All Chapters of 欲しがり男はこの世のすべてを所望する!: Chapter 11 - Chapter 20

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act:痺れ薬・略奪5

「さっきよりもつらそうだね。大丈夫、克巳さん?」「み、水が……欲しい――」 取ってほしいと言う前に、彼は自分の口に水を含んで、さっきと同じように口移しで飲ませてくれる。冷たい水が喉を潤していくそれがすごく気持ちよくて、彼の首に腕を絡めてしまった。「ふふ、積極的だね。もっと欲しい?」「っ、ああ……」 掠れた声で強請ると、魅力的な瞳を細めてわかったと頷いてから、水の入ったペットボトルを口に含み、また口移ししたのだが――。「ふ……、んっ、ンンッ!?」 水が入ってきたのは一瞬で終わり、いきなり舌を絡め取られて、深く口づけられていく。 与えられた冷たい水とは真逆の躰がどんどん熱くなる行為に、どうにもなす術がなくて、されるがままだった。 俺を貪るように舌を吸い込み、くちゅくちゅと音を立て自身の舌にねっとりと絡めていく。(――このまま、感じてる場合じゃない!) 焦りながらもこの行為に逃れるべく、両腕を使って必死に躰を押しても、全然ビクともしなかった。その内やわやわと上唇を甘噛みされて、背筋にぞくぞくとしたものが走る始末。「克巳さんってば、すごく感じやすいんだね。もうココ、かちかちになってるじゃん」 ギョッとしたのは自分のモノが形を変えていたこともだが、いつの間にかスラックスが下着ごと下ろされていて、下半身が露となっていた。(――なにかおかしい。普通ならこんなことをされたら、すぐに気付くことができるハズ。しかも自分より細身の彼に、易々と押さえつけられているのも変だ)「稜、君はもしかして、なにか薬を盛ったんじゃ……」 同性の稜にキスをされて下半身がこんな状態になるのは、絶対におかしい!「薬じゃなくドリンクだよ。滋養強壮的な感じの」「だからそれが、薬だって言ってるだろう!!」「え~、なんか疲れてるっぽい顔してたから、元気になって欲しいなぁと思って、気を利かせてあげたのにぃ」 相変わらず悪びれた様子を見せずに、瞳を細めてカラカラ笑う。自由があまりきかない、俺の躰の上から見下ろす視線が何気に怖かった。「ま、俺も疲れてたから、一緒に飲んだんだ。いい感じになってきているよ」 さらさらの長い黒髪を耳にかけて、口元に艶っぽい笑みを浮かべた彼が、俺の下半身に手を伸ばし、いきなり口に含みながら片手で根元を扱いていく。「ちょっ、まっ、なななにして、んんっ…
last updateLast Updated : 2025-07-11
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act:痺れ薬・略奪6

*** まずは第一段階終了――即効性のある薬だけど持続力がないから、もうすぐ切れちゃうんだよな。それを悟られないように、ここから俺が頑張らないとね。リコちゃんの愛した躰がどんなものなのか。自身で体感させてもらおうじゃないの。 気だるそうにしながら息を切らして、ワイシャツだけを着たまま下半身丸出しの哀れな姿を、ほくそ笑みを浮かべつつ見下ろしてやる。 二口しかコーヒーに手をつけなかったとはいえ、お薬をどばどば投入したから相当効いてるっぽい。しろーとさんには、ちょっとばかりキツかったかもなぁ。俺も飲んでるのに効き目を感じられないのは、飲み慣れてしまったせいか――。「ホントに大丈夫? 汗がびっしょりだね」 額のにじんだ汗を手のひらで拭ってやると、気持ちよさそうな顔をする。(なるほど……。母性本能を絶妙なタイミングでくすぐってくれるタイプだから、しっかり者のリコちゃんが夢中になっちゃったんだね) ソファの上で倒れこんでる半身を起こしてやり、水の入ったペットボトルを手渡してあげようと目の前に差し出した。「はい、どーぞ♪」「あ、済まない……」 なかなか手を伸ばさない克巳さんの手に、ペットボトルを強引に押し付けてそれを握らせる。「さてはその顔、俺に飲ませてほしかったんでしょ?」「いや、違っ」 ぶわっと赤面した克巳さん。隣に座り込んで乱れた自分の髪の毛をかき上げてから、背中を優しくさすってあげると、頬を紅潮さたままどこか困った顔をした。(わっかりやす~、素直な人なんだね)「欲しければくれてやるよ? その水みたいにさ」 言いながら克巳さんの着ているワイシャツのボタンを、手早く外していった。「なっ、なにをするんだ?」「自分だけイって、俺はイかせてくれないの? それってフェアじゃないよね」 持っていたペットボトルを取り上げて、腕を引っ張って立ち上がらせると、寝室のある部屋に誘導する。 ――さぁ、第二ラウンドのはじまりだよ克巳さん――
last updateLast Updated : 2025-07-11
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act:翻弄する毒

