Semua Bab ピロトークを聞きながら: Bab 71 - Bab 80

89 Bab

寝顔

 実はずっと描きたいものがあった。恋人の涼一の姿――デッサンしようとすると、さっと気配を感じ取り、脱兎のごとく逃げてしまうので、今まで描けたのは両腕だけである(黒猫の絵を参照www) ――描きたい理由のひとつ。 それは親友の周防が恋人から、絵を贈られているのをみてるから。 アイツの家に行って、一緒に飲むたびにわざわざ、診察室からプレゼントされた絵を持ってきて、ほらほらと自慢してくれるのだ。「太郎がさー、俺のためにわざわざアレンジして、それを描いてくれたんだよ。バックにある紅葉と、黄色い車の色のバランス見てみ。実際はもっと、赤の主張が多かったんだけど、それを控えめにして、車の窓ガラスに空の青を入れて、黄色をアピールしてくれてさー。どーしてだと思う? 俺が車の黄色い色が、キレイだって言ったからなんだよ、すごいでしょ! ももちんは絶対に、こんなの描くのは無理だよね」 長々と説明をして胸を張りまくり、俺を見下す周防の顔が、憎たらしいったらありゃしねぇ。 だから負けじと描きたくなった、涼一にプレゼントをするために。 周防が風景画なら、俺は人物画でアピールしてやると決め、涼一の姿を描こうとして狙っていたある日。 10月1日は俺の誕生日。美味しくカレーを食べ、いつもよりビールも呑んだ。酔いつぶれる前にと、早々とシャワーを浴びた涼一。その間に俺は食器の後片付けをし、明日の仕事の準備をしてから、シャワーを浴びた。 濡れた頭をタオルで拭いながらリビングに戻ると、ソファの上で寝ている涼一の姿があり、これはチャンスだと、音を立てないように、さっさとスケッチをして彩色する。「可愛い寝顔が見放題な上に、可愛く描いてしまう俺って、もう幸せ。有り難う誕生日、(∩´∀`)∩バンザ──イ」 なぁんてぶつぶつ言いながら描き終えて涼一を起こし、ベッドまで運んでやった。 その後のふたりは、ムフフたいむなので多くは語れない。 ――次の日――「涼一、おはよう! お前にプレゼントだ!!」 いつもの時間に目覚め、朝ご飯をつくり涼一を起こす。ねぼけ眼がハッキリと目覚めるよう、スケッチブックを目の前に突き出してやった。「……誰、このアホ面してる人は?」 じと目で俺を見ながら言い放つ。「えっと、それは涼一、なんだが」「いつの間に描いたんだよ。人が寝てるときに、勝手に描いたの?」 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-21
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キタキツネ

 いつもの場所で絵を描いている郁也さん。珍しくパソコンを傍に置いて、それを見ながら何かをデッサンしていた。「何を描いてるの?」 後ろからひょいと覗き込むと、それはキタキツネだった。 郁也さんの絵からは正直分からなかったので(犬かと思った)パソコンのモニターに映っている、それを見たんだけど。「実はさ、俺って動物描くのが苦手なんだ。車もなんだけど。苦手意識を克服しようと思って、頑張ってキタキツネにチャレンジしてるトコ」「え、偉いね。すごいや郁也さん……」 いろんな意味を込めて告げると、ちょっと照れた顔して、僕を見上げてくれる。 ――どうしよう、もう下書きが終わって、色塗りも8割がた終わってるから、今更言っても遅いんだけど……「郁也さん、どうしてキタキツネを描こうと思ったの?」 まずは当たり障りないトコから指摘してみよう。そう思い立ち、訊ねてみた。「この看板が目に入ってさ。ここら辺じゃ見ない珍しいモノだろ。それがたまたまキツネだったんだ」「へぇ……その看板の文字……何だか違う気がするのは僕だけ?」 苦笑いしながら指を差すと、w( ̄△ ̄;)wおおっ! なぁんて今頃気がつく始末。「キタキツネ描くのに必死になりすぎて、注意が中注になってる。何を考えてこんな文字を……」 それは僕が聞きたい。看板の文字同様にキケンだ。「だっ、だけどよ、キタキツネは思っているよりも、カッコよく描けたと思うんだ、うん」 最後まで色塗りをし、スケッチブックを掲げて眺めつつ、悦に入った郁也さん。 意味はないんだけど――『キタキツネは好きですか?』 という文字が浮かんだのはココだけの話。正直にカッコイイって言ってあげることが出来なかったのは、きっと看板のせいだと思う。 おしまい(・∀・)
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-22
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ガテン系おっさん

