もし彼が怠けて先に巡回へ行かせたりしなければ、あの人たちは死なずに済んだかもしれない。もし自分のせいでなければ、結果は違っていたかもしれない――そんな思いが、彼をほぼ六年間、繰り返し苛み続けてきた。気が狂うほど自分を責めたくはなかった。だから彼は、その感情を他人へと向けた。自分勝手だと分かっていながら、文翔にこの痛みを分け合ってほしかった。もう、ひとりでは耐えられなかったからだ。それが間違っていることは分かっていた。それでも、彼はそうした。だが文翔は、憎しみと葛藤の狭間で、何度も何度も紗夜に情を残した。彼にはそれが理解できなかった。なぜ彼女に心を許すのか、どうしても分からなかった。紗夜のようにひ弱で、整った容姿以外に、文翔を惹きつけるものがあるのか――そう思っていた。あのときまでは。同僚を守るため、紗夜が迷いなくサソリ酒を二杯飲み干した、あの時。彼はその胆力に、はじめて衝撃を受けた。彼女の違う一面を見た。やがて惹かれていった。柔らかな外見の奥に、折れない芯があること。彼女の本質が、ずっと善良であること。それは損をする性質でもあったが、だからこそ彼を惹きつけた。その瞬間、彼はようやく悟った――文翔が、なぜ彼女に心を奪われたのかを。湖のように澄みきって、塵ひとつ染まらない人に、誰が心を動かされずにいられるだろう。とりわけ、闇の泥沼に深く沈む者ほど、光を渇望するものだ。ただ惜しむらくは、気づくのが遅すぎたこと。想いを告げようとした時には、すでに一歩遅れていた。一歩遅れれば、その先はすべて遅れてしまう。だから今、彼にできるのは、ただ彼女の今後の安寧を祈ることだけだった。千歳は深く息を吸い、手を上げて頬に触れ、湿り気に気づいて少し驚き、そして自嘲した。「......なんでだよ」乱暴に涙の跡を拭い、長沢家へ視線を向ける。文翔が自ら罰を請い、受け入れたあの決断と覚悟を思い出し、彼は足を踏み出して走り戻った。家に足を踏み入れた瞬間、目に飛び込んできた一面の血色に、千歳は思わず口を覆った。長鞭が何度も身体を打つ音が家に響き、肉は裂け、血が飛び散り、彼の上衣はすっかり血に染まっていた。文翔は歯を食いしばり、呻き声ひとつ上げない。背筋を伸ばし
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