All Chapters of 姉を奪われた俺は、快楽と復讐を同時に味わった~復讐か、共依存か…堕ちた先で見つけたもの: Chapter 91 - Chapter 100

112 Chapters

不在の部屋

ドアを開けた瞬間、部屋の冷たい空気が肌に触れた。美咲は、湿った息を喉の奥で飲み込んだ。薄暗い照明の下、ダブルベッドが一つ、静かに置かれている。シーツは綺麗に整えられていて、枕も二つ並んでいた。けれど、その部屋には佐山の姿がなかった。「……いないね」自分でも驚くほど乾いた声が出た。佐伯は無言のまま、扉を閉めた。静かに、けれど確実に鍵がかかる音が耳に残る。その音が、美咲の背筋を僅かに震わせた。ソファが一つ、ベッドの隣に置かれている。美咲はそこに視線を落としながら、足を動かした。ヒールの音を立てないように、ゆっくりと歩く。コートを脱ぐか迷ったが、そのままソファの端に腰を下ろした。佐伯も、無言で向かいの一人掛けに座った。互いに目を合わせることができなかった。バッグの中のスマートフォンを握りしめる。佐山から送られてきたのは「803号室で待ってます」の一文だけ。こんな偶然が、あるはずがない。「……偶然、だよね」美咲は、自分に言い聞かせるように呟いた。けれど、胸の奥はざわめき続けている。ソファのクッションが、佐伯の体重で少し沈む音がした。彼はネクタイを緩め、首筋を指先でなぞった。その仕草すら、どこかぎこちない。「まさか、な」低い声で呟いたのは佐伯だった。彼もまた、内心では理解している。こんな偶然が起こるはずがない。佐山が意図的に呼び出したのだと、うすうす気づいている。けれど、それを言葉にしてしまえば、何かが壊れる。だから、互いに黙っていた。室内の時計の針が、静かに時を刻んでいる。秒針の音が、心臓の鼓動と重なって響く。湿った空気が部屋に満ち、呼吸が浅くなっていく。美咲は、膝の上で手を組んだ。その指先が、僅かに震えている。佐伯はそれを横目で
last updateLast Updated : 2025-10-26
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告白の刃

ドアが静かに開いた。わずかな風とともに、夜の湿った空気が流れ込んでくる。佐山は、濡れた傘を手に持ったまま、無言で部屋の中に足を踏み入れた。足元から水滴がぽたりとカーペットに落ちる。視線を動かさず、そのままドアを閉めた。「……お待たせしました」穏やかな声でそう言った。けれど、表情には笑みも感情も浮かんでいなかった。美咲と佐伯が、ソファと椅子に座ったまま顔を上げた。二人の目が、同時に佐山を見た。その視線には、困惑と動揺が混ざっている。佐山は、ゆっくりと傘を閉じた。雫が床に垂れる音が、やけに大きく響く。濡れた傘を部屋の隅に置くと、手のひらで湿った前髪をかき上げた。その仕草は丁寧で、無駄な動きが一切なかった。「……おかしいと思ってましたよね」佐山は、二人の顔を交互に見た。微笑みを浮かべてはいたが、その目の奥は冷たかった。まるで観察者の目だ。感情を持たない、生き物の目。美咲が、唇を震わせた。佐伯も、喉の奥で息を詰まらせたまま、何も言えなかった。「偶然なんかじゃありませんよ」佐山は、ソファの背にもたれかかる二人の間にゆっくりと視線を流した。その目の動きには、余裕があった。計算し尽くした間だった。「今日は、こういう日なんです」佐山は、淡々と言った。声のトーンは変わらない。静かで、優しさすら滲ませるような響きだった。「お二人とも、僕に抱かれてるんですよ」その言葉を口にしたとき、空気が変わった。美咲は、目を見開いたまま息を呑んだ。佐伯は、肩を小さく震わせた。けれど、どちらも言葉を返せなかった。佐山は、一歩前に出た。濡れた靴の底が、カーペットに沈む音がした。「知らなかったんですね。お互いが、同じ相手と関係を持っていたこと」
last updateLast Updated : 2025-10-27
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復讐の正体