 涼一と一緒に久しぶりに、有意義な休日を過ごすべく、街中をブラブラしていた。「暮れになると、あちこちで工事やってるよな。寒い中、大変そうに見える……」 横目に映った工事の風景を不意に口にしたら、立ち止まった涼一。「ん? どうした?」「……インスピレーションが沸いた。ちょっとメモしてもいい?」 恋愛小説家らしい言葉なれど、目の前にあるのは、道路工事に勤しんでいる、オッサンばかり―― 大きな瞳をうるうるさせ、上目遣いしながら頼むものだから、イヤだなんて断れるワケもなく了承したら、カバンからネタ帳を取り出し、いそいそと何かを書きはじめた。 横で、ぼーっと突っ立っているのも暇なので、同じくカバンからスケッチブックを取り出し、描きやすそうなオッサンを、びびっとロックオン。 ロックオンしつつも、隣でメモをしている涼一がどうしても気になり、チラチラ中身を覗いてみた。『滴る汗。それを拭う力強い二の腕。爽やかな笑顔。キビキビと働くイケメン多し』 ∑(`□´/)/ ナニィィイイイ!! 涼一が心を奪われるイケメン、どこにいるんだよ!? オッサンだけを必死にロックオンしていて、全然気がつかなかったぞ。 血眼になって、イケメンを捜しはじめたとき――「郁也さん、意外と上手に描けてるね」 涼一がスケッチブックを指差して、ニコニコしてくれる。それだけで怒りが、しゅーっと収まってしまった。「そ、そうか!? (///o///)ゞ テレテレ」 照れた勢いで、いつもの文字を書いてやる。「オッサンと郁也さん、どっちの頑張りが上かなぁ?」 含み笑いをしながら、意味深な発言をした涼一に、何て答えたらいいのやら―― オッサンには負けない自信、あるZE☆ という言葉を素直に言えない俺を見越して、体当たりをし、さっさと置いて行く。「ううっ、涼一、待ってくれよぅ!」 スケッチブックをカバンに急いで仕舞って、デートの続きを楽しんだ。 勿論、夜も頑張ったことは言うまでもない! めでたし めでたし((ノェ`*)っ))タシタシ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-23
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新婚さんごっこ

 職場から家に帰る途中、スマホがメールを知らせてきた。送り主は周防からだ。「どれどれ……友人の体調を気遣って、またメールしてくれたのか?」 ほくほくしながら、中身をチェック。読み進めている内に、上がっていた口角が、どんどん下がっていった。 読み終えて、返信せずにスマホを無造作に、ポケットに突っ込む。「周防ってば、ちゃっかり俺に自慢話しやがって、まったく――」『ももちん、聞いてよ。太郎ってば、いきなり俺に患者になれって言ってきて、お医者さんごっこを強要したんだよ。どんだけ~って思うでしょ! まぁその後は、それなりに過ごしたんだけどね。+。ゥフフ(o-艸-o)ゥフフ。+゚』 ムカついちゃいけないけど、こっちだって、負けてはいられない。俺と涼一は、無敵な恋人なんだから!「あっちがお医者さんごっこなら、俺らはそれよりも甘いであろう、新婚さんごっこをしてやろうじゃないか。(ΦωΦ)フフフ・・」 かくて変な対抗心から、ごっこ遊びが展開される模様。続きは被害を被るであろう、涼一目線でお楽しみくださいませ(・∀・)新婚さんごっこ(涼一目線)「お帰りなさい……Σ(゚д゚;) ヌオォ!?」 帰ってきた音がしたので振り向くと、そこには変な笑みを浮かべた郁也さんがいた。「ただいまぁ涼一ぃ、寂しかったのか?」 いつものように(冷たく)出迎えたのに、そんなの無視して、ぎゅっと抱きついてくる。「ちょっ、いきなり抱きつかないでよ。外から帰ったらまずは、しなきゃならないことがあるんじゃないの?」「おっと、そうだった。締め切り前の大事な時期に、バイキンを持ち込んだら、大変だもんな」 いそいそ台所に行き、手を洗う。それを見つつ抱きつかれたところを、さっさと払い落とした。 ――郁也さんのテンションがオカシイ―― オカシイというよりも、恐ろしいと表現したほうが、いいかもしれないな。こういうときは間違いなく、大変なお願い事をしてくるのが、目に見えるから。 何も知らないという表情を浮かべて、衝撃(いや笑劇?)に備えよう…… うきうきした郁也さんをしっかり無視して、目の前にあるノートパソコンに、視線を釘付けにした。 コワ━━━((;゚Д゚))━━━!! ひたひたと足音を立てながら、やって来る郁也さんの気配に、かなぁりビビリながら、ゴクリと唾を飲み込んだ。「涼一、あの
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-23
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新婚さんごっこ(郁也目線)

