彼女はこういう性格だ。昔からずっと。いつも気怠そうで、今にも倒れそうな顔をしているが、専門分野ではズバ抜けて優秀だ。医学部のあのレンガのように分厚い専門書を読破するのも、彼女にとっては朝飯前だった。黙々と勉強し、あっという間に首席に上り詰めた。正真正銘の天才なのだ。車は馴染みのある道を進み、建物の前で停まった。二人は車を降り、生化学棟へ向かってゆっくりと歩き出す。道中、小夜が時折言葉をかけるが、真理は目の下のクマを揉みながら、あくびをするだけだ。気の利いた挨拶など、初めから存在しない。二人は白衣に着替えて実験室に入った。先ほどまで足を引きずるように気怠く歩いていた彼女の顔つきが、突然シャキッとした。小夜の手からガラス瓶を受け取り、中の薔薇をじっと見つめる。メガネをかけると、いくらか活気が戻ったように見えた。「これ?」「ええ。この花に残っている香りの成分と、花そのものの分析をお願いしたいの」小夜は答えた。この程度の実験なら小夜にもできる。だが、彼女は専門家ではない。しかし真理は違う。医学部の教授であるだけでなく、生化学の分野でも相当な腕前を持っている。花と香水の成分分析など、彼女にとっては造作もないことだ。成分を抽出し、その割合が分かれば。レシピも自ずと明らかになる。コルシオが一体何を企んでいるのかも、見えてくるはずだ。真理は深く詮索することなく、マスクとヘアキャップを身につけ、必要な器具を準備した。慎重に黒薔薇を取り出すと、いくつかの部位から少しずつサンプルを採取し、黙々と実験に取りかかった。小夜もただ黙って見ていたわけではない。専門外とはいえ、助手くらいは務まる。実験室の中、白衣を着た二人が様々な器具の前を無言で行き交う。一人の動きは極めてゆっくりだが、非常に繊細だった……静かに時間が流れていく。やがて。真理は調合した試薬の中に花びらを一枚落とし、容器を静かにセットしてから言った。「反応を見るから、五時間後にまた来て」「じゃあ、先にご飯にする?」「いいわよ」わざわざ遠出はせず、学食で真理の職員証を使って昼食を済ませた。食事中も相変わらず一言も交わさなかったが、その空気は非常に穏やかで和やかだった。どれくらい和やかかといえば。食後、生化学棟の休憩室へ入るなり、
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