Semua Bab ピロトークを聞きながら: Bab 61 - Bab 70

89 Bab

リクエストがきちゃった(汗)

「……郁也さん、またお願いがあるんだけど」「どうした? 何でも言ってくれ」 嬉しそうに聞いてくる顔を見て、複雑な心境になる。「えっとね、絵を描いてほしいって、リクエストがきちゃったんだ」「ほー、何のリクエストがきたんだ?」 “o(* ̄o ̄)o”ウキウキ♪ ――ああ、もぅ、どうにでもなれ!!「リクエストはヒツジです! 描いたことある?」「あるぞ。新年パーティのお題に出たから。その絵を披露した時は、会場が騒然となった」 違う意味で騒然となったのだろうと、簡単に予測できた。 アセアセ( ̄_ ̄ i)タラー「じゃあ、今すぐに描けるね。お願いします!」「おおぅ、任せとけ!」 手渡した紙に、いそいそと描いたんだけど。何故だか、2枚も使って描いていた。 どうしてだ?  (・_・o)ン? (o・_・)ン? (o・_・o)ン? いつも通り、ものの数分で描き終えて、ニコニコしながら見せてくれたのだが。「どうだ、驚いたろ?」「…………」 何て言っていいのだろう。 コレは一体!? ( ̄□ ̄;)!!「……郁也さん、コレ、だれ?」 僕はヒツジを描いてくれって言ったのに、『しつじ』を描いている。しかも誰なんだ、このファンキーな人は。「これは、尚史naotoが書いた小説に出てくる、執事のキサラギってヤツ」 どうして、その人を描いたというのだろう? 実物を見たら分かるけど、やっぱ悲しくなるな。「郁也さん、ヒツジは描いたのかい?」「もちろんっ! ほらよ」『しつじ』の後ろに隠れてた紙を、堂々と手渡してきた。 ド━━━(゚ロ゚;)━━ン!! こっ、これは――「どうだ、参ったか」「……うん、さすがだね郁也さん。期待を裏切らないトコがホント、尊敬しちゃう」 わざわざモフモフと書いてたり、鳴き声まで入れてたり、彼なりにアレンジして頑張って描いたのだ。褒めてあげなければ……「僕、まったく絵心ないから、さらさらっと描けるのが羨ましいな」「じゃあさ、今から描き方、教えてやるぞ」 (; ̄Д ̄)なんと?「いっ、今はいいや。これから小説の執筆したいし……また今度ね」 どうしよう、このままだと桃瀬画伯のお絵描き講座に、入門しなきゃいけなくなる。 困ったな――おしまい※ちなみに桃瀬画伯の絵は、尚史が描いているのではなく、別の人間が描いていますw
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-11
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桃瀬画伯のお絵描き講座だよ

*** 小説の執筆で、思いっきり煮詰まってしまった僕。ここは気分転換したほうがいいと、すぐさま判断して、郁也さんに声をかけた。「郁也さん、今、暇かな?」「ああ、どうした?」「あのね、この間言ってた、お絵描き講座やってほしいなって」 いそいそしながら、紙とペンを手渡す。「実は僕、もう描いちゃったんだけど」「何を描いたんだ?」「……周防さん。身近な人物なら、特徴捉えやすいかなって思ったんだ」「確かに身近な人間なら、特徴を捉えやすいよな。周防がモデルか、う~ん……」 しばし白紙を見つめ、意を決してから、さらさらっと描き始めたのだけれど。「いっ、郁也さん、ちょっと質問っ! どうして目から描いてるの?」 普通は顔の輪郭を描いてから、目などのパーツを描くと思うのに。「だってよ、その人が持つ、一番の特徴だから。大事な部分だから、最初に描いてるんだ」 うーん、言ってることは間違っていないと思うんだけど。そこから描くと、輪郭のバランスとるのが、すっごく大変じゃないのかな。 僕の心配を他所に目を描き終えると、慣れた手つきで輪郭を描き、鼻やその他の顔のパーツを描き始める。 もう誰が何といおうと、郁也さんワールドの絵が、どんどん展開されていき――「よしっ! いいのが出来た。周防に見せてやりたいぞ」 なぁんて自信満々に言い放つ郁也さんに、僕は微笑んであげる。(実際は苦笑いかも)「あは、ははは……周防さんの特徴、ちゃんと描かれているね。すごいや」 郁也さんが周防さんを見たまま描いたらしい絵なのだけれど、もう何て言っていいのか、分からないΣ(|||▽||| ) いつもこの絵は目から描かれてるから、絶妙なバランスが保たれているんだなぁ。 なぁんてことを絵をじっくり見て、考え込んでしまった。「それよりも、涼一のを見せろよ」「あ、うん。これだよ」「何だよ、この出来は……」「えっと、サラサラって描いてみました」「しかもこれ、逆だろうが」「逆って何が?」 ムスッとした郁也さんは、僕が描いた周防さんに、ばしばしっと指を差す。「何でこんなに、周防がたくましいんだ。どうして太郎が女々しく描かれているのか、理解できないぞ」 その言葉に、ワケが分からず首を傾げるしかない。「だって周防さん、年上だしさ。それに、しっかりとリードしてるじゃないか。僕の中
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-12
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オカメちゃん