 昨夜は早めに就寝したため、今朝はやけに目覚めがいい(・∀・)『明日の朝を楽しみにしててね、郁也さんっ』 なぁんて涼一が言ってくれた、お陰でもある。「アイツ、昨日は遅くまで執筆するって言って、寝るのが遅かっただろうな。起こさないで、朝飯をテーブルの上に置いて――」 そのテーブルの上に、何かを包んでいるブツが、どてっと置いてあった。「……弁当にしては丸っこいが、おにぎりにしては、かなりデカい気が……」 まさかと思いキッチンに行って見ると、明らかに使いましたという形跡がある。 使った本人は、きちんと片付けたつもりだろうが、飛び散った油汚れや、洗い切れていない食器などなど、山のようにあったから。「涼一……疲れた体を引きずりながら、何かを作ってくれたのか?」 もう一度テーブルに移動し、ワケの分からないブツを持ち上げてみると、隠されていたメモ帳を発見! こんなところにあるなんて!([+]Д・)「なになに、郁也さんへ。いつもお仕事お疲れ様です。新婚さんごっこの真似事で、お昼のお弁当を作ってみたよ。おかずを全部隠すのに、お米を2合使うとは思わなかった(汗) 頑張って食べてね。  PS:愛情たっぷり入ってます 涼一」 途中から、ふつふつと何かが湧き上がってきて、涙が出そうになった。困惑を含めてだが―― 涙を拭い、鼻をすすりながらキッチンの掃除をして、朝ご飯をつくり、テーブルの上に用意しておく。 自分の朝飯は、あえて抜くことに決めた。涼一の作ってくれたおにぎり弁当を、美味しく戴くために。「ヤバイ……既にドキドキして、仕事にならないかもしれない……」 スキップスキップらんらんらん♪の足取りで、出版社までの道のりを歩いて行った郁也。 さてさて、ランチタイムはどうなったのでしょうか? 職場編に続く←引っ張りますな(・∀・)
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-23
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新婚さんごっこ職場編

 早く、昼飯時にならないかな――デスクの隅っこに置いてある、涼一が作ってくれた包みを何度も見てしまった。「おい、全然進んでないじゃないか。桃瀬らしくない、手が止まってるぞ」 声をかけながら、何度も肩を叩いてくる。 珍しく注意され、すみませんと言って振り向くと、三木編集長が意味深な笑みを浮かべていた。 ――こういうときは、絶対ヤバイ――「何だよ、僕が傍に来たら、何かマズいことでもあるのか? そんな顔してくれちゃって」「いえ……別に。ついでに、この進行表のチェック、お願いします」 変なツッコミを入れられる前に、さっさと仕事を手渡した。「ん~~~、いいんじゃないか。はい、キャッチandリリース」 おい、5秒で終わらせるとか、きちんとチェックしてないだろ。「桃瀬ぇ、そんな不審そうな目で見るな。お前が事前にチェックしてるの、ちゃんと分かっているし、安心して任せているんだから」「だけど――」「何かあったら僕の責任。どーんと大船に乗った気持ちで、仕事をしてくれたまえ!」 いつものように盛大に笑い飛ばし、疲れきってクタクタになってる周りの連中がそれを見て、苦笑いをしている。「それとちょっと気になる物、(σ`з´)σ見ぃ~けっ!」 あっと思ったときには編集長の手に、デスクに置いてあった包みが、しっかりと握られていた。「何だよぅ、仕事が手に付かなくなるくらい、愛妻弁当が気になるのかぁ?」 この人、弁当の存在を分かっていて、最後にツッコミ入れたな……「……はぁ、そうですね。初めて作ってくれましたし」「いいなぁ。僕なんて最初だけだっだぞ」「若い奥さん、編集長の介護で、きっと疲れているんですね」 仕事でかけているメガネを外し、にやっとしながら言ってやった。 三木編集長が高校教師だった頃に、出逢った生徒と結婚したんだから、10歳以上は離れているハズ。「介護って僕は手のかからない、出来た旦那をやってるから! てか、この包みの中身、異常に重たいけど、何が詰まっているんだ?」「いろんなオカズと愛情が詰まってる、おにぎりです」 どんなオカズが出てくるのか、楽しみでもあり恐怖でもある(苦笑)「そんだけ詰まっているなら、重たくて当然だな。そんでもって帰ったら裸エプロンで、お出迎えだったりして?」 ん? また出たな。裸エプロンって言葉――「編集長の奥
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-23
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アソパソマソ

