それは果てしなく続く白い世界だった。礼央は二枚の紙を握りしめ、広い墓地に立っていた。一枚は火葬通知書で、もう一枚は離婚届だった。紙の上に書いてある文字は鮮明で、署名欄には彼の署名があった。なぜ署名したのか、彼は思い出せなかった。ただわかっているのは、真衣も千咲もすでにいないということだけ。彼は二つの冷たい骨壷を抱えている。小さくて軽いのに、彼はそれをとても重く感じた。彼は果てしなく続く道を一歩一歩進んだ。耳元では海風が唸り、潮の香りが鼻を突き、喉が締め付けられるように痛んだ。どこへ向かうのかわからない。ただ、二人を連れて行くだけはわかっていた。誰にも見つからない場所へ。二人ともう二度と離れないように。荒れ狂う波が岸を打ちつける音は、真衣の押し殺した泣き声に似ていた。あるいは千咲が「パパ」と呼ぶ声のようでもあった。「パパ、抱っこして」「礼央、私を見て」それらの声は無数の針のように彼の心を貫き、礼央は痛みで身をよじった。突然、押し寄せる海水。冷たく、潮臭く、彼の口や鼻から激しく流れ込んできた。全身が窒息しそうだった。「ゲホッ――」突然、彼はむせるほど咳き込んだ。鉄臭い液体が舌先に溢れ、口元から流れ出て、真っ白な枕カバーを赤く染めた。礼央の目は恐怖に満ち、彼は大きく目を見開いた。激しく上下する胸。呼吸するたびに引き裂かれるような痛み。悪夢の光景が脳裏を駆け巡り、いつまでも消え去らない。「礼央!」真衣の声は闇を切り裂く光のようだった。彼女が駆け寄ると、礼央は全身の力で彼女を引き寄せ、抱きしめた。まるで真衣を自分の身体に溶け込ませるように、ただ力強く彼女を抱きしめた。ふいに熱い涙が真衣の鎖骨にこぼれ落ち、彼女の胸を震わせた。「ごめんな……本当にごめんな……」礼央はかすれた声で言った。「全部俺のせいだ……署名なんてするんじゃなかった……お前と千咲を離すべきじゃなかったのに……」真衣は力強く礼央に抱きしめられて息が苦しかったが、離れようとはしなかった。真衣は彼の体の震え、声に滲む絶望と恐怖、そして劫火をくぐり抜けた後のような恐怖に震える心臓の鼓動を、はっきりと感じ取っていた。真衣は手を上げ、そっと彼の背中を撫でた。「礼央、どうしたの?何を言ってるの?言葉の意
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