 彼に手を引かれ隣の部屋に入るとそこは、花の香りに包まれた寝室だった。 ベッドヘッドのライトをつけると大輪の花束が所狭しと飾られていて、思わず目を奪われてしまう。その華やかさはまるで、女の子の部屋のよう。「こっちに置いてある花は、ちょっとだけ香りの強い花ばかりなんだけど、克巳さんは酔ったりしない?」 そして何気なくはいと手渡された小さな包みに、顔が一瞬で強張った。このゴムはいったい?「え? あの……ニオイは大丈夫だけど、これって――」 「これから俺とセックスするんだよ、克巳さん」 彼の言葉に、頭の中が真っ白になった。 呆然とその場に立ちつくす俺を陵は横目で眺めて、なにを言ってるんだと言わんばかりにお腹を抱えて笑い出した。「ちょっと待ってくれ、だって君は男じゃないか。できるワケがない……」 涼は慌てふためく俺を無視して、着ていた服を脱ぎ捨て、惜しげもなく全裸になった。 さすがは、モデルをやってるだけある。均整の取れたプロポーションは見ていて惚れぼれするが、性欲の対象にはならない。胸はないし、下半身には半勃ちのアレがついているし。「でも克巳さん、俺とキスして勃ってたでしょ。あれはどう説明するのさ?」 「あれはきっと薬のせいで、ああなったんじゃないかと――」 同性とキスして勃つなんて、絶対にありえない。感じてしまったのも、全部薬のせいなんだ。「でもねあの薬、即効性はあるんだけど持続性がイマイチなんだ。なのに未だに克巳さんのモノが勃ってるのは、どうしてなのかなぁ?」 「それはまだ、薬が効いてるとしか思えない……」 言い訳がましいことを口にしながら、初めての行為に恥ずかしがる女のコのように、両手で下半身のモノを隠した。今更なんだが――。「まったく。意外と恥ずかしがり屋さんなんだね、しょうがないなぁ」 口元に艶っぽい笑みを浮かべた陵が、手に持っているゴムをパッと奪い取り、おろおろする俺を尻目に素早く装着した。「さあ早くしようよ。遠慮しないでさ」 「いやいや、絶対に無理だって!」 「そおぉれっ!」 ガシッと腕を掴み、遠心力を使ってスプリングのきいたベッドに吹っ飛ばされた。仰向けに寝転がった俺の上に、彼がしっかりと馬乗りになる。見下ろしてくる瞳が逃がさないと語っていて、更なる恐怖心に煽られた。「やや、やめてくれ……」 「掘られるワケじゃ
last updateLast Updated : 2025-07-12
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act:翻弄する毒2

