だけどいつからだろうか。聖良に少しずつ笑顔が戻り始めてきたのは。……聖良は最近、俺といても前よりも笑うようになった。時には一緒に笑うことも増えた。 きっとそれが出来るようになったのは、初めてしたあの遊園地デートの時からだったと思う。あのデート以来、聖良は前よりも笑ってくれている気がした。明るくなった気もするし。俺の思い過ごしかもしれないけど、なんとなくそう思った。結婚してもお互いの愛は偽りでしかない。本物の愛なんて、俺たちには存在しない。 そう思ってこの結婚生活を過ごしてきた。俺たちには今、その生活がちょっとずつ変わり始めていた。 少しずつだけど、笑顔が増えてきて、会話も増えてきた。距離を縮めたいと思っていたあの時よりも、今は一番聖良との距離が近い気がする。 聖良と結婚して良かった。聖良が妻で良かったと、俺は今本気でそう思っている。俺はあの時よりもずっと、聖良のことを愛している。そしてこれからだって、ずっと聖良のことを愛していくんだ。その日の夜、俺は社長と長谷川社長と共に会食をしていた。「そうそう。棗さん、最近ご結婚されたんだそうですね?」「はい。もうすぐ結婚して、半年になります」「そうですか。それはおめでとうございます」 「ありがとうございます」そうか、結婚してもうすぐ半年になるのか……。早いな。「末永く幸せになることを、心から願っているよ」「……ありがとうございます」俺が結婚したという事実は、世間のあらゆるところに広がっている。だからといって、いい気分ではない。今はマスコミに取り上げられて、一般人の妻である聖良の名前や写真なんて、簡単にあげられる時代になっている。そんなことをされるのだって、俺にとってはいい気分ではない。 それですら、聖良のことを傷付けていると感じる時がある訳で。聖良を表に出すのは、正直言うと俺が困ってしまう。聖良がどんな気持ちかを考えると、やるせない気持ちにもなる。俺は鷺ノ宮聖良の夫として、聖良が平和で幸せに暮らせることだけを願いたいだけなのに。「ところで、棗さん」「はい」「もし子供が出来た時に一報をくれたら、出産祝いでも送るよ」 子供……? 出産祝い……。その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になりかけた。「……はい。ありがとうございます」「では、これで失礼致します」 「長谷川社
Last Updated : 2026-01-14 Read more