佐山は、ゆっくりと美咲と佐伯を見渡した。二人の間には、まだ言葉にならない動揺が漂っている。ソファの肘掛けから立ち上がると、佐山はポケットから小さなハンカチを取り出し、濡れた指先を静かに拭った。「……さて」その声は、やわらかい。まるで仕事の合間に雑談を始めるかのような、穏やかさだった。「お二人には、もう一つお伝えしなければならないことがあります」美咲が、膝の上の指をぎゅっと握った。佐伯は、顔を上げることができず、ただ視線を床に落としたままだった。佐山は、ソファの前に立ち、二人の間に視線を落とした。声は柔らかいが、その奥にある温度は冷たいままだ。「僕は、篠田梓の弟です」その一言が、部屋の空気を完全に変えた。美咲が、目を見開いた。喉の奥で呼吸が止まりかける。佐伯も、体をわずかに震わせた。「……篠田、梓?」美咲の声は、かすれた。「ええ」佐山は微笑んだ。その微笑みは、皮膚の表面だけに貼り付けられた仮面だった。「姉は、御社に勤めていました。三年前まで」その言葉で、美咲の身体から血の気が引いた。視界の隅が白く霞んでいく。指先が冷たくなり、震えが止まらなかった。「篠田梓……」佐伯も、呟いた。だが、記憶の奥で確かにその名前を覚えている。ただ、佐山がその弟だという事実に、思考が追いつかなかった。「姉は、自殺しました」佐山は、淡々と続けた。目線を落とすことも、声を荒げることもない。事実をただ並べるように、一定の調子で言葉を紡ぐ。「理由は、ご存じですよね。美咲さん」美咲の唇が震えた。声にならない。喉の奥が焼けるように痛んだ。「美咲さんが、姉を追い詰めた。社内でのパワハラ、
last updateLast Updated : 2025-10-28
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終わりの宣告

佐山は、静かにスマートフォンの画面を見つめていた。青白い光が頬を照らしている。指先で文字を打つ動作は、いつも通り滑らかだった。ためらいも、迷いもない。それは仕事でメールを送る時と何も変わらない手つきだった。「これで終わりです」たった一文。余計な言葉は要らなかった。それだけを打ち込むと、佐伯の名前を選び、送信ボタンを押した。画面に「送信完了」の表示が出た時、心の中に何の感情も湧いてこなかった。携帯を伏せ、目を閉じる。部屋の中は、しんと静まり返っている。時計の秒針の音だけが、規則正しく響いていた。佐山は、ゆっくりと目を開けた。ガラス越しに夜景が広がっている。ビルのネオンがぼんやりと滲んでいた。雨はもう止んでいたが、湿った空気が窓の隙間から入り込む。「……終わった」唇の奥で、誰にも聞こえない声を漏らした。復讐は完遂した。美咲も佐伯も壊した。それぞれの大切なものを奪い、苦しみの底に突き落とした。姉が死んだ時、自分が感じたあの絶望を、ようやく彼らに味わわせることができた。計画は、完璧に成功した。だが、胸の奥には何も残っていなかった。「……何も変わらない」佐山は、ソファの背にもたれかかり、天井を見上げた。白い天井が、やけに遠く感じる。自分の呼吸が、浅く、乾いた音を立てている。喉の奥がからからに渇いているのに、水を飲む気にもなれなかった。姉の顔が浮かぶ。篠田梓。柔らかい笑い方をする姉だった。子供の頃、よく頭を撫でてくれた手の感触を、まだ掌が覚えている。「……ごめん」佐山は、誰にともなく呟いた。姉は、こんな復讐を望んでいなかっただろう。それは最初から分かっていた。けれど、それしか選べなかった。
last updateLast Updated : 2025-10-29
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空になった部屋