「克巳さんっ、お願、いぃ……んっ」 息も絶え絶えといった様子で悩ましげに顔を歪めて、俺をじっと凝視した稜。なにを言うのだろうかと顔を寄せた。「――なに?」 「もう少、しだけ、力入れて握って……んっ、欲しい、んだ」 「これくらい?」 握ってる力を、ちょっとだけ入れて擦りあげた。「はぁん……ぅあ、もう少し……はぁ――」 「これは?」 「ぁん、ぅ、それ……くらい、はぁ、んっ!」  俺の手に合わせて気持ち良さそうに腰を上下する姿に、もっと感じさせてみたくなる。「うあ……やば、克巳さんっ……はぁ、腰、止んなぃ、もっと」 握っている稜のモノは、今にもイきそうなくらいに膨張していた。 そんな彼をイかせてやろうと力をこめたとき、陵はシーツを掴んでいた手を離して、俺の首に両腕を絡めながら強引に躰を引き寄せてきた。「俺を克巳さんの……んっ、あぁん、おっきいので……気持ちよくして、っ!」 耳元で甘く掠れた声で囁かれたせいで、無性に胸がドキドキしたけど、稜が告げた言葉の内容に不安がよぎる。(――俺のを稜に挿れるのか!?) 挿れる場所は一箇所しかないワケで、しかもその部分は通常こんなモノを挿れたりせずに、出す場所なワケで……。 そんなことを頭の中で考えて固まってしまった俺の顔を見るなり、稜は目を細めてクスッと笑うと、唐突にボトルを手渡してきた。「克巳さんのおっきいから、指でしっかりと馴らしてほしいんだよね」 「えっ!? ああ……」 思わずOKの返事をしてから、やることの順序を考えた。慣れないことをするときは、ついクセでいろいろと考えてしまう。 ボトルから液体を出して手のひらで温めてから、指を一本挿れてみよう。そうして様子を見てから指を足して、馴らしていけばいいか? 息を飲みながら、とりあえず人差し指を一本挿れてみた。つぷぷっと吸い込まれるように入っていくのを見て、何だか変な気分になる。「……っん、ん、っ、はぁん、あぁ……」 何回か抜き差ししながら広げていき、もう一本増やしてみたら、指に中のヒクついている様子が伝わってきて、俺のモノがピクリと反応した。「稜、もう挿れるから。いいね?」 気がついたら言葉を発していた自分。さっきまで躊躇していたのが嘘のようだ。「はぅん……っん、はぁ……あ、ぁぁっ」 俺を待ちわびる彼の中に自身をあてがい、ゆっく
last updateLast Updated : 2025-07-12
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act:翻弄する毒3

*** 疲れ果てた俺は稜を抱きしめて、深い眠りについていた。普段、夢なんて見ても覚えていないのに、このときに限ってはやけにハッキリとしたものを見た。寝室に充満している、花の香りのせいだろうか――。 何故か俺はいろんな花が咲き乱れている中に躰を横たえながら、抜ける様に綺麗な青空をぼんやりと眺めた。風に身を任せて流れていく雲、その風に運ばれる芳しい花の香りが心地よくて、目を細めながらその景色を楽しんでいると。『こんなところにいた、捜したんだよ克巳さんっ』 咲き乱れる花を蹴散らしながら、どこか弾んだ足取りで俺の傍にやって来た稜。しゃがみ込んで俺を見つめる彼の髪型は、かわいそうなくらいにグチャグチャだった。それだけ必死に捜したのだろうか。 俺は上半身を起こして傍に座った稜の髪を、手櫛で撫でるように梳いてやる。「捜してくれてありがとう。でも君は芸能人なんだから、身なりはいつも整えておかないと駄目なものじゃないのか?」『そういう克巳さんも、頭に花びらつけてるよ。何気に可愛いんだから♪』 形のいい口角を上げて、笑いながら頭についた花びらを右手で優しく払ってくれた。目の前に落ちていく、黄色い花びらが目に留まる。「そういえば俺のことを捜してたって、なにかあったのだろうか?」『だって、いなくなったら困るんだよ。克巳さんは俺にとって、大事な駒なんだし』 満面の笑みで微笑んでいるのに眼差しがやけに怜悧で、なにかを企んでいるように感じてしまった。それについて口を開きかけた瞬間、ずるっとどこかへ落ちていく躰。足元を見たら、そこに大きな穴ができていた。 慌てて両腕を伸ばしたがどこにも掴まれるところがなく、真っ直ぐに落ちていく俺を、稜は笑いながらただ見下ろすだけで、助ける気配すら感じられない。(――これから俺は、どうなってしまうのだろうか!?) 底の見えない落とし穴に、ただ身を任せるしかなかったのである。
last updateLast Updated : 2025-07-13
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act:翻弄する毒4