「たらいまー!」 周防さんの家から、夜遅くに帰ってきた郁也さん。予想通り呑んでいるらしく、ご機嫌な様子だ(苦笑)「お帰りなさい、そんな状態でよく家まで帰って来られたね。足元が、ふらふらしてるじゃないか」 はーっと呆れながら言ってやると、持っていたカバンから、スケッチブックを取り出してぱらぱらめくり、顔色をパッと輝かせて、僕の手に強引に押し付けた。 ――また、いつものヤツを見なきゃならないのか…… 渋い顔をしながらソレを見てみると、どうやらオカメインコだというのが分かる。きちんと特徴を捉えているのが、郁也さんの絵なんだ。 しかし――「ねぇ郁也さん。どうしてオカメインコが、ワカメを食べているの?」 僕の質問にキッチンで水を飲みながら、何故か苦笑いをした。変なことを言ったつもりは、まったくないんだけどな。「どうして、周防と同じことを聞くんだ。オカメだからワカメだろ」 ( ̄▼ ̄)ニヤッ! 何故かこんな顔をした郁也さんを、どんな顔をして、迎え撃てばいいのか…… いくら言葉が似てるからって、ワカメを食べさせるとか、意味が分からないよ。ここはこの絵から回避しないと、変な地雷を無意識に踏んで、キズつけちゃうかもしれない。話題変換しないとな――「周防さんの家に、オカメインコがいたんだ?」「ああ。太郎が旅行に行ってる間、世話を押しつけられたらしい。よく喋る鳥でさ、タケシスキスキッて煩く騒いでたぞ」「ぷぷっ。それは聞いてるだけでも、周防さんがムダにテレまくってる姿が、想像ついちゃうかも」 真っ赤な顔して、オカメインコと向かい合ってる周防さん。なかなか可愛い絵面だな。「それだけじゃなくてな、随分と自己愛が強い鳥なのか、時折アイムスキという言葉を喋っていた。変わってるよなぁ」「アイムスキ?」 アイムスキ アイムスキ 歩、好き……あ、だからか! オカメインコとワカメをかける郁也さんだからこそ、気がつかないのかもしれない!「郁也さんそれって、歩好きっていう言葉だったんじゃないの?  それなら辻褄が合うよ」 くすくす笑いながら指摘してやると、(; ̄Д ̄)なんじゃと? なーんていう表情を浮かべた。「俺が突っ込んだら、周防は否定しなかったし」「そりゃそうでしょ。恥ずかしがり屋で素直じゃない周防さんだからこそ、誤魔化すことが出来て、ラッキーだと思っただろ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-13
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驚きの事実

