All Chapters of レティアの虹色の冒険: Chapter 51 - Chapter 60

60 Chapters

50話 ギルド施設の豪華さに感動するレティア

 彼は部下に指示を飛ばし、探索中のサポート体制を整えながらレティアとフィオを見守る準備をした。部下たちはきびきびと動き、それぞれの持ち場へと向かっていった。 ジェレミーは施設内の広々とした廊下を歩きながら、部屋や設備について説明を続けた。絨毯が敷かれた廊下は柔らかな光を放つランプによって照らされており、どこか温かみのある空間が広がっている。絨毯は足音を吸収し、廊下は静かで心地よい。 レティアは大きな目を輝かせながらあちこちを見回し、興奮気味に声を上げた。彼女の視線は、壁の絵画や装飾品に釘付けになっていた。「うわぁ〜すごーい! 豪華な絨毯だぁ〜! あっ、この壁の絵もすっごいキレイだねぇ♪」 フィオはその様子を微笑みながら見つめ、ジェレミーに声をかけた。彼女の優しい声が、廊下に響く。「こんなに広々とした廊下なんて、贅沢な施設ですよね。」 ジェレミーは柔らかな声で答えた。彼の声には、施設の品質に対する誇りがにじんでいる。「はい。冒険者の皆様が快適に過ごせるよう、細やかな配慮が施されています。」 レティアは絨毯を蹴って軽くジャンプしながら笑顔で声を上げた。彼女の体が軽やかに宙を舞う。「ねぇねぇ、次はどこ行くの〜?」 ジェレミーは微笑みながら先へ進む。次に向かったのは広々とした食堂だった。食堂の天井には美しいステンドグラスの窓が設置されており、昼間は自然光が差し込む仕様になっている。夜である今は、ランプの光がステンドグラスに反射し、幻想的な輝きを放っていた。ショーケースには彩り豊かな料理や、レティアが喜びそうなお菓子が並んでいた。甘い香りが、レティアの鼻腔をくすぐる。 レティアはショーケースを見つけると目を輝かせ、フィオの腕を引っ張った。彼女の指先は、フィオの腕にしっかりと食い込む。「フィオ! これ見て見て〜! ケーキもあるし、クッキーもあるよぅ♪ 食べられるかなぁ?」 フィオは笑顔を浮かべながら頷いた。彼女の目は、レティアの喜びを分かち合うかのように細められていた。「レティーちゃんが食べたいなら、注文すればいいんじゃない?」 ジェレ
last updateLast Updated : 2025-08-01
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51話 レティアの治癒とジェレミーの感謝

 レティアは目を輝かせながら頷き、興奮気味にフィオに向かって言った。その瞳は、まるで星を映したかのようにキラキラと輝いている。「わたしの剣もピカピカにしたいなぁ~♪」 フィオは頬に手を当てて笑いながら答えた。その笑い声は、心地よい音色を奏でる。「それならここに預けたらどう? レティーちゃんの剣もきっともっとキレイになるわよ。」 次に訪れたのは物理攻撃の練習施設だった。広大な空間が広がり、床は頑丈な素材で作られていた。どこまでも続くかのようなその広さに、思わず息をのむ。中央には動く標的が設置されており、人型や魔物型など様々な形が用意されている。これらは魔法で制御され、自由に動き回ることで実戦のような訓練が可能だ。標的の表面には、無数の打撃痕が刻まれている。 さらに施設の片隅には「攻撃力測定器」が置かれており、冒険者が放った一撃がどのくらいの威力だったかをリアルタイムで確認することができる仕組みになっていた。壁際には武器がずらりと並べられており、冒険者が自由に使えるように整備されている。剣や斧、槍などが、鈍い光を放っていた。 レティアは広い施設を見渡し、飛び跳ねるように喜びを表現した。その動作の一つ一つが、彼女の無邪気さを物語っている。「わぁー! ここすっごい広いねぇ! これ、叩いてもいいの?」 ジェレミーは微笑みながら頷いた。彼の表情は穏やかで、レティアの好奇心を受け止めているようだった。「もちろんです。標的は魔法で修復されますので、どうぞ思う存分試してみてください。」 レティアは嬉しそうに武器棚から小さな剣を手に取り、早速動く標的に向かって駆け出した。その足取りは軽く、まるで風のようだった。「えいっ! どうだぁ〜!」 剣を振り下ろすと標的はクルクルと動きながら受け流すように避けた。それに驚いたレティアは一瞬目を丸くしたが、すぐに笑顔を浮かべ、追いかけながら楽しそうに大きな声を上げた。その声は、広大な施設の中に響き渡る。「すごーい! 追いかけっこみたいだねぇ〜! フィオ、こっち来て一緒にやろうよ〜♪」 フィオは笑いながら少し距離を保ちつつ答え
last updateLast Updated : 2025-08-02
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52話 レティアの圧倒的な実力

