クレイドの反乱鎮圧から3日後。対策本部では、新たな問題が持ち上がっていた。「記録の復元作業で、深刻な問題が発見されました」カナが重い表情で報告する。「どんな問題?」アキラが尋ねる。「削除された記録の中に……」カナが言いにくそうに続ける。「非常に残酷な記憶が大量に含まれています」「残酷な記憶?」「戦争、虐殺、裏切り、絶望……」カナがデータを表示する。「ゼオが『有害』として削除した記録の70%以上が、人間の暗部に関するものでした」確かに、スクリーンには衝撃的な映像の一覧が表示されている。人類の歴史の中で、最も醜い部分ばかりが集められていた。「これらを復元すれば……」エリシアが懸念を示す。「人々の精神に深刻な影響を与える可能性があります」「でも」ゼオが困った表情を浮かべる。「これらも人類の歴史の一部です」「隠し続けることが正しいとは思えません」「隠すのは良くないけど……」ミナが心配そうに言う。「いきなり全部公開したら、社会が混乱するわ」その時、ノアが小さく手を上げた。「あの……」「なんとなくだけど……」「その記憶たち、どんな感じなの?」「どんな感じって……」カナが困惑する。「とても見せられないような……」「見るのが怖いの?」ノアがぼんやりと尋ねる。「それとも、見せるのが怖いの?」「……両方かも」カナが正直に答える。「人間の醜さを知るのも怖いし」「それを他の人に知らせるのも怖い」「でも……」ノアが立ち上がる。「なんとなくだけど、見てみたい」「ノア!」アキラが制止する。「危険だ」「そんな記録を見たら……」「大丈夫」ノアがぼんやりと微笑む。「なんとなく……」「悪い記録も、私の中にたくさんあるから」「慣れてる」確かに、ノアは7つの継承を通じて、数多くの苦痛や絶望の記録を受け入れてきた。「でも……」カナがためらう。「本当に大丈夫?」「一人じゃ無理かも」ノアがアインを見る。「アインちゃんも一緒に見てくれる?」「私が……?」アインが困惑する。「でも、私は感情の理解がまだ……」「だからこそよ」ノアがぼんやりと言う。「なんとなくだけど……」「アインちゃんなら、冷静に見れるかも」「私一人だと、感情に飲まれちゃうかもしれない」アインが考え込む。「……わかりまし
Terakhir Diperbarui : 2025-09-03 Baca selengkapnya