二十話 三人目の台風 三時間が経過している。寝ていた方がいいのに、結局、言う事を聞かずに、俺の側に痛いと言い張って、俺の部屋へいる事になった。了承した訳でもないのに、婚約したといい張っている二人を見ていると、頭が痛くなっていく。 自分に正直になれば、凄く嬉しい。だけどまだ何も決めていないのに、話だけが進んでいる。それが気に食わない。真面目すぎると言われて、二人に叱られたが、結局は二人は言い合いながら、喧嘩に発展している。 「旦那様は僕のだよ。どうして君にそこまで言われなくちゃいけないんだよ」 「はぁ? ハウエルの婚約者は俺だ。お前の方こそ勝手に決めるなよな」 周りから尊敬されている二人が俺の事で争うなんて誰が考えただろう。止める人は俺しかいない。何回も仲裁に入ろうとしたが、結果は惨敗。次こそ、ちゃんと止めなければ…… 脳裏に起こるエンスの表情が浮かんでくる。ここで粗相をしたら、後がないんじゃないのかと身震いをした。 「……それなら、二人とも婚約者になればいいんじゃないかな?」 ドアが開いていたようで、廊下から誰かの声が響き渡る。その考えがあったかと、腑に落ちた二人は幸せそうに笑い始めた。 「入るよ……」 「「メリエット様」」 紫髪でローブを羽織っている青年がそこにいた。ふんわりと微笑むと、周囲を虜にする魅力を持っている。見た事のないキャラクターの出現に驚きながら、彼のプロフィールを確認する事にした。 画面に情報が映ると、こう書かれている。 【ハウザ・メリエット エリスの弟子の魔術師 ラウジャからしたら兄弟子になる 人の心を虜にする魅了を持っている人材 魔法全般は使用可能 手ぐせが悪く、少しでも好意の匂いがすると、男なら誰でも受け入れる】 新しいキャラクターが追加されたと言う事は、もしかしてラウジャのシナリオを攻略したのだろうか。しかし攻略したとの表記が出てこない。それならこれは一体、どうなってい
Last Updated : 2025-08-12 Read more