 彼はその場に跪き、深々と頭を下げた。その頭上からは、彼の感謝と感動が伝わってくるかのようだった。♢治癒の魔法と挑発的な勝負 しかし、そんな感動的な場面にも関わらず、レティアは無邪気な笑みを浮かべたまま、さらりと言った。その表情には、一切の計算がない。「べつに……いーよー♪ じゃあさ、わたしと勝負してみちゃう?」 その挑発めいた言葉に、ジェレミーの目には再び情熱が灯った。彼の瞳は、かつての冒険者としての輝きを取り戻していた。苦笑いを浮かべながらも、意欲的な声で答える。「ぜひ、ですが……お手柔らかにお願いします。」 ジェレミーは剣を構え、慎重に間合いを計りながら、一歩、レティアへと踏み込んだ。彼の足音は、固い床に小さく響く。そして一気に動き出し、渾身の一太刀を振り下ろす――!風を切り裂くような剣閃が、レティアへと迫る。♢治癒の魔法と挑発的な勝負 だが、レティアは柔らかな笑みを浮かべたまま、その一撃を軽々と弾き飛ばした。金属が乾いた音を立て、ジェレミーの剣は虚空を斬る。「っ……!」 ジェレミーは目を見開きながらも、すぐに体勢を立て直し、再び攻撃に転じる。鋭く、迷いのない連撃。彼の剣は、流れるような動きでレティアへと迫る。そのたびに激しい金属音が施設内にこだまし、空気を震わせた。 しかし、レティアは涼しい顔でそれらをいなし、時には片手で軽々と受け流してみせる。その身のこなしは、まるで舞うように――優雅で、どこか楽しげだった。彼女の周りには、剣と剣がぶつかる火花が散り、その光がレティアの笑顔を照らす。「ねえねえ、本当に本気出してる? くすぐったいくらいなんだけど~♪」 レティアは、軽やかな声で笑いながら剣をさばき続ける。まるで攻撃そのものを楽しんでいるかのような、余裕の態度だった。その瞳は遊び心に満ちている。 一方のジェレミーは、全力を出し尽くす覚悟で食らいついていた。息は荒く、額には汗が滲む。彼の体からは湯気が立ち上り、その激しさを物語って
last updateLast Updated : 2025-08-03
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53話 おいしいお菓子を食べに行こうっ!!

 ジェレミーはその純粋な言葉にさらに感動し、改めて頭を下げた。彼の心には、レティアとともに新たな冒険を支える覚悟がしっかりと芽生えていた。その姿は、忠誠と決意に満ちていた。♢レティアの隠された才能と仲間への思い「っていうか、レティーちゃんって……剣術もできるんだ? すごいね……」 フィオは驚きと尊敬の入り混じった表情で、レティアに問いかけた。その瞳は純粋な好奇心に輝いている。「魔術師だと思ってたけど……違ったんだねー」 その言葉に、レティアが答える前に、ジェレミーが静かに口を開く。彼の声は落ち着いており、確信に満ちていた。「ええ。レティア様の色表適性は完璧ですので、どの職業でも遜色なくこなせるはずです」「もぉ〜、余計なこと言わないでよぅ……!」 レティアは恥ずかしそうに視線を落とし、頬をほんのり赤らめながら呟いた。彼女の頬は、夕焼けのように淡く染まっている。そして、ふいに顔を上げて、ふたりに向き直る。「あ、でもね〜……ルーシーにはナイショだよっ! 本気で剣術やってる子にこんなの見せたら、ややこしくなっちゃうから〜」 その言葉に、フィオもジェレミーも素直に頷いた。彼らの間には、レティアの願いを尊重する空気が流れる。「……そういうことですか。了解しました」 ジェレミーが淡々と返すと、フィオはレティアの隣にそっと寄り添い、柔らかな声で言った。彼女の指先が、レティアの腕に優しく触れる。「あぁ、うん。レティーちゃん、優しいね〜♪」 するとレティアは、少し照れたように笑いながら答えた。その笑顔は、花が綻ぶように可愛らしい。「そうかなぁ? だって、大切なお友達だし……仲良く、ずっと一緒にいたいじゃん♪」「もちろんフィオも、ジェレミーも……ずっと一緒にいてほしいなぁ〜♡」 その
last updateLast Updated : 2025-08-04
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54話 デザートの歓びと新たな希望

