深雲たちの一行も、こちらへと歩み寄ってきた。研時が耳障りな声で嘲笑う。「おや、穂坂さん。二人で来て二人で帰るってことは、今夜は『収穫』なしかい」「あんたね……」凛が色めき立つが、景凪は背後でそっと彼女の手を押し、落ち着くよう合図を送る。研時という男がいかに狭量で執念深いか、彼女はよく知っている。凛が自分のために彼と揉めて、損をする必要はない。だから、ここは自分で片付ける。景凪は研時の悪意に満ちた視線を真っ向から受け止めると、優雅な笑みを浮かべて、ゆっくりと彼を頭のてっぺんから爪先まで品定めした。「陸野さんも見た目は立派な人間なのに、お里が知れるような口をお利きになるのね。私たちは会社の食事会でしたけど、私が何を収穫する必要があるの?……ああ、もしかして陸野さんは、夜はホストクラブか何かで『収穫』を得るお仕事にお忙しいんですか。だから他人も自分と同じ同業者に見えてしまうのね」「穂坂景凪……っ!」図星を突かれたかのように、研時の顔色は青ざめたり赤くなったりと忙しない。その横で、潤一がふっと声を漏らして笑った。彼は思い出したのだ。彼女をどこで見かけたかを——会員制クラブ『夜響』だ。着飾った女たちが美しさを競い合う中、彼女はただ一人、椅子に座って黙々とフルーツを食べていた。あの時の景凪は地味で薄汚れていて、確かに目立たなかった。だが、まさかこれほど美しい顔立ちをしていたとは……彼にとって美の基準であった姿月でさえ、今の景凪の前に立つと、途端に色褪せて見えた。一方、深雲はといえば、彼女がいたのはただの会社の食事会だったと聞き、胸中に渦巻いていた正体不明のイラ立ちは不思議と霧散していた。何か声をかけようと口を開きかける。だが突如、隣にいた潤一が一歩進み出て、景凪に向かってスッと手を差し出した。「穂坂さん、でしたね?児玉潤一です」景凪は無言で彼を見つめる。訝しげな視線を向けるだけで、その手を取ろうとはしない。見るからに上流階級の男だが、深雲や姿月の連れである以上、関わり合いになる価値など皆無だ。「行きましょう、凛さん」景凪は凛の手を引いて歩き出し、深雲の横を通り過ぎざまに低く警告した。「これ以上つきまとうなら、警察を呼ぶから」空を切った手を引っ込めながらも、潤一は気にした様子もない。去りゆ
Read more