゼントとか? いや、だとしてもあの大きさの紙袋二つはおかしいよね? なんて考えていると、佐藤さんは意を決した様に表情をグッと真剣なものに変える。 そして陸斗に向き直った。「日高くんに、お願いがあるんですっ!」 叫ぶように言った佐藤さんは、そのままツカツカと陸斗に近付いて行く。 どんなお願いかは知らないけれど、その内容によってはあたしは黙って見ている訳にはいかない。 あたしは警戒を強めて、取りあえず成り行きを見守った。「日高くん」「……なんだよ」 陸斗も面倒そうな態度ではあったけれど、何を言われるのかと少し身構えているみたいだ。 「この衣装を着て写真撮らせてください!!」「………………へ?」 予想していたどのセリフとも違う。 というか、その紙袋って衣装だったの?「あ? 何で俺が?」 嫌そうな陸斗の言葉に断
Terakhir Diperbarui : 2025-09-15 Baca selengkapnya