「あの、もう寝たいんだけど」紗夜は慌てて顔を布団に埋めた。これ以上されたら、腰が本当に折れちゃうじゃない。文翔は口元をわずかに緩め、彼女を腕の中に引き寄せた。「冗談だよ。おやすみ」紗夜は小さくうなずき、彼の胸元に顔を埋めて、静かに目を閉じた。今までにないほど、安心できる眠りだった。......朝日がレースのカーテン越しにベッドへ差し込み、紗夜はようやく気だるそうに伸びをした。手を伸ばすと、ちょうど誰かの引き締まった腹筋に触れる。彼女の瞳にきらりと光が走り、ひと撫ですると、悪戯っぽくゆっくり下へ。次の瞬間、布団がわずかに動き、背の高い影にすっぽり覆われた。そのまま押し倒され、下から逃げ場を失う。文翔の底知れない視線と目が合い、紗夜はごくりと唾を飲んだ。「......いつ起きたの?」「君より少し前かな」含みのある言い方だった。つまり、もう起きていたくせに寝たふりをして、服までめくり上げて、わざと誘っていたということ。紗夜はむっとして睨んだ。「ずるい」文翔はただ笑い、彼女の唇に口づける。どこか開き直ったような表情で言った。「もう知らない。火をつけた人が消すんだ。朝は朝の運動が必要だろ」文翔に振り回されて、気づけばもう9時半だった。「この、バカ!」首元に点々と残る噛み跡を見て、紗夜は腹立たしそうに彼を蹴った。けれど足首をつかまれ、指先で丁寧になぞられる。まだ名残惜しそうな様子だった。それでも彼は、さーちゃんに少し休む時間を与えた。疲れさせすぎたら、夜が続かなくなる。文翔はシャツのボタンを留めながら、彼女の髪をくしゃりと撫でる。声は穏やかだった。「朝ごはん、何がいい?作るけど」「噛んでいい?」紗夜は不満げに小さく鼻を鳴らした。それを聞いて、彼は眉を軽く上げる。「どこを?」紗夜は一瞬固まり、意味を理解した途端、顔が一気に赤くなった。彼を突き飛ばす。「違う、そういう意味じゃない!」文翔は、さーちゃんが一番照れやすいことをよく分かっている。それでも、ついからかいたくなり、彼女の前に顔を寄せ、吐息混じりに囁いた。「欲しいなら噛んでもいいが......」「文翔!」紗夜の顔は驚くほど熱くなっていた。彼はさらに笑
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