Semua Bab ピロトークを聞きながら: Bab 51 - Bab 52

52 Bab

ピロトーク:えぐられたキズアト

 最近、僕の担当が代わった。副編集長になって、忙しい郁也さんから、鳴海さんにバトンタッチ。 交代する関係で三人で打ち合わせをしたり、何度か顔を合わせている内に、鳴海さんと打ち解けることができた。 今日は新作のプロットを見てもらうため、自宅に来てもらうことになっている。  ふたりきりの打ち合わせは、はじめてなので、ちょっとだけ緊張するのは仕方ない。 落ち着きなく、リビングを行ったり来たりしていると――。 ピンポーン♪ 時間通りに鳴海さんが来てくれたので、どうぞと家の中に誘った。「こんにちはー。今日もキレイですね、小田桐センセ」 「はい、これどうぞ!」と言いながら、文明堂のなめらかプリンを手渡してくれた。「いつもありがとうございます。今、お茶を淹れますね」「いやいや、小田桐センセの手を煩わせたくないので、お茶まで持参しちゃいました」 鳴海さんはカバンから、マイ水筒を見せる。「知人が喫茶店をやってまして、スリランカの美味しい紅茶の葉を、わざわざわけてくれたんですよ。飲んでみませんか?」「なんか気を遣わせてしまってすみません。戴きますね」 テーブルにティカップを用意したら、そこに湯気の立つ紅茶を、コポコポと注いでくれる。 キレイな琥珀色に引き寄せられて、カップに顔を寄せながら紅茶の香りを堪能した。「……これ、不思議な香りですね。いろんなものが混ざってる感じ」「さっすが! 実はミックスティなんですよ。レモンバームにローズの花びら、ブルーベリーが入ってるんです」「なるほど。いろいろ混ざってるのに、イヤな感じがしないのは、すごいなぁ」 一口飲んでみると、どことなく芳香剤を飲んだような、変わった味。むー……香りは好きだけど、ちょっと苦手な味かも。「鳴海さんは、飲まないんですか?」「いえ。これは小田桐センセに飲んでもらおうと用意したものですので、お気遣いなく」 わざわざ用意して、持ってきてくれたものだし、ガマンして飲むしかないか。 流し込むように口をつけてから仕事の話をしようと、プロットを書いた紙をそっとテーブルに置く。「今回の新作は、職場恋愛のものを書いてみようかなって、こんなのにしました」「なるほどー。引越しした先が、なんと上司の家の隣だったなんて、驚きの展開ですね」「ええ。しかも上司には恋人がいるのに、主人公は無常にも好き
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-01
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ピロトーク:えぐられたキズアト②

「なにやってんだ、テメェ……」 聞いたことのない唸るような声が、僕の耳に聞こえる。身をよじらせて床を這いつくばると、傍で郁也さんが鳴海さんの胸倉を掴んで睨んでいた。 怒りで釣りあがった瞳は白目が充血している上に、顔も真っ赤になっている。こんなに怒った郁也さん、今までに見たことがない。 その様子に、呆然とふたりを見るしかできなかったけれど、その後容赦なく何度も拳を振り下ろす郁也さんに、なんとか体当たりをした。「もう止めて! 僕は大丈夫だから、それ以上そんな人に、郁也さんが手を下すことなんてない!」「涼一……?」 郁也さんに体当たりをした勢いで、情けない格好のまま床に転がる僕を見て、慌てて駆け寄ってきた。「大丈夫か?」 そして拘束されてた、両腕を自由にしてくれる。「ありがと……ごめんね。油断して変な薬、飲まされちゃった」「変な薬?」 安心感を与えるように僕の体をぎゅっと抱きしめてから、視線を鳴海さんに向ける。郁也さんに殴られた鳴海さんは顔中、痣だらけになっていた。「エッチになる薬ですよ。だいたい、一時間くらい効く物です」「お前、よくも涼一に――」「ダメ! この人の目的は郁也さんなんだよ。苦しむ顔が見たいって言ってたんだ」 薬のせいで体が変な感じだけど、頭が妙にスッキリしていた。しかも郁也さんに支えられてるおかげで、正気を保つことができている。「鳴海さんもう、僕らの前に現れないでください。アナタの計画は頓挫したんです。郁也さんの苦しむ顔は、絶対に見られませんからね」「確かに……完璧だった計画は、破綻してしまった」 ガックリと肩を落として、ヨロヨロと立ち上がる。「なにが完璧だ。お前が職場に忘れ物をしていたから、スマホにコールしたのに出なかったからな。涼一に電話しても出ないもんだからおかしいと思って、慌てて駆けつけたんだぞ」「……はじめて、見たときから――」「え?」「いえ。すみませんでした、失礼します」 僕たちに頭を下げて、逃げるように出て行った鳴海さん。告げられた言葉の意味がわからないであろう郁也さんは首を傾げながら、僕に視線を注いだ。「鳴海さん、きっと……」「どうした?」「ううん、なんでもない。それよりも僕、体がかなりマズい状態なんだ」 困惑した表情をありありと浮かべて、苦笑いで郁也さんに現状を伝えたものの、どうした
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-02
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