 それは突然の出来事だった。 リビングでパソコンとにらめっこしながら、さくさくと執筆活動をしていたときのこと――「画集を出したら、どんな反応がくるかな?」 ソファに座った郁也さんが、信じられないことを口走ったんだ。 うぉぉぉぉぉ!!! 僕の聴き間違いじゃないよね? 画集って言ったよね?  写真集の間違いじゃなく?  胸の中にぐるぐると渦巻く疑問を抱えながら、そっと問いかけた。「いっ、郁也さん、いきなりどうしたの。画集ってなに?」「ん? このスケッチブックに描いたものを画集にしたら、どんな反応がくるだろうって思ったんだ。涼一はどう思う?」 ド━━━(゚ロ゚;)━━ン!! ……聴き間違いじゃなかった。この問いかけに、何て答えたらいいのやら。「えっとですね、どんな反応だろう。想像つかないや、アハハ……」 あさっての方向を見ながら答えた僕の顔を見て、ふーんと面白くなさそうに、気のない返事をした。 頭の中には、小さくなった出川○郎が、『ヤバイよ! ヤバイよ!』 なぁんて叫びながら、何人も走り回ってる状態。「それを画集にするなら、全部に色をつけたら、まぁまぁそれなりに見えるかもよ?」 そんな適当なことを言った自分。 郁也さん本人が写されたであろう写真集ならきっと、たくさんの人がこぞって買うんだろうなって思えるんだけど、この絵に関して、どんなジャッジが下されるのか、容易に想像ついてしまう。「そっか。なるほどな! さっすが涼一、いいことを言う」 ぱっと顔を輝かせ、傍においてあったカバンから色鉛筆を取り出すと、早速塗り始めたではないか。 ――墓穴を掘ってしまったらしいΣ(|||▽||| ) ショックで固まる涼一と、楽しげに色塗りをする郁也。近く画集が掲載される予定、かも――?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-14
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画集のお祝い

 もう夜も更けてきたし、寝ようかなぁと、パソコンの電源を切る前に、メールチェックをした。一件の新着メールをハケ-ン!!(o・ω『+』 何かなぁとクリックしたところに、背後から忍び寄る郁也さんの手が、にゅっと伸びてきたのを目の端で捉える。 「んもぅ、ちょっとだけ待っててよ。すぐに終わらせるから」  パジャマの裾から忍び込んできた右手を、ぎゅっと掴んで引きとめ、画面に視線を移した。 これは―― メールの内容を読んで、はーっとため息をつくしかない。これを言ってしまうと間違いなく喜んで、今から着手しちゃうだろうな。「郁也さん宛てに、メールで絵の依頼が来たよ。どうするの?」「ん~なになに?  桃瀬さんに是非、太郎くんを描いてほしいなと思います♪  あ、周防さんとツーショットの絵も、良いかなぁ\(//∇//)\」 読みながらニヤニヤする横顔を、複雑な心境で眺めた。「太郎くんの似顔絵は以前、描いたモノのがあるから、描かなくていいと思うんだけど、周防さんとのツーショットは、画集の花になりそうだね」 画集の花と言って表現してみたけれど、頭の中には前に郁也さんが描いた、太郎くんの似顔絵と周防さんの似顔絵がぼんやりと浮かび上がり、ふたつを組み合わせてみて、ひょえーってなっていたりする…… 僕が言った言葉に喜ぶかと思ったら、なぜだか神妙な顔をし、顎に手を当てて考え始めた郁也さん。「あれ、どうしたの? 浮かない顔して」「いや、そのな。今までは単体でしか描いてないだろ。ふたつのものを描くのって、初めてだと思って。余白のバランスとかふたりの立ち位置とか、結構高等技術が必要だぞ」 郁也さんが困るのも、無理はない! だってこの人の絵は目から描くから、そのあとの輪郭とかバランスを取るのが、すっごく難しくなっちゃう。 ――だって、ふたり分なんだもの。「無理なら断ろうか? それとも別なものを」「いいや、俺はやる。やってやるさ、見ていてくれ涼一」 僕をぎゅっと抱きしめてから、いつも絵を描くソファに座り、さらさらと描きはじめた。 前回は、オカメインコとワカメを掛けたけど、今度は何を描くんだろうな。 郁也さんの下書きは早いので(1分クオリティ)ひょいと後ろから覗いてみる。 書いてある文字に、ぷっと吹き出しそうになった。難しい依頼に、やっぱりテンパっていたんだろう(
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-15
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芸術の秋