 フィオも負けじとカウンターの前で悩みながら、ニコニコと笑って注文する。彼女の指先が、ショーケースのガラスを優しくなぞる。「わたしは、チョコレートパフェにしようかな! 甘いのって元気が出るよねー♪」 一方でジェレミーは、ショーケースをじっと見つめて何を頼めばいいのか困っている様子だ。彼の眉は少し下がり、迷いの表情が浮かんでいた。それを見たレティアが明るい声で提案した。「ジェレミーはこれにしたら? このケーキ、すっごく美味しそうだよぅ!」 ジェレミーは微笑みながら頷いた。彼の顔には、レティアの提案への信頼がにじんでいる。「では、それにします。レティア様のおすすめなら間違いありません。」♢デザートの歓びと新たな希望 それぞれのデザートがテーブルに運ばれてきた。皿の上に置かれたデザートは、まるで宝石のように輝いている。レティアは目を輝かせながらイチゴのタルトにナイフを入れ、クリームとイチゴを一緒に口に運ぶ。その一口で、彼女の顔は至福の表情に変わった。「ん~っ! 甘酸っぱくて美味しい~♪ ゼリーもプルプルしてるよぅ~!」 フィオはチョコレートパフェをスプーンですくいながら嬉しそうに笑う。スプーンの先からは、冷たいチョコアイスの香りが漂ってくる。「すごーい濃厚! チョコとクリームが絶妙だねぇ♪ あ、クッキーもサクサクしてて美味しい!」 ジェレミーは勧められたケーキをフォークで丁寧にすくい、一口食べた瞬間、驚いたように目を見開いた。その柔らかな舌触りと上品な甘さに、彼の表情は感動に包まれていく。彼の口元からは、小さな感嘆の声が漏れた。「おお……これは柔らかく、甘さがちょうど良いですね。久しぶりに、こんなに美味しいものをいただきました。」 彼はしばらくの間、ケーキの味わいに浸りながら、感慨深げに続けた。彼の瞳には、遠い過去の記憶が映し出されているかのようだった。「失われた身体の自由が、こうして少しずつ戻ってきていることを実感できます。次回もこれを……また頼みたいと思っています。体も自由に
last updateLast Updated : 2025-08-05
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55話 体型への懸念と新たな討伐計画

 その説明を聞いたレティアは目を丸くし、ついに実感が湧いたような表情を浮かべた。彼女の瞳は驚きで大きく見開かれている。「え? なにそれ……わたし、お金持ちじゃーん。」 彼女は嬉しそうに笑いながらさらに続けた。その笑顔は、純粋な喜びに満ちている。「その数、わかんないけど……いっぱいだよね、すごくいっぱいな気がするぅ!」 フィオはその言葉に合わせるように微笑みながら、分かりやすい例を挙げた。彼女の声は優しく、レティアが理解しやすいように工夫されていた。「あ、レティーちゃんには、その例え分かりやすいかもね。お菓子何個分換算! 大体、銀貨1枚くらいだもんね。それに紅茶付きだし……雰囲気も豪華で貸切状態って最高だよね。」 レティアはその説明にさらに興奮しながら笑い、心配していた気持ちがすっかり晴れている様子だった。甘いデザートと楽しい仲間たちが、彼女の心をさらに軽やかにしていた。彼女の周りには、幸せな空気が漂っている。 ♢体型への懸念と新たな討伐計画 レティアが楽しそうな表情を浮かべながら呟いた。彼女の視線は、目の前のデザートから離れない。「わたし、毎日通っちゃうかも……」 その言葉を聞いたフィオは残念そうな顔をして、レティアの体をちらりと見つめながら言葉を返した。彼女の目には、少しの心配がにじんでいる。「それ、太っちゃうよ……可愛い体型がぁ……。」 レティアは驚いた顔をしてフィオを見つめる。彼女の眉は上がり、純粋な驚きが表情に現れていた。「え? そうなのぉ?」 フィオはキッパリと断言する。その声には、一切の迷いがない。「そりゃ……甘いものを食べて動かなきゃ太るね。」 ジェレミーも微笑みながら優しく言葉を添えた。彼の表情は穏やかで、フィオの意見を裏付けているようだった。「はい。太りますね……。ですから私も、訓練後のご褒美として食べると言ったのですよ。」 その言葉を聞いたレティアは、突然思いついたように笑顔で声を上げた。彼女の瞳は、新しいアイデアに輝いている。「運
last updateLast Updated : 2025-08-06
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56話 リーダーの困惑と森への出発

