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Ⅳ-11

last update Dernière mise à jour: 2025-10-10 20:30:04

 深いキスを受けると、脳にぼんやりとかすみがかかったようになり、燿の体のこわばりはとけていった。それを見計らって蒼波がゆっくりと指を一本挿入する。

「んんう……っ」

「痛くない?」

「へんなかんじ、する」

 蒼波は燿に何度もくちづけながら、後孔へ愛撫を施した。時折中心にも刺激を与えつつ、後ろの指を動かして二本目までを挿れる。燿の様子をきちんと見ながら進めてくれるので、今のところ痛い思いも怖い思いもしていない。

 そうやって蒼波は燿の後孔へ三本の指をくわえさせ、なにかを探るようにゆっくりと抜き差しを繰り返した。ハンドクリームが燿の体温でとけてぐじゅぐじゅと音を立てている。聞くに堪えないとばかりに、燿は両手で耳をふさごうとした。

「あ! うあ、あっ」

 蒼波の指が一点に触れたとたん、燿は悲鳴めいた嬌声を上げた。蒼波は探し物が見つかったというようにその場所を繰り返し刺激する。

「あ、やだ。蒼波! そこ、やだ!」

「燿ちゃんの気持ちいいところだよ」

 気持ちいい
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     燿と蒼波はホテルをチェックアウトしたのち、もう一度海へと足を向けた。海は昨日と同様穏やかで、太陽の光を受けて輝いている。 「すごいな」 「きれいだね」  かたわらの燿がわずかに身じろぎして、蒼波の方へ体を寄せてきた。どうしたのだろうと思う間もなく、蒼波の手に燿の手が触れ、しっかりと握りしめられる。 「燿ちゃん?」 「別に、いい」 「え?」 「本当は、触ってもいい」  昨日蒼波が話したことを燿なりにずっと考えていてくれたのだろう。ぽつぽつと話す燿はうつむいていて、蒼波からは表情は解らなかった。けれど耳が真っ赤になっていることからどんな顔をしているのか想像はできる。蒼波は素早く辺りを見回し、人気がないことを確かめてから燿を抱きしめた。 「うわ!」 「俺、本当に燿ちゃんが好きだよ」 「解ってるって言ってるだろ」  燿は滅多に蒼波に対して「好き」という言葉を返してくれない。けれど、触られるのをいやがっていた理由が解った今なら構わなかった。  きっとこのあと、燿は照れて別の話題を持ち出してくる。そんなことまで手に取るように蒼波には解っていた。 「そろそろ、駅行くか?」  ほら、やっぱりと思って蒼波は笑ってしまう。 「なんでにやにやしてんだ」 「燿ちゃんが大好きだなって思って」 「そーかよ」  二人は海岸を離れ、駅へ向かって歩き出す。一泊二日の小旅行は二人の小遣いでまかなえる範囲の安上がりなプランだったが、楽しいものだった。それでも蒼波はいつかもう少し豪華な旅行を燿と一緒に楽しみたいと考える。 「今度はもっとすごいホテルで、ぜいたくなごはんも食べようね」  そう提案すると、燿が意地悪い笑みを浮かべた。 「そりゃいつになるんだ」 「えーっと、大学生とかになってから? それとも働き始めてから?」 「先の長い話だな」  蒼波は頬を膨らませて反論する。 「じゃあ、冬休みにバイトするからそれで行く?」 「無理すんな。大学生とか社会人になってからで充分だろ」

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     二人は泥のように眠っていた。一日海岸を歩き回って、夜には激しく交わっていたのだから当然とも言える。燿のスマートフォンのアラームが鳴ったが、スヌーズを含めて三回ほど蒼波が止めてしまった。チェックアウトが遅めの時間に設定されているホテルだったので、少しの寝坊は許されたのがさいわいだ。  身支度を整え、万が一にも情事の痕跡が残っていないかを確認してから、朝食を摂りにラウンジへと向かう。朝食はバイキング形式となっていて、これまた食べ盛りの二人には丁度よかった。  細かく仕切りのついたプレートを手にした燿と蒼波は、それぞれ好みの食事を取り分けに向かう。蒼波はスープとパン、スクランブルエッグと厚切りハムを焼いたもの、サラダを持ってテーブルへと戻ってきた。対して燿はというと、スープにライス、グリルチキンにとんかつ、スコッチエッグとすごいボリュームだ。そして圧倒的に野菜が足りていない。 「燿ちゃん、野菜は?」 「そんなもん食わなくても育つ」 「トマトだけよけたらいいじゃない」 「俺は肉が食いてぇの」  蒼波もおかわりに行くことを前提にしているので、あまり燿のことを言えない。けれどここには栄養バランスを考えてくれる燿の母親はいないのだしと思う。もっとも燿は相変わらず聞く耳持たずだけれども。 「お前もこういうときくらい、好きなもん食えよ」  そう言われて、蒼波は燿に手招きして顔を寄せるように合図する。そして耳元でささやいた。 「それは、昨日の夜お腹いっぱい食べたから」 「この……バカ! バーカ!」  燿は言い捨ててがつがつと食べ始める。それが照れているだけだということは、赤くなった頬や耳がなにより雄弁に語っていた。蒼波もフォークを手にして食事を始める。  二人は結局三度ほど席を立っておかわりをした。二度目、三度目になると蒼波も燿につられてついつい肉を多めに取ってきてしまって笑われる。 「燿ちゃんが美味しそうに食べるてるから」 「人が食ってるのって美味そうに見えるよな」 「どれが気に入った?」 「塊の肉」  燿の答えに蒼波は噴き出した。燿は本当に肉が好きだ。それでも三度目に席を立ったときには小さなサラダ

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     二人は絡み合ったまま荒い息を整える。「終わったんだから、離れろよ」「もう。燿ちゃんはすぐそういうこと言う」 ゆっくりと燿の後孔に埋めていたものを抜くと、それすらも刺激となるのか燿が小さく声を上げた。「もう一回お風呂入らないとダメだね」「そうだな」 燿は力が入らないのか、ベッドに仰向けのまま転がっている。蒼波は純粋に嬉しくなって燿に声をかけた。「後ろだけでイケたの、気持ちよかった?」 寝返りを打って窓の方を向いてしまった燿は、こちらを見ようとしなくなってしまった。どうやら訊いてはいけなかったことらしい。「俺は、燿ちゃんがそうやってイってくれたの、嬉しかったんだけど……」「お前は少し慎みを持て!」 言葉とともに枕が飛んできたので、蒼波は早々に風呂場へと退散した。シャワーでざっと体を流して戻ってみると、燿はベッドからソファへと移動して、スポーツドリンクを片手にテレビを見ていた。「燿ちゃんも入ってきたら?」「おう」「出てきたら夜食食べよう?」「ん」 バスルームに向かう燿を見送ってから、蒼波は先ほど海岸でもらったアクアマリンを取り出して眺める。宝石だから嬉しいわけではない。この石を燿が自分のために獲ってきてくれたこと、それも今日のためにわざわざ用意してくれたことが嬉しかった。「俺もお返しできるようにならなくちゃ」 蒼波の独り言は、燿が聞いていたらまた怒り出しそうなものだ。 二人が恋人同士になってから初めての旅行は、例にもれず甘いものとなった。

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