 郁也さんは凝り性な人だ。三木編集長さん曰く、『桃瀬は痒いところに、手が届く男』 なぁんて賞賛されてるくらい、マメなひとなんだけど。その情熱がどこかで追求されちゃうと、時として周りが迷惑することがある。 今日はベッドの明かりをつけてしたいっていうから、渋々OKしたのだけれど、郁也さんが僕のことを見る視線が、いつもの違っていた。 理由は簡単。さっきまで周防さんと太郎くんの絵を、一生懸命に描いていたから。描き足りないというんじゃなく、次の被写体を探してる感じなんだろうか。 ――只今、行為の真っ最中!「ああっ……ん、っ……はぁん……」 なんて甘い声をあげる僕を、上から眺める郁也さん。何故か、両手の親指と人差し指を使って四角を作り、僕の顔に枠をあわせるんだ。「も……アングル確認するの、あぁん……やめてってば……っん!」「止めてと言いつつも、どうして中がいつもより、うねりまくっているんだ? しっかりと感じまくってんじゃねぇか」 心と身体はウラハラ。どうにも調整が出来ません。「ホント、涼一の顔、すっげぇいい感じ。今すぐに見ながら、描いてやりたい気分」「イヤだよ。あぁん……いい加減にして」 僕の顔に浮かぶ、いいのを見ようとしているのか、執拗に感じる部分を擦りまくってきた。「ああぁっ、僕もうガマン出来ないっ! イっちゃうよっ……あぁあぁ、くぅっ――」 イってしまった僕の顔も、しっかりアングル確認してる桃瀬画伯……正直興ざめである。(――んもぅ、ムカついた!)「郁也さん、僕の顔を描くよりも、もっと面白いものがあるよ」「ん? 何だ?」「郁也さんの自画像。個人的に、すっごく見てみたいなぁ」 もうイったあとなので、余裕がありまくり、思い切ったお願いをしてみた。ていうか、郁也さん僕の中に挿れたまま、よく平気でいられるな。「涼一のお願い事なら、何だって聞いてやるよ。喜んで、描いてやろうじゃないか!」 その後余裕綽々の郁也さんに腹が立ち、僕が上になって、ここぞとばかりに責め立てると、呆気なくイってしまったのは、ここだけの話。 ――何だかんだ、結構ガマンしていたようだ(笑) 絵の出来上がりは、画集に掲載する予定です。お楽しみに(・∀・) めでたし めでたし?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-16
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黒猫との遭遇

 執筆最中に、どうしてもプリンが食べたくなった僕は、夕方になるちょっと前ひとり、コンビ二まで歩いて行った。 本当は、文明堂のなめらかプリンが食べたかったけど、お店まで行くのが遠いため、コンビニスイーツで、ガマンすることにしたのだけれど。「むーっ、結構種類があって、悩んじゃうな。いろいろ買ってみて、郁也さんと食べ比べたら、買い込んでもいけるかも」 ぶつぶつひとりごちて、かごの中に全種類のプリンを入れて歩く。ついでにシュークリームも買っちゃえ(´∀`) お会計を済ませてビニール袋片手に、夕暮れに染まろうとしてる町の風景を、ぼんやり眺めていると、上の方から猫の鳴き声が聞こえてきた。「ん? 何故に上から声がするんだろ」 キョロキョロしながら、頭上をよぉく見てみると、目の前の街路樹に黒猫が1匹、こっちを、じーっと見つめているではないか。「どうしたの? そこから降りられないとか?」『に゛……ゃあぁん!』 可愛らしいとはいえない鳴き声で鳴いて、前足をふるふると動かした。 ――もしかして、僕に向かって飛びつこうと狙ってる? 金色の目を光らせて、僕の顔を見つめる黒猫の雰囲気が、正直怖かった ((;゚ェ゚;))  首輪をしているので飼い猫だと分かるんだけど、どうしてこんな高い木の上にいるんだか。 僕を狙っているのなら――「分かったよ。こっちにおいで、受け止めてあげるからさ」 黒猫に向かって手を伸ばすと、『にゃあぁん!』 まるで返事をするように鳴いてから、後ろ足で勢いよく、僕に向かって飛びついてくれた。 しかし勢いがありすぎて、僕の手をすり抜け、着地した場所は、何と頭の上…… 飛びつかれた衝撃たるや、殴られた感じなんですが(汗) ふらふらしながら黒猫に手を伸ばしたら、一瞬早く飛び降りて舗道に着地し、僕を見上げてくれた。『に゛に゛ぁあぁん』 微妙な鳴き声でお礼? を言うと、一目散に目の前から、消えるように走り去って行く。「結局僕は、踏み台で終わってしまった……」 顔を引きつらせながら、帰ろうと歩き出すと――「すっげぇトコに遭遇できた。ありがとな涼一」 聞き覚えのある愛しい人の声に、喜んで振り向くと、何故かスケッチブックを手にした郁也さんが、ニッコリと微笑んでいるではないか!「……えっと。どうしてそこにいるの?」 他にも聞きたいこと
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-17
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黒猫との遭遇(郁也目線)