佐伯は玄関のドアを開けた。湿った夜の空気が背中を撫でる。家の中は静まり返っていた。灯りもついていない。リビングの隅に置かれた間接照明だけが、ぼんやりと部屋の輪郭を浮かび上がらせていた。靴を脱ぐとき、ふと手が震えた。指先に力が入らない。靴べらを使う気にもなれず、乱雑に足で靴を蹴り脱いだ。「……ただいま」誰に言うでもなく、小さく呟いた。返事はなかった。リビングのドアを開けると、空気が少し冷たかった。人の気配が、もうそこにはなかった。テーブルの上に、一枚の紙が置かれている。佐伯はそれを見つめた。すぐに何かを察した。心臓が、ひとつだけ大きく脈打つ。ゆっくりと歩み寄り、指先で紙の端を摘んだ。それは、離婚届だった。美咲の名前と捺印が、すでに記入されている。赤い印鑑の朱が、やけに鮮やかだった。紙の隅が、ほんの少し濡れている。美咲が涙を落としたのかもしれない。それとも、ただの湿気か。どちらでも、もう関係なかった。佐伯はソファに腰を下ろした。両手で紙を持ったまま、しばらく動けなかった。視線の先で、名前と朱肉がじっと自分を見返してくる。「……そうだよな」呟いた声は、自分でも驚くほど小さかった。美咲は、もう戻ってこない。それは、ずっと前から分かっていた。それでも、こうして紙を目の前に突きつけられると、身体の奥に冷たいものが流れ込んでくる。心臓の下あたりが、じわりと重くなる。佐伯は、離婚届を持ったまま、机の引き出しを開けた。中にそっと紙を滑り込ませる。しまいこむ動作は、ゆっくりと、そして慎重だった。まるで、それが何か大事な書類であるかのように。けれど、それが何の意味もないことは、佐伯自身が一番よく分かっていた。引き
last updateLast Updated : 2025-10-30
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壊れた名刺

美咲は会議室の椅子に座り、目の前の資料を見つめた。だが、文字は霞んでいた。紙に印刷された黒い文字が、ただの模様にしか見えない。役員会議は、淡々と進んでいた。会議室の空気は冷たい。エアコンの風が、背中にあたるたびに肌が粟立つ。目の前には、取締役たちの無表情な顔が並んでいる。誰も、直接美咲の目を見ようとしない。それが、答えだった。「佐伯部長……いえ、佐伯さん」会議の議長が、わざと名前を言い直した。それが、通告の始まりだった。「本日付で、役員会はあなたの役職解除を決定しました」美咲は、口角を動かそうとしたが、笑えなかった。唇が乾いて、ひび割れた感触がする。「異議は……ありませんよね」議長の声は柔らかかった。だが、その柔らかさが、何よりも美咲の神経を逆撫でした。「……ありません」喉の奥から、かすれた声が出た。まるで、別の誰かが喋っているようだった。議長は満足げに頷き、次の議題に移った。それだけだった。淡々と、機械のように進む会議。自分の名前は、もう誰の口からも出なかった。美咲は、テーブルの上の名刺入れに手を伸ばした。黒い革の名刺入れ。何年も使い込んできたものだ。そっと開くと、中に名刺が数枚残っていた。「株式会社フューチャーリンク 営業部部長 佐伯美咲」肩書きの文字が、目に刺さるように鮮明だった。美咲は、その名刺を一枚取り出した。爪先で紙をつまむ。そのまま、ゆっくりと二つに折った。さらにもう一度、折り曲げる。指先に力が入るたび、爪が白くなった。ミシリと音がした。紙が裂ける音。自分の名刺が、破片になって手の中に残る。「……これで、終わりか」
last updateLast Updated : 2025-10-31
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夜を歩く影