 夏休み子ども映画劇場――毎年この時期になると、映画会社が配給する作品を大々的に宣伝すべく出版社は、映画公開時期に合わせて、自社雑誌で特集やインタビューを組んだり、本屋に並べる原作本の帯に映画宣伝を入れたりして、積極的に協力をするのだが。「ジュエリーノベルにアソパソマソの宣伝を、どうやって入れるんですか?」「そうなんだよ。どうやってタイアップするか――誰か、いい案ないか?」 アソパソマソは、小さいコ向けのアニメで、大活躍しているキャラクター。地球の平和を守るため、悪さをするウザいコバエマンと戦ったり、ときには自分の頭をちぎって、弱っている人を助けたりする、心優しいヒーローなのであった。 ジュエリーノベル自体、幅広い層に読んでもらうべく、いろいろと趣向を凝らして、小説を掲載しているが、さすがにそこにアソパソネタを突っ込むのは、ケンカ上等に近いんじゃないだろうか。 はぁと小さくため息をつき、企画用紙の裏にこっそりと、アソパソマソを描いてみる。 以前、周防の病院でドラ○もんを描いた際に、女のコに泣かれてしまったという、痛い経験をしているので、このアソパソマソを、「どうだ! この絵を宣伝に使ってみたら?」 なぁんていう、厚顔無恥な事は出来ない。誰かすっげーいいことでも、提案してくれないかなぁと、ペンを走らせていると――「おい、何を必死に描いてるんだ?」 俺の行動を不審に思ったのか、三木編集長が席を立ち、わざわざ俺のところまでやって来て、企画用紙をさっと手早く取り上げた。「わっ!? それはダメですって!」「……いや。とりあえずコレに色を塗れ、桃瀬。よく分からんが、何か浮かびそうな気がする」「エ━━━(;゚д゚)━━━・・」 絵に関して頼まれるのは、出版社で行われる飲み会以来である。しかもこれは、マジメな仕事の話なのに。「いいから早くやっつけろ! お前の独創的なそれが、俺の頭に何かを教えてくれそうなんだ」 銀縁メガネを光らせ、きーっと怒る編集長に恐れをなして、手早くかつ丁寧に彩色していった。「出来ました。これどうぞ……」 恐る恐る手渡したら、むむっと唸って顎に手を当て、考え始めてくれる。 やがて――「こういう感じで、本物のアソパソマソをポスターにして、それを広告として雑誌に載せたら、それでいいんじゃないか?」 言いながら、俺の描いた絵
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-24
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桃瀬画伯に質問(・∀・)

 ◎この作品(アソパソマソ)を、どういうキモチで描いたのか? まず第一に、著作権に引っかからないよう(ドラ○もんの件があるから)こう……本物じゃないような、何ていうような、ふぁーっていうのを目指したんだZE☆(分らないと思うが、理解してくれ) それと同時に、画伯的なお茶目心を目指して、所々を突っ込みどころがあるように細かく配慮し、色も結構、忠実にしてみた(´∀`) 有名な作品なので、子どもにも愛されるような感じを出してみたけど、どうよ? ◎画伯的に、描いてみたい作品はあるのか? マイナーな所を攻めてみたい。自分の知らないものを、想像して描いてみたい。アニメとかだったら、ドラゴ○ボールに出て来るような、筋肉隆々のキャラクターがいいZE☆ あと可愛い少女マンガみたいなのもチャレンジしてみたい。まぁ難しいけどな(ノ∀`)  ◎最後に いつも見てくれてありがと! お話作りとか関係なく、画伯的に自由に描いているので、よくわからない部分や、伝わらない部分があると思うが、そこはこう……少年(少女)の心を持って、生暖かく見てもらえると嬉しい☆ これからも色をつけてない作品を、暇を見て手をつけていくので、よろしく (o・ω・)人(・ω・o) ネ!
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-24
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イケメン漁師的なナニか……