 翌日、彼の同行によって、レティアを中心とした討伐計画は、ギルド全体の合意を得て進む方向へと向かっていた。ジェレミーの献身的な姿勢と能力の回復が、ギルド内での信頼をさらに高めたことは言うまでもなかった。 一方、レティア自身はジェレミーの情熱を「一緒に楽しむ仲間」として受け止め、無邪気な笑顔を浮かべていた。彼女の心の中には、ただ純粋な冒険への期待だけがあった。♢リーダーの困惑と森への出発 翌朝、ルーシーは報告を受け、眉をひそめながら困惑した様子で声を上げた。彼女の顔には、寝不足と不満が入り混じっていた。「……え? なに? わたしが休んでる間に……もお、まあ……べつに良いけどさ、リーダー……わたしよ?」 その問いかけに対して、レティアはニコニコと笑いながら軽い調子で答えた。その笑顔は、何の悪気も感じさせない。「だってだってぇ……お菓子美味しいんだもんっ♪」 まさかの返答に、ルーシーは力を抜けたようにため息をつき、なんとか気持ちを切り替えるように呟いた。彼女の肩が、わずかに落ちる。「あ……あぁ……うん。そうだね。そこなんだね。はぁ……。じゃあ……森に行って魔物を討伐して、ジェレミーさんの意見も聞いてみようかな。それと、お菓子……わたしも食べたかったなぁ……。」 その言葉にレティアは嬉しそうに目を輝かせたが、ルーシーの視線には鋭い真剣さが宿っていた。彼女の瞳は、これからの任務を見据えている。 のびのびとなっていた森に、強い魔物が増えてきているという件。毎回、レティアが問題を起こし、報告も情報収集も出来ていなかった。ギルドの懸念が、ルーシーの表情に表れていた。 ジェレミーと合流し、いよいよ森へ向けて出発する一行。だがその空気は、魔物討伐の緊張感よりもどこか緩やかで賑やかなものだった。
last updateLast Updated : 2025-08-07
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57話 ノクスとシャドウパピーズ、影からの出現

 その間もレティアはニコニコと笑顔を浮かべ、まるで自分の力をひけらかすこともなく当たり前のように話していた。だが、その使役獣たちがすでに討伐を進めているという状況に、フィオは少し唖然とした様子でため息を漏らした。「もう……ほんとレティーちゃんって……いろんな意味で手に負えないわね♪」「さすが、全職業の適性をもっているレティア様らしいですね。」 嬉しそうに呟くジェレミー。彼の声には、レティアへの尊敬がにじみ出ていた。♢ノクスとシャドウパピーズ、影からの出現「そっかぁ。ジェレミーに紹介してないよね。ノクス、シャドウパピーズきてー。」 レティアが親しげな声で語りかけたその瞬間、彼女の影が揺れ動き始めた。影が膨らみ、そこから次々と飛び出してくる巨大な狼型の魔物と狼の最強種の群れ。その異様な光景に周囲の空気が一変した。森の鳥たちのさえずりが止み、静寂が訪れる。 最初に姿を現したのは、漆黒の毛並みに紫の模様を纏ったノクス。その巨大な体は地面に影を落とし、一帯に圧倒的な威圧感をもたらした。その毛並みは夜闇に溶け込むかのように深く、紫の模様が妖しく輝いている。銀色に輝く瞳が一行を鋭く射抜き、どんな隠れた敵も見逃さないという冷酷な輝きを宿していた。 剣のように鋭い牙が、わずかに覗き、その口元から漏れる低い唸り声は森全体に響き渡る。足元からは瘴気が揺らめきながら漂い、その触れた枝葉は瞬く間に枯れ果て、まるで生命そのものを奪われたかのようだった。枯れた葉が、カサカサと音を立てて地面に落ちる。 続いて現れたのは――ノクスが従えるシャドウパピーズの群れ。狼種の中でも最強とされるその存在は、ただ佇むだけで周囲に圧倒的な恐怖を植え付ける。彼らの存在が、森の空気を重くする。 金色の瞳が暗闇の中で鋭い光を放ち、獲物を捉える目つきには、容赦なき狩人の執念が宿る。漆黒の毛並みに包まれたその巨大な体は、大型犬すらはるかに凌駕し、一群となって動くたびに周囲の空気を震わせた。地面が、彼らの足音で微かに揺れる。 牙と爪の鋭さは、見る者に本能的な恐怖を刻み込む。唸り声
last updateLast Updated : 2025-08-08
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58話 ノクスの甘えと討伐競争の提案

