世界ツアーから二週間が経った。12人は、既に15の学院を訪問していた。どの学院でも、温かく迎えられ、多くの生徒がWAUへの参加を表明した。「順調だな」カイが満足そうに言う。「どこに行っても、大歓迎だ」現在、12人はイギリスの《ロンドン魔術学院》を訪問中だった。講演を終え、生徒たちとの交流会が開かれている。「クロさん、サインしてください」一人の生徒が近づいてくる。「ああ、もちろん」クロが笑顔で応じる。しかし、その時――クロは妙な視線を感じた。誰かに、監視されているような。「どうした?」ジンが気づく。「いや……なんでもない」クロが首を振る。しかし、その違和感は消えなかった。交流会が終わった後、12人は宿泊先のホテルに戻った。「疲れたー」ミナがベッドに倒れ込む。「毎日講演って、結構大変ね」「でも、やりがいはある」サクラが微笑む。「みんなの笑顔を見ると、嬉しくなる」その時、クロの通信端末が鳴った。ルーク司令官からの緊急連絡だった。「クロ、聞こえるか?」「はい、聞こえます」「重要な情報が入った」ルークの声が深刻だ。「君たちの周りに、スパイがいる可能性がある」「スパイ?」クロが驚く。他のメンバーも、通信に耳を傾ける。「政府が、WAU内部に工作員を送り込んだらしい」ルークが説明する。「目的は、内部からの破壊工作」「具体的には?」ジンが聞く。「君たちの
最終更新日 : 2025-10-17 続きを読む