「黒猫……黒猫、かぁ」 リクエストを貰ってから会社に行く道すがら、黒猫を探すようになった。しかし探した時に限って、見当たらないものなんだ。「いたっ! と思ったら牛柄だったりよぅ。ちゃんとした実物を見てから、描きたいのに」 今日もぶらぶらしつつ、周りを見渡しながら帰宅途中、通りの向こう側に、見覚えのある姿を見つけた。 コンビニから出てきた涼一、手には大きめのビニール袋が、しっかりと握られている。きっと執筆に行き詰まり、甘いものでも買いに出かけたな。 目の前の信号が青になったので、追いかけるべく急いで渡り切り、声をかけようとした矢先に。『どうしたの? そこから降りられないとか?』 何故か木に向かって話しかける。声に釣られて上を見ると、ずっと探し続けていた黒猫がいるじゃないか!『に゛……ゃあぁん!』 黒猫らしい鳴き方で、涼一に向かって何かを訴えた。(黒猫らしい鳴き方については、ツッコミいれないでくれ) 俺は音を立てないよう細心の注意を払い、カバンから愛用している、スケッチブックを取り出す。そして黒猫と愛しい恋人の姿を、急いでスケッチした。『分かったよ。こっちにおいで、受け止めてあげるからさ』 言いながら、両手を黒猫に向かって伸ばす涼一は、マジで天使のようだ。 その優しい姿に、じわりと涙が滲んでしまうレベル――描いている絵がぼやけてしまったぞ。『にゃあぁん!』 一声鳴いたと思ったら、勢いよくジャンプして、涼一の頭の上に着地した。 この貴重な姿も逃さないよう、急いでスケッチ! ((φ(・д・。)ホォホォ 必死に描いてるのに無情にも黒猫は、素早く涼一の頭から降りると、『に゛に゛ぁあぁん』 黒猫らしい鳴き方でお礼を言い、長い尻尾を振りながら、(その尻尾の動きが、バイバイしてるみたいに見えた)通りの向こう側に消えて行った。 描きかけの絵を見ながら、こっそりため息をつくと、同じようにため息をついた涼一。『結局僕は、踏み台で終わってしまった……』 なぁんて言いながら、肩を落して帰ろうとする。俺は迷うことなく、その背中に声をかけてやった。「すっげぇトコに遭遇できた。ありがとな涼一」 その声にすぐさま振り向いて、手元をじっと見てから、微妙な表情を浮かべる。『……えっと。どうしてそこにいるの?』「ちょうど帰るところで、目の前の救出劇を発
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-18
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自画像

