「え!? 今のは一体何でしょう!?」リーシャが、目を見開く。「ええ、そうね……。様子が気になるわ。見に行って来ようかしら」扉に向かおうとすると、背後からリーシャが引き止めてきた。「駄目です! クラウディア様!」「どうしたの?」振り向くと、リーシャが首をブルブルと振った。「クラウディア様。外は危険です。きっと何かあったに決まっています。ど、どうしても気になるというのであれば……わ、私が代わりに様子を……」ガタガタ震えながらリーシャが私を見る。そこで私はクスリと笑い、リーシャの頭を撫でた。「大丈夫よ。リーシャ、安心して。この『アムル』の村には頼もしい自警団がいるのだから彼等に任せましょう?」「え、ええ。そうですよね? 自警団の人達がいるのですからね?」本来であれば『エデル』の兵士たちが、何かあれば私達を守る為にこの家に駆けつけて来るのだろうが……そんなものは当てにしていない。と言うか、逆に騒ぎの原因は恐らく……。 その時。ドンドンッ!『姫さん、俺だ。スヴェンだ、開けてもいいか!?』外から激しく扉を叩く音と、スヴェンの切羽詰まった声が聞こえてきた。「ええ、どうぞ。と言うか、ここは貴方の家なのだから自由に入って来ていいのよ」声をかけると、すぐにガチャッと扉が開かれてスヴェンが家の中に入って来た。スヴェンの髪は乱れ、息も荒れていた。「どうしたの? スヴェン」「姫さん……実は村の見張りも兼ねて、姫さんの馬車も俺たちが見張っていたんだよ。そしたら不審人物達が馬車に現れたんだ」「不審人物……?」「ああ、そうだ。おい! お前たち、そいつらを連れて来い!」スヴェンが戸口を振り返った。すると、3人の村の若者達が家の中に入ってきた。彼等はロープで両手を縛られた2人の『エデル』の兵士たちを連れている。その内の1人は目つきの悪い、いつもの兵士だ。その兵士は私と目が合うと、じろりと睨みつけてきた。「あら、彼等は『エデル』の兵士たちじゃない? 一体どうしたの?」私はわざとのんびりした口調でスヴェンに尋ねた。「どうしたもこうしたもない、聞いてくれ。姫さん」スヴェンの言葉の後に、別の若者が続けた。「実は俺たち教会で見張りをしていたんです。そしたら、こいつらがコソコソと教会の裏口から出ていく姿を見つけて、後を付けたんです」更に別の若者
Last Updated : 2025-07-15 Read more