どうも、エリシアです。神の旋律を取り戻して数日。世界は少しずつ静けさを取り戻していた。……うん、あれだけ大騒ぎしたのに、今は嘘みたいに穏やか。「それにしても、王都の空が青いって素晴らしいね〜!」私はパンを両手に持って空を見上げる。神殿の上空には薄い雲がかかり、太陽が金色に揺れている。「暴君、食うか見るかどっちかにしろ」隣でカイラムがあきれ顔。でもその声は優しい。「両方大事でしょ!」私が胸を張ると、リビアがくすりと笑った。「平和とは、パンを食べながら空を見上げられる時間のことだな」「いいこと言ったリビア!」——神殿回廊の封印が解かれた翌朝。世界中の祠に光が走り、風が柔らかくなり、海が穏やかになった。人々が「何かが戻った」と噂していた。“神の旋律”が再び流れ始めたのだ。王都では急遽「帰還祭」が開かれることになり、私たちは名誉ゲストとして招待されることに。「……また祭りか。前もパン投げ大会になってなかったか?」カイラムが呆れたように眉をひそめる。「それはそれ!今度は“祝パン焼きコンテスト”なの!」「名前からしてすでにお前の企画だな……」——その夜。街の広場には灯りがともり、屋台の匂いが風に乗って流れる。パン、スープ、焼き菓子、肉の香り。人々の笑い声が響く中、鐘楼の上でレオニスが鐘を握っていた。「この鐘は、神殿の音を再び世界に響かせるためのものだ。……行くぞ!」カン——カン——。その音が夜空に広がり、空気が少し震えた。「いい音……」私は思わず呟いた。「この音を聞くと、不思議と泣きたくなるな」ユスティアが微
Last Updated : 2025-10-07 Read more