 友人の周防が夏休み、両親のいるどっかの島に行ったらしい。早速写真が添付された、メールが送られてきたのだが。「何なんだ、これ……何で俺にこんなもの、送りつけてきたんだか」 自分よりも明らかにイケメンな容姿に、自然と腹が立ってきた。『この人、元ナンバーワンホストだったそうだよ。今は見ての通り、漁師なんだってさ。涼一くんが好きそうなタイプでしょ(笑)』 周防の書いた文面が、更に俺を苛立たせる。 ――こんなヤツ、こんなヤツはなぁ、こうしてやるZE―― 傍に置いてあったスケッチブックを手に取り、一心不乱に絵を描いてみた。「くそっ! イケメンすぎてそのまま描き写せちゃうとか、俺ってば天才かも☆」 黙々と(黙々と書いたけど、実際は文句ブーブーだった件)絵を描いていると、部屋から涼一が出てきて、傍に置いてあるスマホを手に取った。「うわっ、すっごいイケメンだね。イケメン漁師さんか……いいなぁ」 何がいいなぁ、だ。どこら辺がいいんだよ?「だけどソイツ、元ホストだってさ。きっといろいろヤりすぎて、業界にいれなくなったんじゃないか?」「元ホスト!? わぁ、何だか物語が出来ちゃいそう」 どんな物語を書くつもりだ、涼一。そんな風に、夢見るような顔をしてくれるな!「ところでさっきから、何をブツブツ言いながらイラストを描いてい――」 スケッチブックを覗き込んだ涼一が、言葉を飲み込んで固まった。「どうした?」 不思議顔で見上げながら固まる涼一を見つめると、明らかに笑顔が変な感じに歪んでいる。「えっと……そのイラストは、その……このスマホに写ってる、漁師さんを描いたんだね」「おぅよ。そのまんまだろ」「着てる服のキャラクターに、著作権の関係で横線引いたんだ。偉いね郁也さん……」 額に手を当てて、うんうん唸りながら指摘してくれた。まぁ、これについてはイケメン度を下げるべく、わざわざ描いたモノだが。「まぁな。クリソツだったからよ、マズイだろ」「その「プ」って、クリソツなコが言ったセリフなんだ。凄いね、いろいろと」「天才繋がりで、つい書いてしまったんだ。へへっ」「天才……そうだね、うん。お魚の口から何故、血が出ているのか、気になっちゃった」 いつも以上に、細かい点を指摘してくれる涼一に、笑いが止まらない。よく見てくれて、嬉しい限りだぜ。 ――さすがは俺
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-25
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ネコ耳フードのイケメン

 俺は今、頭の中にある記憶を頼りに、一心不乱に絵を描いている―― 病院の夏休みを使い、両親のいる島に渡った周防からさっき、メールが送られてきた。これで2通目。 1通目には一緒に写真が添付されていて、そのあまりのイケメンぶりに無性にイライラさせられ、思わず勢いに任せて絵を描いてしまった。(お題:イケメン漁師的なナニか……に掲載中) そして2通目は、文章だけだったのだが。タイトルから既に挑戦的で、またしても不愉快になってしまったのである。『タイトル:ももちんはキ○ィちゃんのネコ耳が付いたフードが着られる?』「涼一が着るならまだしも、何で俺がそんなの着なきゃならないんだ。似合わないのが、手に取るように分かるだろうよ!」 ブツブツ文句を言いながら、本文を読み進めた。『本土に帰る前に、お世話になった井上さん兄弟に挨拶に行ったんだ(イケメン漁師の人ね) そしたら表に干してある洗濯物の中に、キテ○ちゃんのネコ耳が付いたフードが干してあったのさ。 誰が着てるんですかって訊ねてみたら、イケメン漁師が意味深に微笑んで、「それ、俺が着てるんです」って言ったんだよ! んもぅビックリでさ。しかも意味深に微笑んだ途端、隣にいる弟が赤面したのが、個人的に気になってしまったのだけど――何かのプレィで使っているのか!? ((ノェ`*)っ))タシタシ 華奢で、可愛い感じの弟が着ているモノだと思っていただけに、ギャップ萌えしてしまったよ。 ま、イケメンだから何を着ても似合うだろうけど、ももちんは流石に着れないよね、恥ずかしがり屋さんだから。゚(゚^∀^゚)゚。』「……何かのプレィって、どんなプレィなんだよ? ニャンニャンするのに使うのか? ああ、もう無性に腹が立ってきたっ」 前回同様に、文句を言いながらも傑作を描くべく、さらさらっと筆を滑らせる。そしてものの5分で、完成させてしまった。「自分よりもイケメンに描いてしまったのは、サービス精神が溢れまくっているからだと言っておこう。しかしムカつく気持ちは、消し去ることが出来なかった」 醜い自分の心を見せないようにすべく、静かにスケッチブックを閉じた。勿論、涼一には内緒の作品である。「別な作品が出来た時に、一緒に見せて醜さを半減させる作戦でいくか」 醜さを半減させるリクエスト、お待ちいたしております。桃瀬
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-26
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