*** 隣で寝ている克巳さんを気にしながら、ゆっくりと躰を起こしてみる。「……っ、痛っ! ちょっと頑張りすぎちゃったかな」 時計を見ると午前三時過ぎ――彼を起こさないように寝返りをうったら、腰に激痛が走った。あまりの痛さに顔をしかめてしまうレベルって、どんだけ。「回数より質というか。いいモノをお持ちだったせいで、自ら腰を使っちゃったし、しょうがないね♪」 ベッドからゆっくりと腰を上げながら振り返って、克巳さんの寝顔を見てみる。イビキもかかずに、うつぶせのまま死んだように眠っていた。「こういうあどけない顔してるトコに、惹かれちゃったのかも。リコちゃんってば、趣味がいいからなぁ」 そっと頭を撫でてあげると気持ち良さそうに身じろぎし、口元に笑みを湛えた克巳さん。もしかしたらリコちゃんも、俺と同じことをしているかもね。こんな表情を見たら、手を出さずにはいられないから。 物音を立たないように気をつけて、真っ直ぐ浴室に向かいシャワーを浴びる。 そして数分後、バスローブに身を包み、タオルで髪の毛の水分をしっかりと拭ってから、ハンガーにかけてある克巳さんの上着に手を伸ばした。迷うことなく、ポケットの中身をチェックする。 スマホの手ごたえを感じて画面を見てみると、ロックはかかっておらず、さくさくと中身を拝見させてもらった。(わーお、着信履歴が26回もあるじゃん。さっすがリコちゃん! 恋人と俺の話し合いががどうなったのか、すっごく心配しちゃったんだ) 最終着信履歴が午前一時すぎ――この時間なら確か、激しくヤっちゃってる真っ最中のところだよ。 先ほどまでの行為をちょっとだけ思い出し、スマホの中身をあちこちチェックしていてふと気がついた。リコちゃんの電話番号とメアドは知ってるけど、克巳さんのは知らなかった。「俺のスマホに転送しちゃお♪ ついでに克巳さんのに俺の情報を入れてあげちゃうとか、すっげー優しい」 自画自賛しつつ操作した後に元に戻してから、寝室に足を運ぶ。眠っている克巳さんの鼻を、ぎゅっと摘んだ。ちょっとSな起こし方かな。「……っ、んんっ?」「おはよ、克巳さん」 顔を寄せて、ちゅっとモーニングキスしてみる。ぼんやりしたまま俺を見上げる姿は、本当に無防備に見えた。「ごめんね、朝早く。これから早朝ロケが入ってて、仕事に行かなきゃならないんだ。悪いけ
last updateLast Updated : 2025-07-14
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act:溺愛

 いつもより早く、理子さんの家に迎えに行く。インターフォンを押したら、すぐに顔を覗かせてくれた。「おはよう克巳さん。昨日はあれから大丈夫だったの? なんだか少しだけ、顔色が悪いし」 目が合った途端に、質問をぶつけられてしまった。イヤな冷汗が、額に流れていく。「や、ごめん。心配かけてしまって……」 機嫌が悪そうに俺を睨む理子さんに、これから告げるいいわけで納得してくれるかどうか、ドキドキしながら口を開く。「実は昨日、彼と話し合いながら、お酒を呑んでしまったんだ」「お酒を呑んだ!? どうして?」 怒ったようなそれでいて困った感じの口調で告げつつ、手早く家の鍵を閉めた彼女を見、会社に向かって歩き出した。すると隣に並びながら、そっと腕を組む。触れたところから伝わってくる理子さんのぬくもりに、いつもならほっとするのに、今はなぜか違和感しかなかった。「彼が話してくれる小さい頃の理子さんのことで、かなり盛りあがってしまったんだ。その結果、勧められるままにお酒を呑んでしまってね。ついにはどちらが強いか、呑み比べがはじまったというワケ。本当に済まない……」 理子さんから注がれる視線がつら過ぎて、思わず外してしまった。「なにしてるの、まったく。だって克巳さん、お酒そんなに強くないのに」「……そうなんだけどさ、でも男の意地があったから。大事な理子さんがかかっていたんだし、少しでも頑張らないといけないだろう?」 彼女から視線を逸らしたまま告げた言葉は、どんな感じで伝わっただろうか。「それで勝負は、どうなったんですか?」 覗きこむように理子さんが顔を寄せる。俺の考えを読みそうなそれに、「うっ」と言って顎を引いてしまった。するとそれ以上逃げられないようにネクタイを掴み、理子さんに引き寄せられてしまう。顔と視線が逸らせない状態に追い込まれたが、それでも陵とかわした言葉を思い出しながら弁解を試みる。「そっ、それが同時に酔い潰れちゃって、お互い記憶がないんだ。だから勝負は、お預けになってしまったよ。本当にゴメン!」「信じられないっ! 克巳さんってば、なにしに行ったの? 私、稜くんに狙われてるんだよ。捕られてもいいの?」 文句を言った唇が、俺の唇に重ねられた。(いつもならそれに応える形で理子さんを抱きしめたり、濃厚なキスをしていたのに、それをする気になれないなんて
last updateLast Updated : 2025-07-15
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act:溺愛2

