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再会①

Author: 緋村燐
last update Last Updated: 2025-08-27 17:31:01

 朝に三人と待ち合わせた駅で男子とも合流することにしたんだけれど、あたし達の方が先についたみたいだった。

「あっちも合流してからここに来るって言ってたから、もうちょっと時間かかるのかもね」

「日高とか、遅刻魔だしね」

 美智留ちゃんの言葉に、沙良ちゃんが冗談めかしてそう言う。

 だからあたしはフォローを入れておく。

「最近は寝不足にはなってないから多分大丈夫だよ。昨日だって遅刻はしてなかったでしょう?」

「そういえばそうだったね」

 そんな会話をする中、さくらちゃんが小さく溜息をつく。

「司くんは来れないなんて……あーあ、見てもらいたかったな……」

 残念がる彼女を美智留ちゃんが慰めていた。

 そう。

 花田くんだけは今日は家の用事があって少し遠出しているらしい。

 すぐに来れる場所にいないため、今日は花田くんだけ不参加だ。

 そんな話をしながら陸斗くん達を待っていると、知らない人に声を掛けられた。

「君達皆可愛いね。暇なら俺達と遊ばない?」

 大学生くらいだろうか。

 二十歳前後の男の人三人があたし達を囲む様に近付いてきた。

「え? あの……」

 突然の事に戸惑う。

 でもすぐに分かった。これ、ナンパだ。

 人生二度目のナンパ。

 とは言っても、前回は戸惑っているうちに勝手に揉め事になって相手が去って行ったけれど。

 しかも相手は三人。

 明らかにあたし以外の三人が目当てで寄って来ている。

「いえ、あたし達待ち合わせしているので遠慮します」

 あたしが守らなきゃ、なんてちょっとした使命感が芽生えてハッキリとお断りする。

 でも彼らはそれだけだと離れて行ってはくれなかった。

「相手は男? だったら待たせとけばいいじゃん。こんな可愛い子達待たせるとか

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