彼はひそかに歯を食いしばり、それから歩み寄り、できるだけ軽い口調を装って言った。「蒼空のプレゼント探してるのか?俺が手伝うよ」口に出した瞬間、黎は自分を二発ぶん殴りたくなった。昨日の出来事について、彼もある程度は把握している。いまも外では噂が飛び交い、彼が遥樹の親友だと知っている友人たちから、詳しい事情を聞かれていた。遥樹は衆目の前で日下菜々との婚約パーティーを放り出し、自分の恋人を探しに行った。会場にいた人々はその場では口をつぐんでいたものの、帰ればきっと周囲に話すだろうし、尾ひれをつける者だっているに違いない。騒ぎはかなり大きくなり、これまでに黎はすでにいくつもの噂話を耳にしていた。遥樹の恋人が妊娠して結婚を迫っただの、遥樹が二股をかけていただの、言いたい放題だ。誕生日パーティーの件はひとまず区切りがついたとはいえ、時友家と日下家の関係はかつてないほど険悪になっている。それは部外者である彼にさえはっきり感じられた。いまこの場で、哲郎の前で蒼空の名を出すべきではなかった。なのに遥樹は、あっさりと「うん」と答えてしまった。黎はしばし後悔し、そっと顔を上げて哲郎の表情をうかがった。案の定、哲郎の顔色は良くない。沈んだ顔で、じっと遥樹の背中を見つめている。それでも何も言わなかったので、黎はひとまず胸をなで下ろし、黙って遥樹と一緒に誕生日プレゼントを探した。見つけたのは黎ではなく、遥樹だった。遥樹は大きすぎも小さすぎもしない箱を抱え、立ち上がると、一言も発せずそのまま背を向けて出ていこうとした。ついに哲郎の顔色が変わり、ソファを強く叩いた。「祖父に会っておきながら、挨拶のひとつもないのか?私はそんなふうに教えた覚えはないぞ」高齢とはいえ、威圧感は衰えていない。怒れば、やはり迫力がある。黎はびくりと肩を震わせ、唇をきゅっと結んで遥樹の背後に立った。遥樹は足を止め、淡々と言った。「もう帰るよ、じいさん」それを聞いて、哲郎はさらに不満を募らせ、声を抑えて言う。「戻ってきたのは誕生日プレゼントを探すためだけか?それが私に対する態度か」遥樹は小さく笑った。「入ってきた瞬間からじいさん、ずっとそんな顔をしていたじゃないか。話したくても話せないんだが」哲郎の濁った目が
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