「じゃあ言うけど……。な、倉木。俺の彼女にならねぇ?」「………………は?」 理解出来なくて間を開けて、それでも理解出来なくて聞き返した。「だから、俺の彼女」「あ、俺でも良いぜ?」 と、もう一人も自分を指差して言う。「丁度夏休み前に彼女欲しかったし、メイクすればこんなに可愛くなるなら隣歩いてても自慢になるし」「それな!」 あはは、と笑う彼らをあたしは冷めた目で見る。 つまり、あたしの事は好きでもなんでもないけどアクセサリーとしての彼女として丁度良いと。 バカだろう。 ふざけるなとか、侮辱するなとか。 腹が立つのさえ通り越して呆れしかない。 第一、それを言われてあたしが本当に彼女になるとでも思っているんだろうか? 普通に考えてありえないよね? せめて本音は隠さないと……。「いや、なる訳ないでしょ。良いから放して」 最早会話するだけ無駄なので、とにかく放してもらおうと顎を掴んでいる腕を両手で掴んだ。 でも腐っても男子。力では敵わないのかビクともしない。「はは、そういうとこは小動物みたいでちょっと可愛いな」「なあ、別に良いだろ? 倉木だって彼氏欲しくねぇ?」 アクセサリーの次は小動物扱いか!?「欲しかったとしてもあんたたちは選ばないよ! 大体あたし好きな人いるし!」 いっそ股間を蹴り上げてやろうかと思いながら言うと、軽く驚いた声が降ってくる。「へー、いるんだ?」「でも片思いだろ?」「ちなみに誰? まさか日高とか言わねぇよな?」 まさか言い当てられるとは思わなかったから一瞬言葉に詰まる。
Last Updated : 2025-09-05 Read more