***『ああぁっ、すごっくイイ……もっと、そぉ……ん、克巳さ、ぁあんっ』(ここはどこだ――?) むせ返りそうなくらい花の香りがする部屋の中、稜の両手を握りしめながら腰を動かし、激しく責め立てる自分の姿がそこにあった。「どっ、どうして俺はまた、君とこんなことに!?」『なに、おかしなこと、んんっ……言ってんの。克巳さんがいきなり俺のことっ、はぁあん……襲ってきた、のにぃっ!』「君はまた、俺に薬を使ったのか?」『薬なんて盛ってないない。あぁっ……もう、好きだなんて言って告白してくれて、ふぅっ……嬉しかったのにね』 ――俺が稜のことを好き、だと!?『んんっ……正確には俺の躰が好きなんだろうけど。それでもっ、いいよ俺は。だって……んっ、克巳さんとはかなり相性がいいからさ』 突然すぎる状況に飲み込まれ、そのまま固まる俺の腰に、稜は両足をぎゅっと巻きつけた。『余計なこと考えないで今は一緒に……あぁっ、楽しもう、よっ……ほら、克巳さんの大きいので俺を、いっぱい感じさせてってば』 目を細めながら、俺のモノを中でぎゅっと締めつける稜。繋がれている手からも、彼の熱が移ってきた。『もっともっと……俺に克巳さんをちょうだい。ほら――』 半開きになった唇の隙間から、淫靡な舌が俺を誘うように動いた。迷うことなくそれに導かれ、密着するように唇を重ねる。 彼の舌が出入りするリズムに合わせて、下半身でソレに応えるべく打ちつけてみた。絡まる唾液の音と下からもたらされる、ぐちゅぐちゅという卑猥な音が混ざり合い、俺自身の高まりが一層大きくなっていくのを感じる。「稜……君が好きだ。もっと俺を求めてくれ」 なぜだか彼に求められると、胸の奥に疼きを強く感じた。それを確かめたくて言葉にしてみたら、さっきよりももっとドキドキが高鳴っていって――眉根を寄せて感じている稜が、愛おしくて堪らなくなる。『ぁあっ……俺も克巳さんが好き。そうやってイきそうなのを必死に堪えてる顔が、なんとも言えないっ』「稜っ、稜、俺だけを見てくれ」 薄く笑っている彼の視線の先に映っているのは、きっと理子さんだけ。わかってる……わかっているけどこの瞬間だけは、俺だけを見てほしい。「君の中に、俺を深く刻みつけたい。離れらないように」 そう告げた瞬間、稜のいた場所に突然、理子さんが現れた。『克巳さん嬉しい
last updateLast Updated : 2025-07-16
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act:溺愛3

