「確かに陸斗が怖がられるのは嫌だよ? でも、陸斗がそれで嫌な気持ちになる方がもっと嫌。だから平気だって言うならそれでいいよ」 あたしのことを気にしてくれていたことが嬉しくて微笑んでそう言ったら、陸斗は少し黙った後に――。「な、抱きしめていいか?」 と真顔で言ってきた。「ダメです!」 思わず反射的に拒否してしまうと不満な顔をされる。 そんな陸斗にあたしはちゃんと理由も話した。「学校で、しかも皆がいて皆の目がある廊下で何て……恥ずかしすぎるもん」 最後は消え入りそうな声になってしまったけれど、ちゃんと説明する。 でも陸斗はまた真顔になって。「やっぱり抱きしめてぇんだけど?」 何て言うから拒否するのに苦労した。 状況が変わっても相変わらずな陸斗に、呆れつつも安心していたその始業式の後。 HRも終わって今日はあとは帰るだけとなった教室で美智留ちゃんが声を上げた。「皆! ちょっと聞いてほしいことがあるの! まだ帰らないで!」 そう言って教壇の方に行く美智留ちゃん。 そこから教室内を見回して、席を立っている人がいないことを確認するといきなり本題に入った。「皆日高の噂は知ってるよね? 元総長だったってやつ」 陸斗と仲の良い美智留ちゃんがその話題を口にしたことで教室内がザワリと騒がしくなる。 それを押しのけるように美智留ちゃんは続けた。「それ、事実だから」 一瞬の静寂の後、ドッとさっきよりも騒がしくなる。 美智留ちゃんのことは信じているけれど、こんな風にバラしてしまって大丈夫なんだろうかと少し不安になる。 ハラハラした気持ちで彼女を見守っていると、少し騒がしさが落ち着いたころを見計らって「でも!」と大きく声を上げた。「だからって何が変わる訳でもないでしょ?」 一瞬の
Terakhir Diperbarui : 2025-09-25 Baca selengkapnya