 フィオが恐る恐る呟く。その視線はノクスの銀色に輝く瞳と鋭利な牙に向けられていた。彼女の背筋には冷たい汗が流れている。 一方のジェレミーも微笑みを浮かべる余裕などなく、強張った表情で呟いた。彼の声は震え、その驚きを隠しきれない。「信じられません……このような存在が懐いているとは……。」 ルーシーは怯えるフィオとジェレミーに目をやり、軽く肩をすくめながら苦笑いを浮かべた。「慣れればかわいいと思えるかもよ。ほら、レティーはあんなに余裕で接してるでしょ? まあ……わたしにはムリだけどね。あはは……。」 その軽妙な言葉が少し場の空気を和らげるように響いたが、ノクスとシャドウパピーズの圧倒的な存在感は、まだフィオとジェレミーの背筋を硬直させたままだった。だが、その緊張の中でもレティアは天真爛漫な笑顔を浮かべ、ノクスの巨大な頭を何のためらいもなく撫でていた。 怯えるフィオとジェレミーを横目に、ルーシーは再び苦笑いしながら呟いた。「ほんと、レティーって……すごい子よね。」♢受け入れの兆しと獲物への不満 こうして少しずつ場が落ち着き始める中、レティアの柔らかい態度が仲間たちの緊張を解きほぐしていくように見えた。森の木々の間を吹き抜ける風が、彼らの頬を優しく撫でる。 ジェレミーはノクスとシャドウパピーズの圧倒的な威圧感に圧倒されながらも、なんとか気持ちを奮い立たせるように自分自身に言い聞かせるような声で呟いた。彼の声はまだかすかに震えているが、その中には前向きな姿勢が感じられる。「ま、まあ……仲間ということであれば……心強いですかね。」 その言葉には怯えが滲んでいたものの、彼自身の中で必死にポジティブな面を探そうとしている様子が感じられる。彼の表情には、葛藤と、そしてわずかな希望が浮かんでいた。 続けて、フィオもジェレミーの言葉に共感するかのように頷きながら震える声で答
last updateLast Updated : 2025-08-09
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59話 レティアのつまみ食い

 フィオもその言葉に続けて、レティアの提案に乗るように明るく答えた。「うん。それでいいよ。久しぶりの魔法を頑張っちゃおーっと! フルーツタルトのためね♪」 その無邪気な言葉に、フィオがだんだんとレティアに似てきている様子が伺えた。 ジェレミーは控えめに言葉を紡ぎながらも、目にはすでにやる気が燃え上がっているのが見えた。「それは助かりますね。復帰後の第一戦目ですし……ご迷惑をお掛けするかもしれませんが、よろしくお願いします。」♢討伐開始とルーシー、フィオの目標「さっ。始めるよぅ〜♪」 その声と同時にレティアの姿がスッと消えたかと思うと、『ドサッ!……ドサッ!』という重量のあるものが地面に倒れる音が森全体に響き渡る。音の正体は討伐された魔物だった。 一方、その勢いに触発されたルーシーも剣を構えながら、二人に声をかけた。「……れ、レティーに負けてられないわね。行くわよ!」 彼女の顔には闘志が宿り、その言葉には仲間たちを奮い立たせようとする力が感じられた。 そんなルーシーの姿を見て、フィオは少し微笑みながら問いかけた。「ルーシーは、何か食べたいものあるの?」 ルーシーはふと考え込み、少し照れたような笑顔を浮かべて答えた。「ぱ、パフェとか食べてみたいかなぁ……ケーキも食べてみたいし……まっ、無理しない程度に頑張ろ。」 彼女もまた、完全にレティアのペースに乗せられている様子だった。♢レティアの進化する討伐スタイル その頃、レティアは体を動かすために虹色の能力でラクに魔物を倒すのではなく、自分で虹色の能力を活かして剣を作り出して戦いに挑んでいた。「るんっ♪ るーんっ♪ みーつけたぁ♪ えいっ♪ とぉーうっ!」 彼女の軽快な声が響く中、手元に輝く虹色の剣が魔物を次々と切り裂いていく。剣が振られるたびに空中に鮮やかな光
last updateLast Updated : 2025-08-10
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