「キャッ! ま、また何かあったのですか!?」先程のマンドレイクの騒ぎでリーシャは大分臆病になっている。けれどそれは無理もない。何しろ回帰前の私も『エデル』へ着くまでの旅の道中は怯えてばかりだったのだから。「一体今度は何事なのでしょう……? またしてもマンドレイクが現れたのでしょうか……?」トマスは馬車の窓から外を覗き込んでいる。「私、馬車から降りて様子を見てくるわ。2人はここにいて」リーシャとトマスに声をかけると、2人は青くなって私を引き留めてきた。「何を仰っているのですか!? 外へ出たら危ないですよっ!」「ええ、リーシャさんの言う通りです。ここは『エデル』の兵士たちに任せて、安全が確保されてから降りた方が賢明ですよ?」トマスは度重なる危険に見舞われ、大分度胸が据わってきたかのように感じる。「いいえ、大丈夫よ。ほら……その証拠に何者かと戦っている気配を感じないでしょう?」私は耳に手を当て、外の音を聞いてみた。「確かに……静かですね…」「マンドレイクでは無かったのでしょうか?」リーシャとトマスが不思議そうに私を見た。「ええ。違うわ、恐らく……」その時――「クラウディア様、宜しいでしょうか?」突然馬車の外からユダの声が聞こえ、扉が開かれた。「どうしたの? ユダ」「ええ。それが……『シセル』の村人だと思うのですが、いきなり我々の前にフラフラと現れました。そして突然刃物を振りかざして襲い掛かってきたのです。何やら我々をモンスターか何かだと勘違いしているようなのですが……診ていただけますか?」ユダの目は真剣だった。すると猛反対したのはリーシャだった。「ユダさん! 本気で言ってるのですか? クラウディア様は王女様なのですよ? それなのに、そんな危険な真似をさせるおつもりですか!? 大体クラウディア様はお医者さまではないのですよ!」「だが、クラウディア様は自らこの村へ来ることを望まれた。我々が避けて通ろうとしたにも関わらず……。それはこの村を救う為ですよね? そしてクラウディア様はその方法をご存じでいらっしゃる。……違いますか?」ユダは私に同意を求めてきた。「ええ、そうよ。だからどうしても『シセル』に来たかったの」「クラウディア様……本気ですか?」リーシャが震えながら尋ねる。「ごめんなさい、リーシャ。貴女が心配してくれ
Last Updated : 2025-09-18 Read more