レイフは手元に続けて三枚のカードを出現させると、先ほどの一枚とともに空へと放った。 カードは意思を持つかのように四方へと散ると、瑠璃色の魔法陣を展開する。 間髪を容れず魔法陣からは漆黒の鎖が生み出され、一斉にクロヴィスを拘束しようと迫った。「甘いよ!」 クロヴィスは、前方に右手をかざす。 瞬く間に、|金色《こんじき》の光が出現し、それは彼の身体を守るように障壁へと変化した。 パリン、と硝子が砕け散るような音が響き渡る。 次の瞬間には障壁へと衝突した鎖は宙に弾け飛び、塵となり霧散していた。「カルロス、グィネヴィア――|行《ゆ》きなさい!!」「「はっ――!!」」 ヴィオレタの号令を受け、二人の|死神《リーパー》が駆け出す。 カルロスと呼ばれた赤毛の大柄な男は、手元に巨大な|戦棍《メイス》を出現させると、それに|焔《ほむら》を纏わせてゆく。「はあぁぁっ――!!!!」 怒声とともに空中へと飛び上がったカルロスは、背後よりクロヴィスの頭部へと戦棍を振り下ろす。「ふふっ――」 瞳を閉じて宙へと静かに佇むクロヴィスの口角が、わずかに上がる。 次の瞬間、彼の姿は茜色の空に消失した――。「なっ!?」 カルロスの真紅の双眸が、大きく見開かれた時には既にクロヴィスの姿は彼の背にあった。「遅いよ」 瞬く間に移動したクロヴィスは、腰元の剣の柄へと手をかける。 だが、その手が|剣《つるぎ》を抜くことはなかった。「おや、これはこれは……」 剣と彼の手が、時の流れから隔離された彫像のように凍りついていたからだ。 ――「そうは、させない」 凛とした冷たい声音が響き、彼の隣へと|白縹色《しろはなだいろ》の閃光が飛来した。 グィネヴィアと呼ばれた女性の死神だ。 動けずにいるクロヴィスの至近距離へと接近した彼女は、腰元から剣を引き抜く。 それは流麗な反りと、白い光を帯びた波紋が特徴的な東方の国々で〝刀〟と呼ばれるものだった。 首を狙った完璧な一閃が放たれる――。 白金色の髪が宙を舞い、クロヴィスの頬から紅い飛沫が飛んだ。「おぉ、怖い怖い!」 ぺろりと、艶やかな|虞美人草《ひなげし》のような舌で頬から垂れる血を舐めとると、彼は後方へと距離を取って躱した勢いのままに、背に月白色の光翼を生み出し飛び立つ。 光
Dernière mise à jour : 2025-08-30 Read More