 お昼休みの職場のデスクで俺は、自分を映している鏡と対峙していた。自画像って思っていた以上に難しいかも……「う~っ、カッコよく描けてしまった場合、涼一からツッコミが入るかもしれないと思ったら、手が止まってしまうな」 ありのままの自分を映し出し、描けばいいのが分かるのだが。俺の自画像を強請った涼一に伝えたかった。――今日が誕生日であることを。 俺が生まれた日に、愛しいお前が傍にいて笑ってくれている。それだけでもすっげぇ幸せなんだ。「自画像と一緒にさりげなく、好きな物も描いてやれ。ももたろうマスコットは外せないな」 ブツブツ言いながら、スケッチブックにさらさら描いていると、後ろに人の気配を感じる。突き刺すようなじりじりした視線の持ち主は、間違いなく三木編集長であろう。 お茶出しの指令だろうか、せっかくノって描いてるトコなのに。「何か用ですか、編集長?」 振り向かずに訊ねてみると、いやはやスゲェなと声が返ってきた。「相変わらず、奇天烈な絵を描いてるみたいだな。それは自画像なのか?」「奇天烈なんて言葉、久しぶりに聞きましたよ。さすが編集長って感じですね。俺の自画像をそんな風に、評価してくれるなんて」 じと目をして振り向くと、ぼさぼさの頭を掻きながら苦笑いをする。「じゃあこれはどうだ、異様に独創的な自画像。しかもここで描いてるあたり、周りの編集者に、己の誕生日をアピールしてお祝いさせようって魂胆だろ」 何なんだ、その奇抜な表現力。人が一生懸命に描いてるというのに。「違いますよ。これは涼一にアピールするのに、書いてるんです」「あっそ。仲良くやってくれ! しっかしお前、その絵はツッコミどころ満載だな。そこまでアピール性の強いモノは、悪夢を見そうだ」 ひーっと言って早々と去って行く背中に、心の中で舌を出してやった。 俺の好きな物を知ってほしいだけなのによぅ。 気を取り直してペン入れをし、色鉛筆で彩色した。 これを見たら涼一と過ごす時間は、きっと甘いものになるに違いない―― めでたし めでたし、なのか!?
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-19
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郁也さんの誕生日

 仕事から帰るなり押し付けるように手渡された、郁也さん愛用のスケッチブック。 (/||| ̄▽)/ゲッ!!! 正直見たくないとは言えず、渋々中身を見た。自画像が欲しいと強請ったのは僕自身だからね。「うっ!? え~~っと……」 言葉に詰まった理由は、スンゲェ──―Σ(゚∀゚ノ)ノ─―─ッ! 絵のせいもあるけど、書かれている文字。 ――すでに祝ってもらえると考えて、お礼まで書かれているなんて…… 僕は心の中でコッソリと白旗をあげた。 大好きな郁也さんのことは僕なりに調べ上げているというのに、このアピール具合には失笑するしかない。 まずは、どこから突撃すべきか―― キョロ キョロ (。_。 ) ( 。_。)「郁也さん、どうして頭にももたろうが生えてるの?」 一番大きくて、目が奪われたモノから指摘してみた。すると嬉しそうな表情を浮かべ、それを指差す。「これは、俺が好きなマスコットなんだ。だけど男の俺がこんなのつけていたら恥ずかしいし、堂々とカバンにつけられないだろ」「……確かにね。だからって頭につけることなぃ……」「何だって?」「いやいや! 次いってみよう。えっと――」 もう多くを語れないよ(ノД`)シクシク「郁也さん、本当にマヨネーズ好きだよね。カバンの中に、小さいのを忍ばせてるのを知ってるよ」「マジでか! いつの間に」「ええっと、この間買物したときに買ってるのを見たから。帰って来たらニヤニヤしながら、カバンに入れてたじゃないか」 郁也さん専用ウォッチの、僕の目から逃れられないんだぞ。 言いながら、えっへんと胸を張ったら、くっくっくと意味深に笑う。正直ちょっといただけない笑い方に見えるのは、僕の気のせいってことにしておこう。「よく見てるのな。さては俺のストーカーか?」 誕生日プレゼントは何がいいだろうかと僕なりに考えていた。郁也さんが今、必要としてるものは何だろうなぁって。「あとね、この着てるTシャツ。どうして消しゴムが書いてあるのか、あえてツッコミをいれてみる」 「ああ、それなぁ。あえて語ると某所からのツッコミが入りそうだから、語らない方向でヨロシク」「分かったよ。郁也さんお誕生日おめでとうございます!」(*´∀`)o∠☆゚+。*゚PAN!!★゚+。*゚ 僕は隠し持っていたクラッカーを、郁也さんに目掛けて紐を
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-20
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