「……でも杉沢、だっけ? 灯里が気に入られてるから何かされるかもって不安はあるんでしょ?」 うっ……。 その言葉に、皆黙ってしまう。 確かにその懸念事項は残っている。「……でも何で気に入られちゃったのか分からないんだよね。メイクしただけなのに……」 ため息と共にそう呟くと、バッと三人があたしを見た。 その表情は揃って驚き――いや、驚愕に近いかも知れない。 その驚きを初めに言葉にしたのは美智留ちゃんだ。「メイクしたの!? それなら気に入られるわ」「何もされてはいないけど、メイクはしたってことか。あちゃー、それはやっちゃったね」 そして沙良ちゃんが続ける。 最後にさくらちゃんがあたしの肩に手を置いて。「灯里ちゃん、本気でメイクしたでしょう? それはマズイよ……」 と、しみじみと言われた。「な、何で? メイクしただけだよ?」 分からなくて慌てて聞き返すと、凄く真剣な顔で答えが返ってくる。「ドキドキしたって言ったでしょう? 灯里ちゃんが男だったらあたし惚れてたかもしれない」「そうそう。逆にあたしが男だったら絶対心奪われてた」 さくらちゃんと沙良ちゃんが、さっきメイクしたときの感想に“もしも”を足して言った。 ええー? と微妙な気分で納得出来ないでいると、美智留ちゃんが更に付け加える。「同性のあたし達ですらそう思うんだから、きっと異性ならもっとドキドキしてるはずだよ。だからあたしは日高に同情するって言ったのよ。灯里が異性にメイクしまくったら灯里の取り合いになりかねないから」「いや、流石に取り合いまではいかないかと……」 確かに陸斗くんにも
Last Updated : 2025-08-26 Read more