十話 ラブラブハプニング 部屋へ辿り着くと、目に入ってきたのはシングルベッドだった。二人で泊まるのに、ベッドが一つしかない事に気づいた俺は、ポカンと口を開けて停止した。レイングも、いざ目にしたら意識してしまうようで、無愛想な彼は口を隠しながら、恥ずかしさを堪えている。 「どういう事なんだ、コレは……」 「この部屋しか空いていないらしい。寝る時は一緒に寝るしかない……な」 勢いに任せて会話を続けようとした彼は、途中で言葉に詰まってしまう。明らかに動揺している。少年から全てを聞いていた彼が、何故頬を赤らめているのか理解出来ない。自分の事を嫌っているようにしか思えなかったからだ。 「一緒に……寝る?」 自分に問いかけているつもりが、彼にモーションをかけているふうに言ってしまった。言葉はなんてややこしいんだ…… ラウジャの事があったのに、今度はレイングとのハプニングが起こっている。今の状況が成立している事に疑問を抱えながら、もう一度画面を確認した。 【ラブラブハプニング 意中の彼と夜を過ごす貴方 彼とのスキンシップを深め B度数を上げていきましょう】 画面の中央にバンと出てきたミッションを見つめながら、右下に小さい文字で注意書きが書かれている事に気づく。目を細め、読んでみると、そこには【B度数を上げれないと次のシナリオに進む事が出来ません】と書かれていた。呪いの王子様のシナリオには間に違うシナリオが隠れている。気づかなかったら、確実に見落としていた。 意中の彼と書かれているが、俺はレイングを選んだ訳じゃない。選んだシナリオはラウジャのシナリオだ。なのに、ここには自分の意中のキャラクターはレイングと示されているように思える。宿屋に来てからの彼の態度を見ると、可愛い所があるのは分かったが、それは感情を上手く表現出来ないからであって、自分と一緒にいたいからではない。 「ん? 待てよ……」 ふと、ある考えが浮かんだ。考えが具現化する前に「エンパス」と呟くと、自分の体
Terakhir Diperbarui : 2025-08-07 Baca selengkapnya