*** 仕事で疲れた躰を引きずりながら三日間、毎日午前一時頃まで稜の自宅前で粘って待っていた。 今日も帰ってこないのかと諦めかけたとき、カツカツと階段を上ってくる靴音が聞こえてきて、勝手に胸が高鳴っていく。そんなドキドキを抑えようと深呼吸して、じっと佇み待っていると、靴音をさせる人物が俺を確認し、驚愕の表情を浮かべた。「どうしてここにいるの、何やってんだよ克巳さん……?」 稜と逢ったときは、いつもラフな格好ばかり見ていたので、少しだけ着崩したスーツ姿に目を奪われてしまった。細身のスーツからスタイルの良さが浮き彫りにされている姿に、見ているだけで動悸が加速してしまう。「……お帰り。珍しいね、スーツ姿なんて」 乾いた声で告げてしまったのは、躰が熱くなって喉が干上がってしまったせいだ。不審に思われないだろうか――。「お笑い芸人と一緒の、地方ロケだっただけ。それよか何か、話があるんでしょ? 悪いけど出直してくれないかな。すっごく疲れてて、早く休みたいんだ」 俺の台詞に、どこかイライラしながら答える。髪の毛を苛立たせるようにかき上げて、キッと睨んできた。彼に睨まれているというのに――見つめられるだけで、胸の中心が絞られるように痛い。あまりの痛さに俯いて、やっと口を開く。「――地方ロケ。それでずっと留守だったのか」「もしかして、この間の夜のことが誤魔化しきれなくて、リコちゃんにバレたとか!?」 俯いた自分を正面に向けさせるためなのか、いきなり腕を掴んで話しかけてきた稜。触れられたところから、君の熱が伝わってくる。「いや、その件は君が提案してくれた、お酒のことで何とかなった」「じゃあ、何で……」「稜……君と話がしたかった。それだけ」「は――?」 俺の言った言葉が信じられないのだろう。印象的な瞳を大きく見開き、ぽかんとした表情を浮かべる。その後、眉根を寄せて口先でぶつぶつ何かを呟いてから――。「さっきも言ったけど、疲れてるんだ。何か言いたいことがあったら、スマホに俺の情報入れてあるから、メールしてくれない? 悪いけど帰って」 舌打ちしながら俺の躰を押し退けて家の鍵を差し込み、颯爽と中に入って行く。俺は迷うことなく閉めかけた扉に、すかさず足を突っ込んだ。 がつんっ! 乾いた音がフロアに響き渡る。 足が挟まれているのにも関わらず、必死に閉めよ
last updateLast Updated : 2025-07-16
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act:溺愛4

「ははっ! なに言ってくれちゃってんの? 俺が好きなのはリコちゃんだけなんだ。他のヤツと付き合うがわけないでしょ。離してよ!」「稜が俺を、好きになってくれるまで――」 理子さんを見る目で、俺を見て欲しい。君が求めてくるように、今この手で抱いてやろう。俺なしではいられなくしてあげる。 尚も抵抗を続ける稜のネクタイをなんとか外し、それを使って両腕をグルグル巻きにした。そしてワイシャツの引き裂くようにビリビリと脱がし、スラックスも下着と一緒に剥ぎ取る。 真っ暗闇の部屋の中、ベランダの窓から差し込む月明かりが彼の白い肌を、ぼんやりと浮かび上がらせた。 夢の中で犯しまくった躰が目の前にあることに、喜びに満ち震える。迷うことなく艶やかなな肌へと、舌を這わせながら貪った。「あっ、や、やぁ……うっ、克巳さんっ、やめてって!」 やめてと言いながらも、しっかり感じている稜。責め立てた胸の尖りはしっかり勃っていて、露わになった下半身も既に形を変えていた。「枕営業してきたと言ったが、相手はやっぱり業界の人なのか?」「な、んで?」 一旦顔を上げ、稜を見つめる。いつもは強い光を放つ瞳が、どこか困ったようにゆらゆらと揺れていた。困惑に満ちた、瞳の理由はなんだろうか?「だって、きちんと守られているから。仕事の関係でキスマークをつけちゃ駄目って、しつこく言ってただろう?」 そんな困った顔を窺いながら、そっと下半身に手を伸ばす。それは今にも爆ぜそうなくらい、熱く膨らんでいて――。「稜……イヤだと言いながらも、しっかりと感じているんだね。もうこんなになってる」 言い終えない内に迷うことなく彼のモノを口に含み、唾液を滴らせながら、上下に激しくスライドしてやった。「ああぁぁっ! やだ! ああぁんっ、やめてえぇ!!」 首をイヤイヤしながらも、何故か腰を上下に浮かせる。もしかして、さっきの行為の余韻が、躰に残っているのだろうか。「ふぁ……ぁ、ん……、うっ」 悔しそうな表情を浮かべつつ、きゅっと下唇を噛みしめて、されるがままになっている姿に、俺自身も堪らなくなっていく。激しく責め立てながら、口の中で感じるモノがどんどん大きくなるのを察し、程よいタイミングで、すっと抜き去った。「ああぁ、ぁ……あぁ……、んっ、くっ!」 そしてまた口に含んでの愛撫を、何度も繰り返してやる。ここ
last updateLast Updated : 2025-07-16
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