佐伯は、足元を見つめながら歩いていた。どこへ向かうでもなく、ただ歩いていた。夜の街は、湿った空気をまとい、アスファルトには昼間の雨がまだ残っていた。靴の裏が水たまりを踏むたび、微かな音が鳴る。その音だけが、佐伯の世界をかろうじて現実につなぎとめていた。家には帰りたくなかった。帰る意味もなかった。美咲はいない。家具も、生活の匂いも、もうそこには残っていない。リビングのソファは冷え切っていて、キッチンの棚には使わない食器だけが並んでいる。冷蔵庫の中には、賞味期限の切れた牛乳と、乾いたレタスがひとつだけ。そんな場所に帰るくらいなら、夜の街を漂っている方がマシだった。スーツの襟元を指でつまむと、湿気を含んだ布がひやりとした。ネクタイを緩める気にもなれず、ただそのまま歩き続けた。肩にかかる湿った空気が、じっとりと肌に張りつく。街灯がぼんやりと滲み、視界の隅に光の輪が浮かぶ。コンビニの前を通り過ぎると、ガラス越しに中の明るさが目にしみた。誰かが弁当を選んでいる。店員が、淡々とレジを打つ。そこには、日常があった。だが、自分にはもう関係ない世界だった。佐伯は、ポケットの中でスマホを握った。何度も確かめる癖だけが残っている。けれど、通知は一つもなかった。佐山からも、美咲からも、誰からも。「……はは」声が漏れた。自嘲にもならない、乾いた息のような笑いだった。肩が少しだけ震えたが、涙は出なかった。自分はもう、誰でもない。営業部のエースでも、家庭を持つ男でもない。ただの抜け殻だ。仕事を失い、家庭を失い、愛されることも、必要とされることもなくなった。それなのに、まだこうして歩いている。生きていることすら、もう理由がわからなかった。路地に入り、濡れたアスファルトに目を落とす。自分の影が、ぼんやりと歪ん
last updateLast Updated : 2025-11-01
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記憶の底で

佐山は、暗い部屋のソファに座っていた。背中を預けたまま、天井を見上げる。天井には何もない。ただの白い平面だ。その単調な白が、やけに眩しく感じた。部屋は、引っ越してきたばかりのように何もなかった。家具は最低限しか置いていない。カーテンもない。窓の向こうに、街の灯りがぼんやりと滲んでいた。ガラス越しに映る夜景は、どこか遠い別世界のようだった。ソファの隣には、空になったグラスが置かれている。酒はもう飲めない。喉が乾いているはずなのに、身体が水分を求めなくなっていた。「……終わったな」佐山は、小さな声でつぶやいた。その言葉は、自分に対する確認だった。復讐は完遂した。美咲も佐伯も壊した。家庭も仕事も、二人の支えにしていたすべてを奪った。あの夜、ホテルの部屋で告げた「終わり」の言葉。あれで本当に終わったのだ。なのに、胸の奥は空っぽだった。何も残っていなかった。満たされる感覚はなかった。心の中には、ただ冷たい風が吹いているだけだった。ソファに沈み込むように座りながら、佐山は目を閉じた。まぶたの裏に、姉の顔が浮かんだ。篠田梓。姉の笑い声が、耳の奥でかすかに響く。昔、よく手を繋いで歩いた夜道のことを思い出す。姉は、弱い自分を守るために、いつも前を歩いてくれた。後ろから見た背中は、小さくて、でも頼もしかった。「……姉さん」唇が、自然とその名前を呼んでいた。けれど、もういない。梓は戻らない。どれだけ復讐を果たしても、それだけは変わらなかった。佐山は、手のひらを見つめた。その手は、たくさんのものを壊してきた手だ。美咲の身体に触れた手。佐伯を抱かせた手。復讐のために使った、自分の武器だった。
last updateLast Updated : 2025-11-02
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止まったままの生活

