虎太は美穂の手からバッグを受け取り、どこか申し訳なさそうに言った。「実は、峯さんが出発する前から、あっちを見張ってくれって言われてたんです。僕も人を出して二十四時間張り込ませてたんですが……それでも隙を突かれてしまいました。ただ、破壊はそこまでひどくありません。墓石は無事ですし、花束と供え物が散らされたくらいです。もう片づけて、供え物も新しく置き直しました。でも……」その先は、どうしても口にできなかった。物は残っている。だが――骨壺の中身は、消えていた。「お墓を見せて」美穂は責めるようなことは一言も言わなかった。悪人が悪事を働くとき、事前に知らせてくれるわけではない。常に防ぎきれるものでもないのだ。虎太はぐずぐずしていられず、彼女が車に乗るのを待って運転席に滑り込んだ。「美穂さん、焦らないでください。道すがら、詳しく説明します。墓地の周辺の監視カメラは確認しました。昨日の午前三時過ぎ、覆面をした数人がやったみたいです。全員黒い服で、体格もはっきりとは分かりません。動きはかなり手慣れていて、十分もかからずに立ち去りました。手掛かりは何も残していません。それと、美穂さんの育てのご両親を殺した犯人についてですが……僕たちが突き止めた『黒兄』って男、昔は港市の『龍(りゅう)さん』の配下でした。今は西川区の地下カジノで用心棒みたいなことをしています。部下をカジノに行かせて聞き込みもしましたが、あそこはバックグランドがかなり複雑で……今のところ中に入り込めていません」美穂は車の後部座席に座り、彼の話を静かに聞いていた。その顔は、話が進むほど冷たく沈んでいく。車は一時間以上走って、ようやく墓地に着いた。夜の墓地はひどく静まり返っている。点いているのは数本のソーラー街灯だけで、薄暗い光が並ぶ墓石を照らし、不気味な雰囲気を漂わせていた。美穂は外祖母の墓の前まで歩み寄る。墓石に刻まれた外祖母の写真は、相変わらず優しく微笑んでいた。だが墓前の土は新しく掘り返されており、近くには砕けた花びらがいくつか散っている。彼女はしゃがみ込み、手を伸ばして墓石の上の埃をそっと払った。指先が冷たい石に触れる。まるで外祖母の冷たい手に触れたようで、胸の奥が刃物で裂かれたように痛んだ。涙が、前触れもなく溢れ出す。ぽたり、ぽた
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