「こればっかりは、お願いをきけないよ。ちゃんと傷が治ってからじゃないと、ダメだから」「だって……すごく克巳さんが欲しいって思っちゃったんだもん。しょうがないじゃないか」「困ったコだな、君は。そんな煽るような目をして言わないでくれ。自制が利かなくなるだろ」 涙に濡れた瞳は、いつも以上に俺のことを煽りまくる。心を解放して強請られているのが伝わるからこそ、手を出さずにはいられない。「だって欲しいんだ、アナタのすべてが。ねぇ、ちょうだぃ……」 掠れた声に誘われて涙に濡れた頬を両手で包み込み、稜の唇に自分の唇を思いきり重ねてしまった。「ン、ンっ……もっと――っ」 俺の舌にぎゅっと自分の舌を絡ませて、逃げられないようにしてるクセに、まだ求めてくる。顔の角度を変えて稜の口内を責める感じで、上顎に向かってぬるりと舌を滑らせてやった。「っ……あぁん、克巳さ……」 ついでに薄い病衣の上から背筋を下から上になぞってやると、ビクビクッと躰を振るわせた。甘い吐息を吐く稜の耳元に、そっと唇を寄せる。「一応君は病人なんだ、大人しくしないとダメだよ」 そんなことを言いつつもイジワルな俺は、背筋に這わせていた指を上から下へとなぞっていった。背中から腰へ、そしてその下にも――「ああぁっ……耳元で喋るの、やめっ……んっ、感じちゃ……うっ」 ただ指を上下に往復させているだけなのに、息を乱して体温を上げていく稜。「そんな変な声を出していると、看護師さんが来ちゃうかもね。ちゃんと我慢しないと」 笑いながら形のいい稜の耳を唇で食んでやると、左手を振りかぶって、いきなり頭を殴りつけた。「はぁはぁ……克巳さんのバカ! スケベ! もう知らないっ!」 俺の躰をどんと突き飛ばし、真っ赤な顔をして布団に潜り込む。そんな彼を見て、声をたてて笑ってしまった。さっきの態度とは一変、元気な様子が嬉しくて堪らない。それに――。(――欲しいクセに、一生懸命にガマンするなんて)「今の稜の姿、なんだか下着の中で猛ってる、君の分身の姿に思えてならないよ」「なっ、なんでそんな表現するかな。それって酷くない?」 ちょっとだけ怒った声が、布団の中からくぐもって発せられた。俺は感じたままを、素直に言葉にしただけなのに。「だって、そうだろ。ほら――」 布団の形状から稜の体勢を予想し両腕を突っ込んで、その
Last Updated : 2025-07-23 Read more