佐伯は、今日も変わらない朝を迎えていた。灰色の雲が低く垂れ込めた空。窓の外には、小雨がしとしとと降り続けている。目覚ましが鳴る前に目が覚めたが、それを止めることすら面倒だった。地方の広告代理店で働きはじめて三年になる。最初は「とりあえずの仕事」のつもりだった。だが、気がつけば、その「とりあえず」が日常になっていた。ここには、佐伯を知る人間はいない。誰も彼の過去を知らず、誰も詮索しなかった。ネクタイを締めながら、鏡に映る自分の顔をぼんやりと見る。目の下には、薄い隈が浮かんでいた。肌は乾いている。髪も、何となく手入れを怠ったままだ。「まあ、こんなもんか」声に出してみたが、その声すらも他人事のようだった。会社に着くと、いつも通りパソコンが並ぶデスクが迎えてくる。蛍光灯の光はやけに白く、無表情な同僚たちが淡々とキーボードを叩いていた。隣の席の男は、昼飯のことを考えているような顔をして画面を見ている。誰もが、決められた役割をただ繰り返していた。佐伯も、そこに溶け込んでいた。営業成績は悪くはない。最低限のノルマはこなし、クライアントに頭を下げる。ときには無理な要望にも「はい」と笑って応じる。心のどこかでは、「こんなことはどうでもいい」と思っている。だが、そう思うことすら、もう慣れてしまった。デスクの上のスマホに目をやる。通知は何もない。誰かからの連絡を待っているわけではないのに、つい画面を見てしまう。そして、何もないことに、安堵と失望が同時に胸を刺す。クライアントとの打ち合わせが終わると、佐伯は小さな会議室の隅で一人、コーヒーを飲んだ。その味は、まるで水のようだった。苦味も、香りも、何も感じなかった。「これが俺の罰だ」心の中で、そう呟く。美咲も、仕事も、家庭も、すべてを失った。佐山に壊された。けれど、それは当然だった。姉を死に追いや
last updateLast Updated : 2025-11-03
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雨に濡れる夜道

ビルの自動ドアが開くと、冷たい空気が顔に吹きつけた。雨はまだ降り続いている。佐伯は傘を持たず、そのまま外に出た。カバンには折りたたみ傘が入っている。けれど、開く気にはなれなかった。「濡れてもいいか」そう呟いて、ネクタイを緩める。冷たい雨粒が首筋を伝い、シャツの襟に染み込んでいく。それが心地よいわけではなかった。ただ、感覚があることに少しだけ安堵した。アスファルトの上には、街灯の光が滲んでいる。赤や青のネオンが水たまりにぼやけて、揺れている。車のテールランプが雨粒をはじき、白い路面に線を引いた。佐伯は、濡れた髪を手でぐしゃりと撫でた。髪の間から滴る水が、顔を伝って落ちていく。その感触だけが、今の自分を現実に繋ぎとめている気がした。会社を出たのは定時を少し過ぎた頃だった。だが、もう時間の感覚は曖昧だった。時計を見る意味もない。ただ足を前に出して、歩く。「誰とも話したくない」胸の奥で、そんな言葉がこぼれた。誰にも会いたくない。誰にも触れられたくない。だけど——「誰かに会いたい」そうも思っている自分がいることを、佐伯は知っていた。誰かに「生きている」と認めてほしい。けれど、それを口にすることはできなかった。雨が、さらに強くなる。シャツが肌に貼りつき、スラックスの裾から冷えが這い上がってくる。それでも歩き続けた。コンビニの灯りが見えた。だが、入ろうとは思わなかった。温かいコーヒーも、傘も、今は必要ない。「何もないまま終わっていくのか」その考えが、ふと胸をよぎった。このまま、誰にも必要とされず、誰にも知られずに消えていくのか。「それでもいいだろ」佐伯は小さく笑った。雨に濡れた唇が震えた。けれど、その笑いは乾いていた。
last updateLast Updated : 2025-11-04
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